【アルビー日記】プラボウォ新内閣が発足しました

こんにちは。アルビーです。

10月20日に、インドネシアの新しい大統領にプラボウォ氏が就任し、新内閣が発足しました。プラボウォはインドネシア第8代目の大統領となります。

インドネシアの内閣には、それぞれ名前が付けられています。

例えば、ジョコウィ政権時は「Kabinet Kerja(働く内閣)」、ユドヨノ政権時には「Kabinet Indonesia Bersatu(インドネシア団結内閣)」と名付けられていました。それぞれの政権が目指すインドネシアが、名前の意味となるのです。それぞれの内閣の名前と時代の背景などについては、改めて別のコラムでご紹介できればと思います。

今回就任したプラボウォ大統領の内閣は、「Kabinet Merah Putih 」と名付けられました。“Merah Putih”は直訳すると赤白、紅白という意味になりますが、赤と白はインドネシアの国旗の色を指しており、国旗という意味にもなります。

明治維新の際に官軍の旗印としても用いられた“錦の御旗”のようなイメージでしょうか。

つまり、この内閣の名前には、ナショナリズムの精神も反映されているのです。そして、これは「この政権が個人や家族の利益のためではなく、国家そして人民のために働く」ということを意味すると思われます。内閣の名前を決めるのは大統領の権限であり、国の象徴である赤と白をプラボウォが選んだということは、この内閣が常に国家と人民のために働くことが強調されています。

プラボウォ政権はこの「Kabinet Merah Putih」を通じ、ますます多様性に富んだ“インドネシアらしい”国家を目指すでしょう。

20日、大統領就任式においてプラボウォ大統領は就任の演説を行い、汚職根絶、そして食糧やエネルギーの自給体制強化を訴えました。

インドネシアにおいては依然として汚職が蔓延していること、その汚職はインドネシア人の子供たちや孫の世代の将来を危険にさらすものであると述べました。

そして、インドネシアの貧困率についても触れ、インドネシアにはまだ貧困ライン以下の人々も多く、「朝食を食べずに学校に通う子供たちや、学校に通うための服を持っていない子供たちが多すぎる」とプラボウォは強調しました。

「インドネシアの貧困が依然として深刻であり、国民や子供たちの多くが栄養失調で、多くの人がいい仕事に就くことができない」とも述べ、プラボウォは、インドネシアの食糧自給率をあげるためにすでに専門家との研究を開始したと述べており、遅くとも4,5年以内には食料を自給自足ようにすることを目標としていることを述べました。

また、特異な点として、通常ですと新大統領が就任する際には、前の政権を否定する傾向があり、例えばスハルトはインドネシアの暗い過去として否定をされることが多いですが、ジョコウィ前大統領も就任時にはユドヨノの外交を否定しました。

しかし、プラボウォは就任の演説において、独立に向けた過去の英雄の努力、歴代大統領の功績を順番に称えたのです。これは、今までにないことです。プラボウォは、自国の文化と歴史を理解し愛し、自国の伝統と習慣を誇りに思う指導者が必要だとし、インドネシアの独立は賜物ではなく、先代の人々が多大な犠牲を払って手に入れたものであること、我々はかつて独立のために戦ったことを忘れないようにしましょう、とも述べました。

インドネシアにはBinneka Tunggal ikaという言葉があり、これはインドネシアのモットーで「多様性の中の統一」という意味を指します。

内部の統括を行い、「多様性の中の統一」が実現された偉大なるインドネシアを示していくことがプラボウォの大きなミッションの1つでしょう。

また、先日のコラムでもご紹介しましたが、私はインドネシアの軍付属高校出身で、今回同高校の卒業生5人が入閣しました。以下は入閣した同校の卒業生です。

Agus Harimurti Yudhoyono 氏

前回のコラムでもご紹介しました、第5期生の先輩です。インフラ・地域開発調整大臣に就任しました。

Sugiono氏

この方も前回のコラムでご紹介しました、第5期生の先輩です。外務大臣に就任しました。

Prasetyo Hadi氏

第6期の先輩です。官房長官に就任しました。

ガジャマダ大学出身です。

Sudaryono氏

第11期の後輩です。農業省副大臣に就任しました。

以前はGaruda TVのCEOを務めていました。

Teddy Indra Wijaya氏

第15期の後輩です。内閣官房長官に就任しました。長らくプラボウォの側近を務めています。

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日本では同じ内閣にこれだけ同じ高校出身の人が終結することは珍しいのではないでしょうか。

母校タルナヌサンタラ高校は多様性に富んでおり、民族や宗教、階層も問われず、一定の学力と志がある者に開かれた学校です。

タルナヌサンタラ高校には、”Memberikan karya terbaik bagi masyarakat,bangsa,negara dan dunia “(訳:社会、民族、国家、世界のために最高の仕事を提供する)という校訓があります。これは、“与えられた能力を、世のため人のために惜しみなく活かす”という意味です。

プラボウォ政権では、同志が益々活躍することを大いに期待しています。

新大統領就任により、今後のインドネシアの動向が気になる方は多いと思います。インドネシア進出については弊社までお気軽にご相談ください。セミナーの講師なども承っております。

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