Gojekなどジャカルタの新たな交通サービスの台頭とは
ジャカルタの渋滞はとても深刻です。この状況でGojekなどの新たな交通サービスが台頭してきています。
今回はジャカルタの新たな交通サービスについてまとめました。
ジャカルタの新たな交通サービスの台頭
ジャカルタでは慢性的な渋滞のため、小道や小回りの効くバイクの需要が非常に高いです。
そこで、今までは比較的安価で手に入り、地方出身者でも仕事を始めやすいバイクタクシー(インドネシアではオジェック(ojek)と呼ぶ)が庶民の足を担っていました。
近年では、そのオジェックのサービスをオンラインで利用できるサービスが主流となってきています。このオンラインサービスはインドネシアの市街地を中心に急激に伸びており、その中でもスマホのアプリケーションを通じて自分が指定した場所へバイクや車を呼べる交通サービス、Go-jekは都市部の渋滞を背景に誕生しました。
それまでは個人営業のオジェック(ojek) が主流でしたが、利用客はそのドライバーが待機している場所に自らの足で向かわねばならず、交通サービスの需要をカバーできず、また金額もその場で交渉する必要がありました。
Gojekとは
2015年、Gojek創始者であるNadiem Makarim氏により、20人のドライバーと100人のユーザーからオンラインアプリケーションでオジェック(ojek)を呼べるサービス『Gojek』がはじまりました。
現在では約50万人ものドライバー、スタイリスト、セラピスト(後述)等を抱え、ユーザー数は3,400万人を超えます。
これはインドネシアのネットユーザー約7,000万人のおよそ半数になります。
Go-jekはアプリ上で乗車場所と降車場所を指定し、そこまでの料金が表示され、その後近くの対応可能な登録ドライバーが見つかれば、そのドライバーの連絡先や写真、乗車場所まで何分で着くかまで表示されるようになっています。
また、必ず乗客ようのヘルメット、マスク、ヘアキャップをドライバーが持っており、このようなユーザーにとって快適、安心、安全なサービスを行なっているため、今までに年14%も業績を伸ばし、成長を続けています。
こうしたオンラインサービスへの移行は、従来のオジェックのサービスの面倒さ、時間や価格の問題など数々の課題を浮き彫りにすることになりました。
現在Gojekサービスは車やバイクタクシー以外にも荷物宅配サービス、買い物代行サービス、飲食のデリバリーサービス、マッサージ師やスタイリストの派遣、さらには映画やイベントのチケットなどを購入するサービスまで展開しています。
このような交通以外のサービスはGo-Lifeと総称され、ユーザーは400万人にのぼり、わざわざユーザー自ら渋滞の中移動することなく、自宅で待っているだけで欲しいものが手に届くとして支持されています。
こうしたサービスは、安価で気軽なサービスとして爆発的に広まっています。
ドライバーが捕まらないなど、オーダー後に待たされるようなことがあれば、キャンセルができ、新たにオーダーすることができます。
Go-jekはスマートフォンを通じて買い物の代行や様々なサービスの実現をし、オーダーはアプリを起動させたった5秒で済むような新しいスピードのサービスを定着させています。
様々な交通サービス
Gojekの成功にインドネシア国外の多くの交通サービスを提供する競合会社が興味を持ち、UberやGrabをはじめ、Jeger, Bojek, BangOjekのようなローカル企業も参入しています。
ある企業は、ユーザーの興味を引くようなプロモーションとして、インドネシアでは破格のRp. 200,000にも及ぶ割引券の配布などのプロモーションをしています。Go-jekをはじめとする各会社のサービスは下記である。
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交通サービスの台頭による新たな問題
順調に見えている市街地でのオンライン交通サービスでも問題もあります。既に縄張りを持っていた既存の交通サービスであるオジェック(ojek)、タクシー、乗合バス、自動三輪タクシー(バジャイ(bajai))は彼らの顧客は新しいオンライン交通サービスに奪われたため反発しています。
タンゲラン市、バンドゥン市などでは抗議運動も発生した。個人経営のオジェック(ojek)やバジャイ(bajai)や乗合バスだけでなく、それまで交通の要であった大手タクシー会社PT Blue Bird Tbk (BIRD)やPT Express Transindo Utama Tbk (TAXI)も少なからず業績に打撃を受けています。
ジャカルタのバジャイ(bajai)運転手Jaelani氏によると、「オンライン交通サービスによって私たちの生活が脅かされている。私のようなバジャイ(bajai)運転手は、オンライン交通サービス普及前には一日で10万ルピアから15万ルピアを稼ぐことができた。しかし現在では3万ルピアを稼ぐことすら難しく、ごく少額のお金を持って帰っても貯金なんて不可能だ。」と、オンライン交通サービス普及前後の収入の激変について嘆いています。
このような現状の改善策を見出さない限り、オンライン交通サービスと既存の交通サービスとの軋轢は埋まらないと思われます。
インドネシア東ジャワ州のマラン市では、オンライン交通サービスに対しての規制があり、ホテル、モール、駅、市場、病院、ミニバス等の公共交通の通る道での乗客ピックアップが禁止されています。
政府は全ての交通サービスにおいて安全性と公平なサービスが行われることを目標に掲げています。
政府は法令を緩和する予定で、今までは正式な許可を受けていなかった個人所有の乗用車やバイクも乗客を乗せることが正式に許可されるようになり、公共交通機関が行き渡っていない地域での新たな解決策の提供、また事業者への税金の支払いの徹底化等が期待されています。
また、交通サービスにおいての一律運賃が決められた場合、PT Blue Bird Tbk (BIRD)やPT Express Transindo Utama Tbk (TAXI)などのタクシー会社の業績の安定への期待も寄せられています。
一律料金の設定を希望する背景には、現在オンライン交通サービスは他の交通サービスに比べて安価に提供されています。現段階では大きな利益を上げられているとは言えないかもしれませんが、ジャカルタや他の都市に住む人々にとっては時間をかけることなく簡単に携帯で呼ぶことができ、安価なサービスは非常に需要と合っていると思われます。
ジャカルタの交通事情は非常に深刻です。このようなサービスはたくさん生まれていますので、ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか?
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