【コラム】コロナ禍におけるインドネシアの外食産業の現状

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界的に外食産業は大打撃を受けました。

日本においても、居酒屋やカフェ等の外食産業は他の産業との比較でも特に売上が減少し、厳しい状況が続いています。

今回のコラムでは、インドネシアにおけるコロナ禍の外食産業の現状についてご紹介します。

 

新型コロナウイルスによる外食産業への影響

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年のアジアの外食産業市場は25%〜30%縮小しました。

インドネシア単体で見ると市場規模は35%〜45%縮小となっており、その影響はアジアの平均を大きく上回っていることが分かります。

外食産業縮小の直接の要因として考えられることは、インドネシア政府による移動制限や外出自粛要請です。

当然、レストランやカフェでの外食が減り、外食産業へ大きなダメージを与えました。

 

また、コロナ禍でのショッピングモールの相次ぐ営業停止により、2020年の4月時点で、ショッピングモールに併設されていた6,800軒以上のレストランが廃業となっています。特に、ジャワ島とバリ島におけるレストランの廃業軒数が多いことが分かっています。

新型コロナウイルスの蔓延により、外食産業はこの様な厳しい状況に直面しています。

参考WEBサイト:https://www.kompas.com/food/read/2021/07/07/133800175/industri-layanan-makanan-di-asia-mulai-beralih-ke-cloud-kitchen-?page=all
https://finance.detik.com/berita-ekonomi-bisnis/d-4982564/sudah-6800-restoran-tutup-gara-gara-corona

 

インドネシアの飲食店における活動制限

インドネシア政府による飲食店に対する営業活動制限について、2021年10月時点のジャカルタ、バリのケースを例にご紹介します。

営業活動制限として、飲食店では以下のような対応が求められています。

【2021年10月にインドネシア政府より発令された活動制限内容の一部】

<屋台や路上飲食店>

・営業時間は午後9時まで

・収容率は50%まで

・飲食時間は60分以内

 

<夜間営業のレストラン、食堂、カフェ>

・営業時間は午後6時〜午前0時まで

・収容率は50%まで

・飲食時間は60分以内

・来店客と従業員に対して、アプリ「Peduli Lindungi」によるスクリーニングを行う

 

感染者数が減るにつれ、これら活動制限のうち収容率の割合や営業時間などが緩和されてはいるものの、未だに外食産業にとって厳しい状況にあります。

収容人数や営業時間制限がある限り来店客数の減少は避けることはできず、新型コロナウイルス感染拡大前の売上に戻すには一定の時間がかかることに加え、抜本的な対策が必要です。

参考WEBサイト:https://www.id.emb-japan.go.jp/oshirase21_198.html

外食産業の大きな変革期

新型コロナウイルスの影響で、外食産業は大きな変革の時を迎えています。

(1)フードデリバリーサービスの拡大

パンデミックの間、人々は自宅で食事を取ることに慣れ、外食の機会が減りました。

その代替として需要が増えたのが、フードデリバリーサービスです。

2020年のインドネシアのフードデリバリーサービス市場において、GMV(流通取引総額)が37億ドルに達し、インドネシアはASEANトップの市場規模を持つ国となりました。

インドネシアで一番利用者数が多いフードデリバリーサービスGoFoodは、過去4年間で収益が20倍に増加しており、このことからもフードデリバリーサービスの需要拡大が伺えます。

また、今までレストランやカフェを開いていた事業者は、コロナ禍ではフードデリバリーサービス用の商品提供というスタイルに事業転換し、従来の外食産業からビジネス形態の変化が起きていること分かります

 

(2)クラウドキッチンサービスの出現

フードデリバリーサービスビジネスの拡大に伴いフードデリバリーサービス用の料理を提供するためだけの厨房施設を運営するクラウドキッチンサービスが出現しました。

クラウドキッチンサービスは、厨房施設と料理人さえいれば事業を行うことができ、初期費用や人件費・家賃の削減を行うことが可能です。

コンサルティング会社RedSeer社のレポートによると、クラウドキッチンビジネスは、2021年末までにインドネシアのフードデリバリーサービス市場のGMV(流通取引総額)全体の15%を占める見込みです。

今インドネシアではクラウドキッチンサービスは最も注目されているビジネスのひとつであると言えます。

参考WEBサイト:https://www.antaranews.com/berita/1972719/indonesia-jadi-pasar-layanan-pesan-antar-makanan-no1-di-asia-tenggara
https://www.merdeka.com/teknologi/gofood-puncaki-industri-delivery-makanan-pendapatan-naik-20-persen.html
https://kr-asia.com/cloud-kitchens-heat-up-in-indonesia-as-the-food-delivery-sector-keeps-growing

 

弊社インドネシア総合研究所でもクラウドキッチンサービスのインドネシアでの展開を強く後押ししており、既に2店舗のクラウドキッチンの運用を支援しております。

過去コラム:https://www.indonesiasoken.com/news/column-cloudkitchensupport/

 

ジャカルタに事務所がある弊社のインドネシア現地法人(IRIJ)では、皆様がインドネシア国内においてクラウドキッチンビジネスを展開されたい場合でも、迅速かつ柔軟に対応することが可能です。

インドネシアにおいて実際にクラウドキッチン運用の支援を行なった経験を活かしたご提案をさせて頂きますので、当ビジネスにご興味のある方は、どうぞお気軽にインドネシア総合研究所までご連絡下さい。

 

今回のコラムでは、コロナ禍におけるインドネシアの外食産業の現状についてご紹介しました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外食産業はその市場が大幅に縮小しておりますが、「フードデリバリーサービス」や「クラウドキッチンビジネス」など、新たなビジネス形態へと急速な転換が起こっていることも分かりました。

新型コロナウイルス収束後も「しばらくは以前の様に多くの人々が飲食店に集まって食事をする様な状況には戻りそうにない」と言われる状況において、この新たな「食」のビジネス形態への参入が大きなビジネスチャンスへと繋がる可能性は大きいのではないでしょうか。

弊社では、クラウドキッチン事業以外でも、様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。

是非ご相談をお待ちしております。

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