【コラム】インドネシアの調味料サンバルの種類
heri priana
皆さんはインドネシアのサンバルと聞いてどのようなものか想像できますでしょうか?
サンバルとは、インドネシア及びマレーシアの料理には欠かすことのできない辛味調味料のことです。今では日本の輸入食材店でも瓶詰めで販売されていることも多く、料理に辛味を足したい方にはおすすめの調味料となっています。ひとくちにサンバルといっても、少し甘味のあるものからとても辛いものまで、多種多様な種類があり、インドネシア産とマレーシア産の違いもあります。
インドネシアのガジャマダ大学の研究チームによると、インドネシア全土では実に322種類ものサンバルがある事が発表されています。今回のコラムでは、インドネシアにはどのような種類のサンバルがあるのかについて、紹介していきたいと思います。
https://www.viva.co.id/gaya-hidup/kuliner/1034315-wow-ternyata-ada-322-jenis-sambal-di-indonesia
Martin Merenyi
インドネシアのサンバルの原材料
インドネシアのサンバルの種類は多岐にわたりますが、基本的な原材料は唐辛子、エシャロット(赤玉ねぎ)、ニンニク、ヤシ糖、砂糖、食用油です。この基本的な材料に加え、サンバルの種類によって別の材料が追加されます。また、サンバルの種類によって調理方法も異なっており、生のまま料理に混ぜて使用するもの、炒めるものなどがあります。
多種多様なインドネシアのサンバルのご紹介
Tubagus Topan
冒頭でも紹介しましたが、サンバルには多種多様な種類がありその数は300種類を超えるとも言われています。ここでは300種類のサンバルは紹介しきれませんが、厳選した10種類のサンバルをご紹介します。
1.サンバル・トゥラシ(Sambal Terasi)
サンバル・トゥラシは、非常にポピュラーなサンバルの1つで、唐辛子やニンニクなどの基本的な原材料に加えてエビを発酵させたペーストが加えられていることが特徴の1つとなっています。マレーシアにも類似のサンバル・ブラチャン(Sambal Belacan)というエビのペーストを用いたサンバルがあります。インドネシアのエビのペーストには魚も使われており発酵過程もマレーシアのものより長い時間をかけるため香りがマレーシアのサンバルより強いという違いがあります。
https://travel.kompas.com/read/2017/05/16/171000427/ini.bedanya.terasi.malaysia.dengan.terasi.indonesia.
(サンバル・トゥラシの補足で参照)
2.サンバル・ダブダブ(Sambal Dab-dab)
サンバル・ダブダブはマナド発祥で、インドネシア東部で人気があります。このサンバルの特徴としては基本の原材料の他にトマト、バジルの葉、ライム果汁が入っていることです。ライム果汁が入ることで酸味が増し、魚やシーフード料理の匂いを抑えることができます。
3.サンバル・アンダリマン(Sambal Andaliman)
このサンバルはスマトラ島北部のバタック人居住区が発祥です。主な原材料はアンダリマンというコショウに似た小さな実の形をしたスパイスです。このサンバルを食べると独特のスパイシーな苦みを感じられることがユニークな特徴となっています。
4.サンバル・マンガ(Sambal Mangga)
このサンバルにはまだ熟していない若いマンゴーが入っており、酸味のあるユニークな味わいが特徴となっています。まだ熟していないマンゴーのさわやかな味わいを活かし、脂っこい料理に使用して食べるのが一般的です。マンゴーの季節にご家庭で作るのには最適なサンバルです。
5.サンバル・トゥンパン(Sambal Tumpang)
サンバル・トゥンパンは原材料として、テンペ・ボソック(Tempe Bosok)という腐りかけのテンペを使っている点が大きな特徴となっています。このサンバルはジャワ島東部およびジャワ島中部のものが有名です。サンバル・トゥンパンは独特の酸味と強い香り、そしてテンペ・ボソックの燻製のような香りがユニークな風味となっています。
6.サンバル・リチャリチャ(Sambal Rica-rica)
サンバル・リチャリチャはマナド発祥のサンバルで、マナドの辛い料理に使われることもあり非常に辛いものです。このサンバルは調理時に揚げるため、サンバル・ゴレン(Sambal Goreng)とも呼ばれています。辛味以外にも、ライムの葉、ライム果汁、ショウガ、レモングラスなどを加えているため、爽やかな味わいも加わっています。
7.サンバル・ペチェル(Sambal Pecel)
このサンバルは唐辛子の分量よりもピーナッツとヤシ糖を多く入れることが特徴です。このサンバルは野菜料理に付け合せるのがおすすめで、甘すぎず辛すぎずの味わいであり、辛いサンバルが苦手な方にもおすすめです。
8.サンバル・ロア(Sambal Roa)
このサンバルはマナドの代表的なサンバルの1つとなっています。原料に燻製にした魚であるロア・フィッシュを使っていることが大きな特徴です。揚げたバナナに付け合せて食べるのが一般的な食べ方となっています。
9.サンバル・ケチャップ(Sambal Kecap)
サンバル・ケチャップはシンプルな材料を混ぜるだけでできるため、家庭料理では定番のサンバルとなっています。このサンバルはケチャップ・マニス(Kecap Manis)という甘口醤油に小口切りにした唐辛子、薄切りにしたエシャロット、ライム果汁を混ぜて完成です。サンバル自体に強い辛味はないですが、唐辛子を噛むと辛味が広がります。サテや焼き魚などと一緒に食べると美味しくいただけます。
10.サンバル・エンベ(Sambal Embe)
サンバル・エンベはバリ島発祥のサンバルです。唐辛子、エシャロット、エビのペーストというシンプルな材料のみで、調理方法はこれらの材料を薄切りにして炒めるだけです。同じくバリ島発祥のサンバル・マタ(Sambal Matah)も同じような材料から作られていますが、調理方法に大きな違いがあります。サンバル・エンベの場合は生のままのサンバル・マタとは異なりエシャロットをカリカリになるまで炒めるという点が特徴となっています。
https://www.kompas.com/food/read/2021/06/26/171719275/apa-itu-sambal-embe-khas-bali-dan-bedanya-dengan-sambal-matah
(サンバル・エンベの補足で参照)
https://www.kompas.com/food/read/2020/11/18/113833575/20-sambal-khas-indonesia-sambal-terasi-sampai-embe?page=all
(上記10種類のサンバルの説明すべてで参照)
Hobi industri
今回のコラムでは広大なインドネシアの多様な食文化の1つとして、インドネシア料理には欠かせない各地の多種多様なサンバルをご紹介いたしました。インドネシアで事業展開をする際には食文化の理解も欠かせない要素のひとつとなります。弊社インドネシア総合研究所では、インドネシアの食文化などの背景も考慮した食に関するビジネスのサポートも行っております。
またインドネシアの食文化と言えばハラル対応も「インドネシアの食ビジネス」において忘れてはならない要素の一つです。そして、本年3月にご紹介しましたコラム「インドネシアの国家医薬品・食品監督庁BPOMとその登録方法について①~②」でもご案内致しましたBPOM登録もこの地で食のビジネスを展開する上で忘れてはならない要素です。
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