【コラム】インドネシアのAMDAL(環境影響評価書)とは

O-DAN

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AMDAL(環境影響評価)とは、1999年の政府規則第27号に基づき、インドネシアで企業や事業者が開発を行う際に義務付けられている調査で、環境への影響を評価するものです。

今回のコラムでは、インドネシアのAMDALについて紹介します。

目次

インドネシアのAMDALとは

AMDALは、環境影響評価や環境アセスメントとも呼ばれます。

2009年法律第32号および2021年政府規則第22号において、AMDALは事業・活動の実施に関する意思決定の前提条件として位置付けられ、中央政府や地方政府から事業許可・承認を得る際に必要な調査とされています。

また、AMDALは環境への影響だけでなく、生物学的、社会的、物理的、科学的、経済的、文化的影響など、さまざまな要素を分析する役割も担っています。

参考WEBサイト:https://www.cnnindonesia.com/edukasi/20231003151419-569-1006606/apa-itu-amdal-ini-pengertian-fungsi-dan-manfaatnya

AMDALの目的

AMDALの主な目的として、以下の3点が挙げられます。

  1. 政府および事業者の意思決定を支援するための情報提供
  2. 環境汚染を防止・制御・監視するためのガイドラインの提供
  3. 地域開発計画のための情報・データの提供

AMDALは、経済発展が著しいインドネシアにおいて、環境を守るために政府が導入した重要な仕組みであることがわかります。

AMDALの対象となる事業

AMDALは、インドネシアにおける全事業に必要という訳ではなく、以下の事業が対象とされています。

分野:防衛
活動:建物建設、海軍基地建設、空軍基地訓練場建設

分野:農業
活動:食品作物の栽培、園芸作物の栽培、プランテーションによる食品作物栽培

分野:水産・漁業
活動:中・高レベルの技術による魚/エビの養殖、水上養殖

分野:交通
活動:鉄道建設、乗客ターミナルおよび陸上貨物輸送、ターミナルの建設大新規浚渫による浚渫など

分野:衛星通信
活動:衛星通信施設の建設および運営、ロケット発射施設の建設、ロケット推進薬製造施設の建設など

分野:工業
活動:クリンカ製法によるセメント製造、人工林と一体となったパルプ製造または製紙業、上流石油化学産業など

分野:公共事業
活動:ダム/貯水池、その他の貯水施設の建設、灌漑施設の建設、湿地開発、灌漑のための湿地浚渫など

分野:居住・定住地域
活動:居住および定住地域の建設

分野:エネルギー・鉱物資源
活動:鉱物資源、石炭、金属資源、非金属資源、岩石、放射性鉱物の採掘 など

分野:石油・天然ガス
活動:洋上の石油、ガスおよび燃料パイプライン設置、精製所建設、液化天然ガス再ガス化ターミナルなど

分野:電力
活動:送電ネットワーク、建設発電所開発

分野:再生可能エネルギー
活動:探鉱段階の地熱発電、バイオ燃料精製所建設

分野:観光
活動:観光業、レクリエーション/パーク、ゴルフ場

分野:危険・有害廃棄物処理
活動:利用、加工および/または埋立を含む危険および有害廃棄物処理業

分野:原子力
活動:原子炉の設置および運営、核物質濃縮、核物質転換および核物質精製施設、使用済み核燃料の再処理施設、使用事務核燃料の一次的保管施設、最終処理場を含む原子炉以外の各施設の建設および運営など

分野:複数セクターにまたがる分野
海岸地域及び小島の埋立て、丘の掘削及び土地埋立てなど

AMDALは17の分野が対象となっており、対象となる活動は70以上に及びます。

また、上記分野の中でAMDALが必要な活動が最も多い分野は公共事業で12の活動が挙げられています。

なお、AMDALが必要でない場合であっても、環境管理とモニタリング計画の審査が必要となる場合もあるようです。

参考WEBサイト:https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment/image/inv_indonesia15_02.pdf

AMDALのメリット

AMDALのメリットは、「企業オーナー」「政府」「地域社会」「環境」の4つのカテゴリに分類できます。以下は、それぞれのメリットです。

企業オーナー

  • 事業の利点やリスク、活動の概要を把握できる
  • 事業を行う地域の環境条件(生物・地理・物理・社会・経済・文化)を明確にイメージできる
  • 発生し得るリスクや課題を最小化するための資料として活用できる
  • 環境管理計画の基礎データとして利用でき、より良い事業開発管理が可能になる
  • 事業周辺コミュニティの安全確保に役立つ

インドネシア政府

  • 事業者の環境管理を統制できる
  • 事業者による天然資源や環境の適切な管理が可能になる
  • 環境汚染や資源の浪費を防ぐことができる
  • 事業地周辺の他プロジェクトとの競合を回避できる
  • 事業のメリットを市民に明確人伝えられる
  • 持続可能な開発を保証できる
  • 環境管理の関係者へ責任を持たせることができる
  • 地域開発計画の策定に貢献する
  • 科学技術の発展を促進できる
  • 研究・開発分野への貢献が期待できる

地域社会

  • 事業者の環境管理を適切に統制できる
  •   事業者による天然資源の適切な管理を促進できる
  •   環境に関する知識や技術の向上につながる

環境

  • 環境品質の維持・向上が期待できる
  • 天然資源を持続可能な形で利用できる

特に、インドネシア政府にとってのメリットが大きく、持続可能な開発や環境保護の観点からも重要であることがわかります。

参考WEBサイト:https://www.hukumonline.com/berita/a/dasar-hukum-pelaksanaan-amdal-lt61f096a74e0ca/

今回のコラムでは、AMDALについてご紹介しました。

事業開発による環境破壊は、開発地周辺に住む人々の安全を脅かす可能性があります。しかし、AMDALがあることで、事業開発と環境保全のバランスが保たれ、地域の人々も安心して暮らすことができます。

AMDALは、経済発展と環境保全の両立を目指すための重要なツールです。そのため、インドネシアでビジネスを行う際には、AMDALへの理解が不可欠だと言えるでしょう。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野における市場調査、現地視察を行っております。

インドネシアにおけるビジネスにご興味ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

参考WEBサイト:https://www.gramedia.com/literasi/amdal/?srsltid=AfmBOooiHJ6B3QBP4dWRf3M2K46Iw2vfGR1Sso7lT_MN1wOEu3EaICxH

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