【コラム】インドネシアのコーヒーにまつわる豆知識

コーヒーの産地というとブラジルなどの南米産のイメージも強いですが、実はインドネシアもコーヒー生産量が世界3位のコーヒー生産大国です。インドネシアのコーヒーはマンデリンやトラジャなどの種類が日本ではよく流通しています。

インドネシアのコーヒーは日本人にとっても身近な存在であり、日本のコーヒー文化を支える存在でもあります。

今回のコラムでは、インドネシアのコーヒー生産量、品種、インドネシア流の飲み方、そしてインドネシア人のコーヒー好きが読み取れるインドネシアのコーヒーをテーマにした小説をご紹介いたします。

インドネシアのコーヒー生産量

(出典:国連食糧農業機関(FAO)の統計より弊社作成)

参考:https://www.fao.org/faostat/en/#rankings/countries_by_commodity

上の図は2021年の世界のコーヒー生産量ランキングトップ10カ国ですが、インドネシアは76万5415トンの生産量で、世界第3位でした。また、東南アジア地域ではベトナムに次ぐ生産量です。

(出典:インドネシア中央統計局(BPS)「Statistik Kopi Indonesia 2021」より弊社作成)

上の図はインドネシアの地域別コーヒー生産量の割合を示していますが、上位の南スマトラ、ランプン、北スマトラ、アチェ、ベンクルはすべてスマトラ島に位置しています。ここではスマトラ島でコーヒー栽培が非常に盛んであることが分かります。

インドネシアで栽培されるコーヒーの品種と主なブランド

(出典:インドネシア商業省「WARTA EKSPOR – Edisi Februari 2018」より作成

  アラビカ種 ロブスタ種
栽培に適する標高 標高1000-2000メートル 標高300-800メートル
特徴 酸味が強く花のような香り 苦みが強く麦茶のような香り
長所 香りが良い 病害虫に強く栽培しやすい
短所 病害虫に弱い 味のくせが強い

コーヒー豆は主にアラビカ種とロブスタ種という2つの種類に分かれます。世界の生産量の約6割がアラビカ種で、日本で飲まれているコーヒーのほとんどはアラビカ種です。アラビカ種は酸味が強く、花のような甘い香りが特徴的で、標高1000-2000メートルでの栽培に適しています。

しかし、霜、乾燥、病害虫に弱いため、栽培には手間がかかります。一方、ロブスタ種は苦みが強く、香りは麦茶に似ていると言われます。標高300-800メートルと、アラビカ種よりも比較的低高度での栽培が適しており、病害虫にも強いため、アラビカ種よりも簡単に栽培が可能です。ロブスタ種は主にインスタントコーヒーに使われています。

インドネシア商業省のデータによると、インドネシアで栽培されるコーヒーの品種はロブスタ種が75%を占め、アラビカ種は25%程度です。しかし、インドネシアで輸出向けに栽培されているのは主にアラビカ種です。

参考:https://coffee.ooaks.co.jp/kinds
https://djpen.kemendag.go.id/app_frontend/admin/docs/publication/9321548126511.pdf

【トラジャ】
トラジャコーヒーは南スラウェシ州トラジャにあるセセアン山脈の標高1400-2100メートルの山岳地帯で栽培されています。トラジャにはアラビカ種とロブスタ種の両方があり、アラビカ種の変種の方が有名です。

味は酸味が少なく、コショウやシナモンのようなスパイシーな味わいがあります。くせが少ない味わいであることから、世界中の人に親しまれており、主な輸出先は日本とアメリカです。

参考:https://www.nescafe.com/id/artikel/mengenal-kopi-toraja-yang-melegenda
https://www.merdeka.com/jateng/ini-7-jenis-kopi-terbaik-indonesia-yang-mendunia-rasa-internasional-kln.html

【アチェ・ガヨ】
アチェ・ガヨコーヒーはアチェ州の標高1200-1700メートルのガヨ高原で栽培される、インドネシア最高のコーヒーの一つです。その味は水っぽい喉ごしで、酸味も苦みも少なく、ナッツのような甘味をほのかに味わえるのが特徴です。

ほかの豆とブレンドにする場合、どんな豆との相性も良い品種です。2010年には公式の品質証明書により、世界最高のコーヒーとして認められました。

参考:https://www.nescafe.com/id/artikel/mengenal-karakteristik-kopi-gayo
https://www.merdeka.com/jateng/ini-7-jenis-kopi-terbaik-indonesia-yang-mendunia-rasa-internasional-kln.html

【キンタマーニ】
キンタマーニはバリ島の標高900-1000メートルの地域で栽培されています。キンタマーニはロンボク島のコーヒー農家が豆を持ち込んだことにより栽培が始まりました。その味は酸味が少なく、インドネシアの他のコーヒーのようなスパイス風の味わいもなく、柑橘系のフルーティーな香りがします。このコーヒーの主な輸出先は日本、アラブ、ヨーロッパです。

インドネシアのコーヒーの飲み方


インドネシアには「Tuburuk(トゥブロック)」という独特のコーヒーの飲み方があります。「Tuburuk」とは「衝突」という意味を持つインドネシア語(ジャワ語)に由来しています。

淹れ方はとてもシンプルで、砕いたり挽いたりしたコーヒー豆をカップに直接入れ、そこにお湯を注ぐだけです。飲む前にコーヒー豆の粉が沈殿するのを待つ必要がありますが、待つ間にコーヒーの香りを楽しむこともできます。このコーヒーの淹れ方は中東の貿易商がインドネシアに伝えたのが由来とされています。

コーヒーにまつわる物語


最後に、インドネシア人がどれ程コーヒーを好きかが分かる、映画化された小説をご紹介いたします。インドネシア人女性作家ディー・レスタリ(Dee Lestari)による「珈琲の哲学(Filosofi Kopi)」です。

コーヒー店を営む2人の男性がバリスタとしてインドネシアで最高のコーヒーを作るために試行錯誤し、コーヒー農家やさまざまな人々との関わりを通じて自らを見つめ直し、男同士の友情を深めていくお話です。

2015年に映画化され、日本語字幕の映画や日本語翻訳版の小説も出版されました。作中でも多くのインドネシアのコーヒー豆の品種や淹れ方の種類などが登場し、コーヒー好きにはたまらない作品となっています。

参考:https://shop.gyosei.jp/products/detail/10003


今回のコラムでは、インドネシアのコーヒーにまつわる生産量、栽培品種からコーヒーをテーマにした小説まで、あらゆる情報をご紹介いたしました。

インドネシアは世界の農業大国の一つであり、コーヒーはインドネシアを代表する農産物です。コーヒーや、お茶類などの嗜好品や農産品などの輸入に興味をお持ちの事業者の方、ぜひ弊社へお問合せくださいませ。

弊社はインドネシア全土に広大なネットワークを持っており、「はちみつ」「チョコレート」「コーヒー」などの食品やインドネシアの豊富な「燃料」「紙・木材といった素材」をはじめとした天然資源、その他アブラヤシなどのインドネシアの天然産品であるチャコール等のインドネシアから輸入をお手伝いさせて頂くことができます。

この様なインドネシアの食材・天然資源の調達にご興味のある方は是非弊社インドネシア総合研究所まで、お問合せ下さいませ。
皆様からのお問合せをお待ちしています。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

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