ジャカルタの渋滞は世界で3番目に深刻な状況
インドネシアの首都ジャカルタへ一度でも訪れたことのある人なら、日本では帰省ラッシュでしか経験しないような酷い日常的な渋滞を経験したことがあると思います。渋滞は大通りや高速道とのみならず小道や住宅地にまでおよぶことも少なくありません。
今回はジャカルタの渋滞事情についてまとめました。
世界で3番目に渋滞が深刻
Castrol社の最新調査によると、ジャカルタでは「渋滞によってブレーキを踏む回数」が車1台につき、年間で平均約33,240回と言われています。
また2015年のOnline Timeの記事では、ジャカルタの渋滞は世界で最も深刻と紹介されており、世界的な渋滞量調査を行うTom Tom Traffic Indexは、2016年においてジャカルタはメキシコ、バンコクに続く世界で3番目に渋滞が深刻であると発表しています。
Tom Tom Traffic Indexによるとジャカルタの渋滞指数は58%で、これは渋滞のある時の所要時間が、渋滞のない時よりも58%増加するということを意味します。
つまり、普段1時間の距離を移動するのに、渋滞時は1時間半以上かかるという計算ですが、実際は移動する地域によっては、通常の2〜3倍くらいの時間を覚悟しておく必要がある場合もあります。
渋滞に1日48分も巻き込まれている
ジャカルタで渋滞に巻き込まれている時間は、1日平均48分で、年間にすると184時間にも及ぶといわれています。
2016年5月4日、ジャカルタで最も酷い渋滞が発生しました。
これは5月5日から8日の連休を前に、早く家路につきたい人が集中し、帰宅ラッシュが悪化したことが原因として挙げられます。
その時のグーグルマップを見てみると、赤で染まった道とそのエリアでは特に交通量が多く、渋滞が酷いことがわかります。
ジャカルタの渋滞には様々な要因がありますが、ジャカルタ郊外からジャカルタ市内へ仕事に通う人も多く、郊外から毎日何十万台という車やバイクがジャカルタ市内に流入しています。
ジャカルタ市内を走行するバイクの総数は、2015年時点で約1,800万台というデータもあり、このバイクの総数はジャカルタの人口約1,000万人よりもバイクの総数が多いことも、郊外からの通勤手段として使われるため渋滞が酷くなる傾向があります。
公共交通機関の整備遅れ
交通量以外にも、道路整備にも問題があります。
ジャカルタ市公共事業局によると2012年から2015年の間、道路の拡幅・延長工事は行われなかったため、大通りでは増え続ける人口と郊外からの流入人口の増加により年々交通密度が増え続け、数多くの渋滞するポイントを生み出す結果となってしまっています。
アジア屈指の経済都市ジャカルタで、なぜ渋滞がこれほどまでに深刻であるかというと、何も交通量の多さや人口の増加だけが問題ではありません。
ジャカルタ市内はまだまだ公共交通機関の整備や安全性、定時巡行が整備されておらず、現在はトランスジャカルタという市内バスや乗合バスとジャカルタ-郊外を結ぶ鉄道があるのみで、ジャカルタ市内や郊外とのアクセスの不自由さや時間の不自由さなど問題が山積みです。
そんなジャカルタや郊外から来る人々にとってバイクは比較的安価で、購入が簡単であることから個人で自由に移動の出来る交通手段としてバイクが特に好まれています。
首都ジャカルタでさえも交通ルールが浸透していなく、交通のマナーが守られないことも多いため、ルール無視の運転手によりさらなる交通事情の悪化を招いています。
こういった交通量や運転マナーだけでなく、ジャカルタではビジネス街、学校やショッピングセンターなどが数か所に集中しているため、ラッシュ時間と重なるとその地域の交通量は膨大にることが渋滞の原因ともいえます。
政府や関係省庁の渋滞対策
渋滞問題に対して、政府や関係省庁が対策をしていないわけではありません。
これまでに行われたジャカルタで渋滞緩和策は、1台の車に最低3人は乗るように取り決めた3 in1、地下道や立体道路の整備、ナンバープレートの末尾番号による偶数/奇数車の規制、大通りの中で自動二輪進入禁止エリアの設定、そして3 in 1の代替案として電子道路課金制度Electronic Road Pricing (ERP)の試験(未施工)などしました。
ただ大通りの規制により、その周辺の道路の渋滞が悪化したり、規制の抜け道の手段が生まれたり、効果が著しくあがったとは言えないのが現状です。
2015年には、交通レーンの追加や交通渋滞ポイントの減少などを目的に、立体道路プロジェクトが2つと、バス専用の立体道路プロジェクトが1つの、合計3つのプロジェクトが立ち上げられました。
ジャカルタの渋滞については、またレポートしたいと思います。
出典:TomTom Index
インドネシアについてはインドネシア総研にお問い合わせください
弊社は、ジャカルタの交通事情などのインドネシアに関する調査をしております。
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260