【コラム】インドネシアにおける幼児期の子供の家庭環境や家庭外教育について

小学校に入学する前の0歳〜6歳の子供は心身の発育・発達が著しく、この時期の子供の発達はインドネシア国内における人間開発において重要なことであると認識されています。

今回のコラムでは、小学校に入学する前の0歳〜6歳の子供を”幼児期の子供”と定義し、幼児期の子供の家庭環境や教育と発達の重要性についてご紹介していきます。

 

インドネシアにおける幼児期の子供の割合

インドネシアにおける幼児期の子供の人口は2020年時点で3,296万人と、総人口の12.9%を占めています。

下図はインドネシアにおける幼児期の子供の男女の割合です。

出典:Profil Anak Usia Dini 2020を基に弊社作成を基に弊社作成(閲覧日:2021年6月27日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/16/61b15a0ae2c3f125fd89559a/profil-anak-usia-dini-2020.html

 

男児の方が少し多いですが、あまり差がないことが分かります。

下図はインドネシアにおける幼児期の子供の都市部と地方部の割合です。

出典:Profil Anak Usia Dini 2020を基に弊社作成を基に弊社作成(閲覧日:2021年6月27日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/16/61b15a0ae2c3f125fd89559a/profil-anak-usia-dini-2020.html

 

上図より、インドネシアの都市部に住む幼児の割合が地方部に住む幼児の割合より約10%多いことが分かります。

下図は、インドネシアにおける州別の全住民に対する幼児期の子供の割合上位5地域と下位5地域です。

出典:Profil Anak Usia Dini 2020を基に弊社作成を基に弊社作成(閲覧日:2021年6月27日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/16/61b15a0ae2c3f125fd89559a/profil-anak-usia-dini-2020.html

 

上図から上位5地域は地方都市の割合が多く、下位5地域は大都市が殆どであることが分かります。

また幼児期の子供の割合が低い下位5地域は、高齢者の割合が多く、そのため幼児期の割合が低くなっている傾向にあることが分かっています。

インドネシアにおける幼児期の子供の家庭環境

下図はインドネシアにおける幼児期の子供の親との同居の割合です。

出典:Profil Anak Usia Dini 2020を基に弊社作成を基に弊社作成(閲覧日:2021年6月27日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/16/61b15a0ae2c3f125fd89559a/profil-anak-usia-dini-2020.html

 

幼児期の発育において、両親とともに過ごすことはとても大切だと言われていますが、インドネシアにおいては、89%の幼児期の子供が両親と一緒に住んでいることが分かります。

下図は、インドネシアの幼児期の子供が両親と一緒にする活動についての割合です。

出典:Profil Anak Usia Dini 2020を基に弊社作成を基に弊社作成
(閲覧日:2021年6月27日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/16/61b15a0ae2c3f125fd89559a/profil-anak-usia-dini-2020.html

 

両親と一緒にする活動の中で、食事の割合が一番多いことが分かります。

幼児期の子供は一人でご飯を食べることが難しいためご飯を食べる割合が一番多くなっています。

お祈りが含まれているのはインドネシアならではの特徴と言えます。

また、僅かな割合ですが両親と一緒にお金を稼ぐ子供が0.1%いることが分かります。

幼児期の子供にお金を稼がせるということは、子供から教育の機会を奪い、子供の権利を侵害するためこのような子供の割合をなくす努力が必要だと言えます。

幼児期の子供の健康は、家庭環境が大きく影響することが分かっています。

また、その中でも安全な飲料水へのアクセスと同居家族の喫煙率は子供の健康へ大きく影響します。

 

安全な飲料水へのアクセス

インドネシア中央統計庁(BPS)の調査によると、インドネシア国内では89.20%の幼児期の子供が安全な飲料水へアクセスできており、比較的高い割合で安全な飲料水にアクセスできているとされています。

インドネシアでは、安全な飲料水へのアクセスができずに、感染症などに罹患し下痢となり死亡する子供もいるため安全な飲料水へのアクセスは幼児期の子供にとって重要であると言えます。

 

幼児の子供がいる世帯の喫煙率

喫煙大国として知られるインドネシアにおいて、幼児がいる世帯で喫煙している割合は69.53%もいることが分かっています。

タバコの煙は子供の健康において様々なリスクがあり、喘息、肺炎、アレルギーなどを引き起こします。

幼児期の子供の健康のためにも、同居家族は禁煙を心がける必要があると言えます。

 

インドネシアにおける幼児期の子供の家庭外教育

幼児期の子供の家庭外教育の場として、幼稚園などの幼児教育機関が挙げられます。

2020年にインドネシアの幼児期(0歳〜6歳)の子供が幼児教育機関において幼児教育を受けている割合は27.68%となっています。

幼児教育を受けている子供は受けていない子供に比べ成績が良い傾向がありインドネシア政府はSDGsの目標「質の高い教育をみんなに」に従い幼児教育の参加を推進しています。

それに伴い、ジャカルタでは2021年の新学期から幼児教育の参加を促すために小学校入学の条件として、1年間の幼児教育を義務付け幼児教育の参加率を上げる取り組みを行っています。

ジャカルタ教育局は、幼児期の教育が子供の将来にとって非常に重要であるとする一方、貧困層の家庭の幼児も平等に幼児教育に参加できる機会を持てるようにすることが大きな課題とも述べています。

関連コラム:

参考:https://www.kompas.com/edu/read/2021/04/09/172044871/kemendikbud-harap-pemda-buat-aturan-wajib-paud-sebelum-sd?page=all
参考:https://anggunpaud.kemdikbud.go.id/berita/index/20210316022432

 

幼児期の子供の発達や教育は今後のインドネシアの発展を左右する重要なキーワードであると言えます。

弊社では様々な分野でインドネシア進出のサポートや、調査などを行なっております。

セミナーの開催や講師派遣なども行っておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。

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