【コラム】インドネシアの水の統計

綺麗な水は、人々が健康に生活するうえで欠かせないものです。
インドネシアでは経済発展に伴い浄水量も増加していますが、安全な飲料水へのアクセスには依然として課題が残っています。
本コラムでは、2023年のインドネシアにおける浄水に関する統計データをもとに、現状と今後の課題についてご紹介します。
※本コラムの出典は以下のインドネシア中央統計局(BPS)の報告書に基づいています。
出典:Statistik Air Bersih 2019-2023(浄水統計2019-2023) を基に弊社作成(閲覧日:2025年4月27日)
https://www.bps.go.id/id/publication/2024/12/20/646b632f1f6b6bf9a4132816/statistik-air-bersih-2019-2023.html
インドネシアの浄水量
2023年のインドネシアにおける浄水量は55億100万㎥で、2022年と比較して4.44%増加しています。
また、浄水量のうち浄水場からユーザーに供給される浄水漏出量は7億800万㎥で、前年と比較して7.18%減少しました。
インドネシアの浄水管理会社
以下は、インドネシアにおける浄水会社数の推移です。

2019年から2022年にかけて大きな変動は見られませんでしたが、2023年には前年より6社(1.29%)増加しました。
増加した6社は、アチェ州2社、西ジャワ州2社、北スラウェシ州1社、南東スラウェシ州1社、マルク州1社です。
インドネシアの浄水会社の労働者数
インドネシアでは、浄水会社の数の増加に伴い、そこで働く労働者数も増えています。
2022年に59,558人だった労働者数は、2023年には60,096人となり、0.9%増加しました。
また、労働者のうち技術職が52%を占め、非技術職よりもやや多い割合となっています。
インドネシアにおける浄水会社で働く労働者の最終学歴を見ると、高卒が67%と最も多く、残り33%が高卒以上の学歴を持っています。

また、労働者のうち技術職が52%を占め、非技術職よりもやや多い割合となっています。
労働者の最終学歴は、以下の通りです。

高卒の割合が多く、労働者のうち67%が高卒で、33%が高卒以上であることがわかります。
インドネシアの浄水会社の顧客数
インドネシアでは、近年衛生意識の高まりにより、綺麗な水を求める人が年々増えています。
2023年のインドネシアにおける浄水会社の顧客数は約1,700万人となり、前年から約70万人増加、4.46%の伸びを記録しました。
インドネシアにおける安全な水へのアクセスの課題
インドネシアでは、浄水量や浄水会社の顧客数は年々増加しているものの、安全な水へのアクセスには依然として課題が残っています。
インドネシア水道協会(PERPAMSI)のデータによると、2023年時点で水道水を利用できる世帯はわずか19.47%にとどまっています。
この大きな要因として、インドネシア政府による予算不足が挙げられます。
インドネシア政府が安全な水へのアクセス向上のために割り当てている予算は、必要額の約70%に過ぎません。
また、政府は2030年までに全世帯が安全な水にアクセスできるようにするというSDGs目標を掲げていますが、これを達成するためには、現在の予算に加えてさらに300兆ルピアの追加資金が必要とされています。
安全な水へのアクセスは、国民の健康と生活の質を支える基盤です。今後、インドネシアが持続可能な成長を遂げるためにも、官民一体となった取り組みと安定的な資金確保が求められています。
インドネシアの飲料水の供給源
インドネシア中央統計局(BPS)のデータによると、家庭用飲料水の供給源として最も多いのはボトル入り水(ミネラルウォーター)で、全体の40.64%を占めています。
その他、水道水、地下水、井戸水などが残りを構成していますが、安全性が十分に確保されていない地下水や井戸水に依存する割合も高いのが現状です。
生活用水、飲料水のいずれにおいても、インドネシアでは安全な水へのアクセスには引き続き課題が残ると言えるでしょう。
今回のコラムでは、インドネシアの水における統計についてご紹介しました。
インドネシアでは浄水インフラの整備が進んでいる一方で、安全な水へのアクセスには依然として課題が残っています。
今後の発展には、インドネシアにおける官民連携による支援と持続可能な取り組みがますます重要になるでしょう。
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