【コラム】インドネシアの映画産業の盛り上がりと最新動向2022

インドネシアの映画産業は、新型コロナウイルスのパンデミックにより一時低迷していましたが、復活の兆しを見せています。

インドネシア国内の映画鑑賞者数

以下は、インドネシアにおける映画館での映画鑑賞者数の推移です。

出典:Databoks並びにインドネシア映画庁(BPI)のデータより弊社作成
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2019/02/25/bekraf-targetkan-penonton-bioskop-2019-tumbuh-15
https://www.kompas.com/cekfakta/read/2022/09/23/201800682/kebangkitan-industri-film-indonesia-market-share-lewati-film-asing?page=all

2022年の映画館での鑑賞者数は9月時点での数字ですが、コロナ禍で低迷していた数字が復活しつつあります。特にコロナ禍では配信サービスの需要が急速に拡大し、配信サービスでの鑑賞者数を合計するとインドネシアの映画市場は再びコロナ以前の盛り上がりを見せているといえるでしょう。

現時点で最も鑑賞者数を多く獲得している2022年のインドネシアの映画は以下の通りです。(2022年9月時点)

・KKN di Desa Penari (9,233,847人)
・Pengabdi Setan 2 (6,390,970人)
・Miracle In Cell No.7 (3,543,856人)
・Horryfyingly Delicious(2,886,122人)
・Ivanna(2,793,775人)

出典:
http://filmindonesia.or.id/movie/viewer#.Y3METXZBzIU

これらの映画の鑑賞者数は、劇場のみでなく、動画配信サービスの視聴者数も含まれます。

以下は、インドネシアで人気のある映画のジャンルです。

ジャンル 2013 2014 2017 2018
ドラマ 16.28 20.86 24.02 41.34
コメディ 10.99 9.10 10.75 10.14
スリラー 11.83 7.07 9.44 9.2
ファンタジー 6.21 10.05 9.06 8.74
アクション 30.07 30.33 22.55 10.7
宗教関係 5.37 4.69
ホラー 18.27 16.51 16.22 12.31
アニメ 6.41 5.62
その他 0.98 1.4 1.55 1.95
合計 100(%) 100(%) 100(%) 100(%)

出典:インドネシア中央統計庁webサイトより
https://www.bps.go.id/indicator/2/968/1/persentase-judul-film-yang-ditayangkan-oleh-perusahaan-bioskop-menurut-genre.html

インドネシアでは特にドラマが人気のある映画ジャンルであり、その人気は年々高まっています。また、ホラーも非常に人気があり、毎年鑑賞者数の多い映画の上位にホラーがランクインしています。

また、インドネシア国内で上映された2022年の映画の市場シェアは、インドネシア映画は61%、外国映画は39%という結果となり、インドネシア映画が外国映画の視聴者数を大きく上回りました。

インドネシア映画企業協会(AFPI)の会長Chand Parwez氏によると、この快挙はインドネシアの映画産業の歴史の中で初めてだそうです。インドネシアではハリウッド映画が非常に人気があり、公開タイミングが早く、上映期間も比較的短く回転が速いのですが、2022年に入りインドネシア映画の人気も高まっていることが分かります。

参考webサイト:
https://www.kompas.com/cekfakta/read/2022/09/23/201800682/kebangkitan-industri-film-indonesia-market-share-lewati-film-asing?page=all

コロナによる規制の変化

インドネシア国内の映画館は現在、保健アプリ「PeduliLindung」で映画館利用者と従業員をスクリーニングするという条件下で、最大収容人数100%で営業可能です。
健康上の理由でワクチン接種を受けられない場合を除き、PeduliLindungのグリーン(ワクチン接種完了)に分類される人のみが映画館に入場可能です。

また、以前は12歳未満の入場を制限していましたが、現在では指定された映画館で保護者同伴という条件付きで12歳以下の観客も入場可能となっています。

参考webサイト:
https://21cineplex.com/slowmotion/daftar-bioskop-yang-sudah-memperbolehkan-anak-usia-di-bawah-12-tahun-masuk-ke-bioskop-dengan-didampingi-orang-tua,8059.htm
https://www.cnbcindonesia.com/news/20221114083810-4-387564/kasus-covid-ri-liar-tak-terkendali-ini-aturan-ppkm-terbaru

インドネシア国内の映画祭

インドネシア国内では多数の映画祭が開催されており、最近では以下の映画祭が開催されました。

・Jakarta Film Week 10月13日~16日
・Jakarta World Cinema Week 10月22日~30日
・インドネシア映画祭(Festival Film Indonesia) 11月22日

Jakarta Film Weekはコロナ禍で2021年に初開催された映画フェスティバルです。

また、先日11月9日にはバンドン映画祭が開催されました。バンドン映画祭は1987年より開催されている映画祭で、今年は「インドネシア映画の活気」というテーマのもと開催されました。

バンドンは、インドネシア国内の映画製作の取り組みにも積極的に協力しています。
バンドンは休暇の目的地としてインドネシア国内で非常に人気がありますが、涼しい気候で過ごしやすいこと、料理が魅力的であること、魅力的なスポットが多いことなどから、映画のロケ地としても需要があります。実際、数多くの人気映画がバンドンで撮影されています。

先日、インドネシア映画庁(BPI)のGunawan局長がバンドン市政府を訪問し、今後バンドンを映画都市として発展させるため、規制の確認や現状の課題について協議しました。Gunawan氏は、バンドンが教育都市であり、今後映画産業の人材育成の場にもなりうる点についても評価しています。

インドネシア映画は海外からも高い評価を得ており、今後は更に国際映画と同等になることが期待されています。
Gunawan氏によると、BPIはインドネシア国内の映画産業の今後更なる発展のために、マスタープランの作成、データベースの構築などの手順を作成しており、その他、映画フォーラムやコンペ、フェスティバルなどの映画活動の開催も検討しています。

来年以降、インドネシアの映画産業はますます盛り上がりを見せていくと考えられます。

参考webサイト:
https://www.bpi.or.id/berita-50-Bandung_siap_mengembangkan_perfilman_nasional.html
https://www.kompasiana.com/miragowes/636df52e37cb2a36376648f2/festival-film-bandung-2022-ajang-semaraknya-film-indonesia

いかがでしょうか。
弊社では、インドネシアの映画市場に関する最新情報に関するセミナーの開催実績がございます。そのほかインドネシアの市場調査や進出についてご興味がある方はぜひお気軽にお問合せください。

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株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-6804-6702

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