【コラム】インドネシアの若者のインターネット利用率とパソコン・携帯電話の利用率
インドネシアは近年インターネットの利用率が急激に伸びており、2020年時点ではインドネシア国内の約2億人がインターネットにアクセス可能な状況となっています。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、Statistik Telekomunikasi Indonesia 2019(インドネシアの通信統計2019)より
弊社作成(閲覧日:2021年2月22日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/02/be999725b7aeee62d84c6660/statistik-telekomunikasi-indonesia-2019.html
更にインドネシアではインターネットやスマートフォンなどの急速な普及から、近年オンラインショッピングやキャッシュレス決済サービスなどの需要も急激に拡大しています。
インドネシアの“デジタル社会”を考える上で欠かせないのが若者層です。
インドネシアは若者の人口が多く、インドネシアのミレニアル世代(20代~30代後半)や、Generation Z (Z世代/1990年代半ば~2000年代前半生まれ)、更にそれより下のデジタルネイティブ世代(生まれたときからインターネットが身近な世代)と呼ばれる層の若者は、従来の世代とは考え方や価値観が異なり、効果的なマーケティングも異なると言われています。
また、ECやオンライン決済の利用も活発であり、デジタルマーケティング上非常に重要な層と見られています。
今回のコラムでは、インドネシアの若者のインターネットの利用率とパソコンや携帯電話の利用率についてご紹介します。
また、先日のコラムでは、インドネシアの若者の居住エリアや学歴、結婚状況などのデモグラフィックデータについてご紹介しましたので、こちらも併せてご覧ください。
また、インドネシア全体のインターネットの利用についてはこちらよりご覧ください。
なお、本コラム内の「若者」とは、インドネシアに居住する16~30歳の層を指します。
以下グラフや表の出典は全てインドネシア中央統計局(BPS)の報告書からとなっております。
出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Statistik Pemuda Indonesia 2020(インドネシアの若者の統計2020)」より
https://www.bps.go.id/publication/2020/12/21/4a39564b84a1c4e7a615f28b/statistik-pemuda-indonesia-2020.htm
若者のインターネット利用率
インドネシアの若者のインターネット利用率は以下の通りです。
上記のグラフでは、インドネシア全体の個人でのインターネット利用率が47.69%となっていたのに対し、インドネシアの若者のインターネット利用率は概ね70%以上、平均では85.62%となっていることが分かります。
過去3か月以内のインターネットの利用率
|
全体平均 |
85.62% |
性別
|
男性 |
86.74% |
女性 |
84.47% |
|
地域
|
都市部 |
92.28% |
農村部 |
76.49% |
|
所得層
|
下位40% |
74.54% |
中間40% |
89.41% |
|
上位20 % |
96.98% |
|
年齢
|
16-18歳 |
88.07% |
19-24歳 |
87.99% |
|
25-30歳 |
81.93% |
州別でみると、若者のインターネット利用率が最も高い州はジョグジャカルタ特別州で98.50%、最も低い州はパプア州で39.35%でした。
概ね60%以上の利用率となっていますが、パプア州のみ圧倒的に若者のインターネット利用率が低いことが分かります。
携帯電話とパソコンの利用率
以下は、インドネシアの若者の携帯電話所有率です。
携帯電話所有率と過去3か月以内の利用率
|
所有率 |
利用率 |
|
全体平均 |
88.77% |
94.55% |
|
地域
|
都市部 |
92.96% |
96.71% |
農村部 |
83.01% |
91.58% |
|
性別
|
男性 |
90.61% |
94.93% |
女性 |
86.87% |
94.16 |
|
年齢
|
16-18歳 |
86.88% |
93.84% |
19-24歳 |
90.31% |
95.26% |
|
25-30歳 |
88.18% |
94.20% |
特に大きな差が見られるのが所得層別でみた場合の携帯電話の所有率で、下位40%以下でも80%ほどの所有率となっていますが、上位20%は97.60%とほぼ全員が所有していることが読み取れます。
では、インドネシアの若者のパソコンの利用率はどのくらいなのでしょうか。
以下は、過去3か月以内にPCの利用をしたと回答したインドネシアの若者の割合です。
インドネシアの若者の過去3か月のパソコン利用率
全体平均 |
26.45% |
|
性別
|
男性 |
25.02% |
女性 |
27.92% |
|
地域
|
都市部 |
33.46% |
農村部 |
16.84% |
|
所得層
|
下位40% |
12.53% |
中間40% |
24.56% |
|
上位20 % |
52.88% |
|
年齢
|
16-18歳 |
39.38% |
19-24歳 |
26.65% |
|
25-30歳 |
19.47% |
若者のパソコン利用率は、携帯電話利用率と比較すると大幅に少なくなります。年齢層で比較した場合、25~30歳の層と比較して、16~18歳の層と19~24歳の層がパソコンの利用率が高くなっていますが、これは高校や大学における教育場面において授業でパソコンが使われるケースがあるためと考えられます。
また、家庭の経済状況は、若者のパソコン利用率に影響を与えます。
所得層下位40%は、パソコン利用率が12.53%に留まっており、上位20%と比較すると大きな幅があることが分かります。
更に、都市部と農村部でのパソコンの利用率にも開きがあり、農村部においてパソコンを利用できる施設が限られていること、電力やICTインフラストラクチャーなども課題として挙げられるでしょう。
インドネシアでは、インターネット利用率自体は高いものの、携帯電話からのアクセスが多く、パソコンの利用率はまだまだ家庭の状況や居住エリアによって大きく異なることが伺えます。
日本では、SNSやECサイトなどはパソコンから閲覧することも珍しくありませんが、インドネシアでは携帯電話からの閲覧、利用の方が多く、例えばECサイトの利用については、インドネシアのインターネットユーザーのうち、ECサイトを利用して携帯電話(スマートフォン)からショッピングをする人の割合は76%となっています。
参照:https://datareportal.com/reports/digital-2019-ecommerce-in-indonesia
いかがでしょうか。
弊社は、インドネシアの情報通信技術についての調査やヒアリング手配代行なども承っております。現在新型コロナウイルス感染拡大の影響によりインドネシア現地への渡航は大変難しい状況ですが、オンラインでの対応なども行っておりますので、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
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