インドネシアの奨学金制度を完全整理|採用・人材戦略に活かすための基礎知識

💡 3分でわかる!この記事のポイント
ビジネス・人材戦略での活用: インドネシア人材の採用・育成を検討している日本企業にとって、奨学金制度の全体像を把握することは、優秀な人材の背景や動機を理解するうえでの基礎知識となります。採用計画や大学連携の戦略立案にも役立てられます。
奨学金の3つの分類と主要制度の解説: 支給金額・提供主体・資金の性質という3つの観点から奨学金を体系的に整理。LPDP奨学金(財務省)やKIPカレッジ奨学金(政府)、プルタミナ・アストラといった民間奨学金まで、インドネシアを代表する制度を網羅しています。
LPDP奨学金の最新動向と申請スケジュール: 2026年は5,750人への拡大が予定されており、インドネシア政府が高度人材の育成・海外派遣に引き続き注力していることがうかがえます。申請方法や選考スケジュールも具体的に解説します。
制度の課題と日本企業への示唆: 奨学金制度が国家の人材育成戦略として機能する一方、資金の不適切利用や詐欺、支援の偏在といった課題も存在します。こうした実態を踏まえた採用・連携アプローチが重要です。
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インドネシアでは、政府・企業・大学・海外機関など、さまざまな主体によって多様な奨学金制度が提供されています。
その種類や支援内容は幅広く、教育政策や人材育成戦略とも深く結びついています。
本コラムでは、インドネシアの奨学金制度の分類と代表的な制度を整理し、その特徴について解説します。
インドネシアの奨学金の種類
インドネシアの奨学金は、主に以下の3つの観点で分類されます。
① 支給金額に基づく分類
全額奨学金
授業料に加え、生活費・交通費・住居費・保険料など、留学・就学に必要な費用が包括的に支給されます。
部分奨学金
授業料や住居費など、学業に必要な費用の一部のみが支給されます。
② 提供主体に基づく分類
政府奨学金
インドネシア政府が提供する奨学金で、LPDP奨学金やBAPPENAS奨学金などが代表例です。
民間奨学金
企業がCSR活動の一環として提供する奨学金で、企業の事業分野に関連する人材育成を目的とするケースが多く見られます。
例:プルタミナ奨学金、アストラ奨学金
国際奨学金
外国政府や海外機関が提供する奨学金で、日本を含む各国がインドネシア人学生の受け入れを目的に提供しています。
大学奨学金
大学が独自に提供する奨学金で、自大学の学生に限らず、留学生や交換留学生を対象とする場合もあります。
③ 資金の性質に基づく分類
奨学金授与
累積成績平均点(GPA)などの学業成績や課外活動の実績に基づいて支給されます。
奨学金支援
経済的に困難な状況にある学生を対象に、家庭環境などを考慮して支給されます。
研究奨学金
特定の研究分野に対して資金提供が行われ、大学や研究機関、政府が主体となります。
課外活動奨学金
スポーツや文化活動など、学業以外の分野で実績を持つ学生に支給されます。
公務員奨学金
学費支援と引き換えに、一定期間公的機関で勤務する義務が課されます。また卒業後は公務員として働くことができます。
参考WEBサイト:KOMPAS公式サイト「知っておくべき12種類の奨学金」
インドネシアの主な奨学金制度
以下は、インドネシアで代表的な奨学金制度の一部です。
プルタミナ奨学金(Beasiswa Pertamina)
国営石油会社プルタミナの財団が提供する奨学金で、提携大学の学生を対象としています。
授業料や生活費に加え、研修や社会活動への支援も含まれます。
LPDP奨学金(Beasiswa LPDP)
インドネシア財務省が提供する代表的な奨学金制度で、国内外の大学への進学を対象としています。
授業料、生活費、研究費などが包括的に支給され、将来のリーダー人材の育成を目的としています。
優秀学生奨学金(Beasiswa Unggulan)
インドネシア政府が提供する奨学金で、国内外の大学で学位取得を目指す優秀な学生を対象としています。
KIPカレッジ奨学金(Beasiswa KIP Kuliah)
経済的に困難な学生を対象とした政府支援プログラムで、学費支援を通じて高等教育へのアクセス向上を目的としています。
アストラ奨学金(Beasiswa Astra)
大手企業アストラ・インターナショナルによる奨学金で、奨学金支給に加え、インターンシップやメンター制度も提供されます。
以下は、インドネシアで提供される奨学金の例です。
Beasiswa Pertamina(プルタミナ奨学金)
プルタミナ財団による奨学金で、プルタミナ財団の提携校で学ぶ学生に対し奨学金を提供しています。
授業料、生活費、書籍代、研修代、建物建設活動費を支給します。
この奨学金は、社会活動や環境保護活動に熱心が学生を対象としています。
参考WEBサイト:masuk-PTN公式サイト「奨学金の種類」
LPDP奨学金の動向
数ある奨学金の中でも、特に海外留学を後押しする制度として注目されるのがLPDP奨学金です。
同制度は2025年までに累計で大規模な資金提供を行い、多くの人材育成に貢献してきました。
直近では、2024年の受給者数が8,592人であったのに対し、2025年は4,295人と減少しましたが、2026年には5,750人へと再び拡大が予定されています。
このような動きからも、インドネシア政府が引き続き高度人材の育成と海外派遣に注力していることがうかがえます。
参考WEBサイト: Good Stats「2026年度LPDP選考スケジュールと2021年から2025年までの受給者数」
LPDP奨学金の申請方法とスケジュール
LPDP奨学金の申請は、オンラインでの登録および書類提出を通じて行われます。
2026年のスケジュール例は以下の通りです。
<申請方法>
LPDP奨学金の公式サイトにてオンライン登録を行い、必要書類をすべて提出します。
<選考スケジュール(例:2026年)>
- 応募登録:2026年1月22日〜23日
- 行政審査:2026年2月24日〜3月12日
- 行政審査結果発表:2026年3月13日
- 学業評価試験:2026年5月2日〜9日
- 学業評価試験結果発表:2026年5月14日
- 最終合格発表:2026年6月22日
参考WEBサイト:lpdp公式サイト「LPDP奨学金ポリシー」
奨学金制度の課題と今後の動向
インドネシアでは奨学金制度の普及が進む一方で、いくつかの課題も指摘されています。
- 奨学金が本来の教育目的以外(娯楽や旅行など)に使用されるケース
- 奨学金制度を装った詐欺の存在
- 本来支援が必要な層に十分に行き渡っていない可能性
こうした課題に対しては、制度の透明性向上や審査体制の強化が求められています。
参考WEBサイト:TEMPO公式サイト「奨学金制度は拡大しているが、地域社会への普及には課題がある」
本コラムでは、インドネシアの奨学金制度についてご紹介しました。
インドネシアの奨学金制度は、単なる教育支援にとどまらず、国家の人材育成戦略として重要な役割を担っています。
また、奨学金制度を通じて育成された人材は、高い専門性や社会貢献意識を持つ傾向があり、日本企業にとっても有望な採用対象となる可能性があります。
一方で、制度の運用や分配の公平性といった課題も存在しており、今後はこれらの改善に向けた取り組みも重要となります。
こうした背景を踏まえると、教育・人材・産業を横断した連携モデルの構築が、今後のインドネシアとの関係強化および日本企業の展開において鍵を握るといえるでしょう。
弊社インドネシア総研では、現地の最新動向の調査や市場分析、インドネシア人材の採用支援、視察・出張サポートなどを通じて、日本企業のインドネシア展開を総合的に支援しております。
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