【コラム】インドネシアで高まるトレイルランニング人気
熱帯雨林から険しい火山、穏やかな海岸沿いまで、様々な地形が広がるインドネシアは、冒険を求めるランナーにとって、比類のない絶好の地です。今回のコラムでは、地元のアスリートだけでなく、世界中のトレイルランニングコミュニティから注目を集めているインドネシアにおけるトレイルランニングについてご紹介いたします。
有名なトレイルランニングスポット
トレイルランニングとは、林道、砂利道、登山道といった未舗装路を走るスポーツのことです。群島国家インドネシアの多様な地形は、まさにトレイルランニングにピッタリな舞台です。最も人気のある目的地の一つはバリ島で、バトゥール山(Gunung Batur)やアグン山(Gunung Agung)周辺の美しい火山トレイルが知られています。毎年開催されるバリホープウルトラ(The Bali Hope Ultra)は、全長84kmのレースで、欧米を中心に世界中からランナーを引きつけています。島の多様な地形を象徴するこのルートは起伏が激しく、完走は決して容易ではありませんが、今も活動が続く火山や美しい海岸沿いの道など、その豊かな自然は参加する多くの人々を魅了しています。
続いて見逃せないトレイルランニングスポットは、西ジャワのグデ・パングランゴ国立公園(Taman Nasional Gunung Gede Panggrango)です。この公園には、初心者から経験豊富なトレイルランナーにまで対応する様々なトレイルがあり、毎年開催されるグデ・パンランゴマラソンは、その豊かな山岳地帯を体験しようと多くの参加者が集まる主要なイベントとなっています。このレースは、元々はローカルイベントでしたが、現在では国際的にも認知度の高い大会にまで成長しており、トレイルランニング界におけるインドネシア人気の高まりを反映したものとなっています。
また、東ジャワのブロモ・テンゲル・スメル国立公園(Taman Nasional Bromo Tengger Semeru)も、トレイルランナーにとって魅力的なスポットです。この公園では、毎年100kmにわたる過酷なレースであるBTSウルトラ(BTS Ultra)が開催され、ランナーは限界に挑戦しながら火山地帯、砂丘、密林を走り抜けます。まさにインドネシアの独特な地形を最大限に生かした、上級者向けのトレイルランニングレースとなっています。
経済的および社会的影響
インドネシアにおけるトレイルランニングの台頭は、単なるスポーツとは言い切れないものであり、経済的および社会的にも非常に重要な影響を及ぼしています。インドネシア観光省によると、2023年にはアドベンチャーツーリズムが20%増加し、その主要な要因としてトレイルランニングが挙げられました。アドベンチャーツーリズムとは、「自然」、「アクティビティ」、「文化体験」の3要素のうち2つ以上で構成される旅行のことです。トレイルランニングスポットのある地元の経済は、宿泊、食事、その他のサービスに消費する訪問者の流入から大きな恩恵を受けています。
トレイルランニングイベントはまた、環境保護や地元コミュニティの参与を促進する役割も持っています。多くのレースでは、持続可能な観光事業をサポートするために、主催団体らが地元のコミュニティや環境保護団体らと積極的に提携を図っています。実際に、一つ目にご紹介したバリホープウルトラは、主催団体が地元のNGOらと協力し、単なるスポーツイベントに終わらない、教育および環境イニシアチブのための資金調達も目的のひとつとしたレースとして開催されています。
トレイルランニングブームを後押しするアスリートや企業
インドネシアのトレイルランニング界における著名なアスリートの一人が、アリフ・ウィスマヨノ(Arief Wismoyono)です。彼は複数の国際トレイルランニングイベントで優勝し、現在はインドネシアにおけるスポーツ大使として活躍しています。彼の功績は、多くのインドネシア人にトレイルランニングを始めるきっかけを与えています。インドネシアのトレイルランニングブームを後押ししているのはアスリートだけに留まりません。インドネシアのアウトドア用品ブランド大手であるイーガーアドベンチャー(Eiger Adventure)では、トレイルランニング製品の取り扱いが大幅に増加しています。こうした企業らは、主要なトレイルランニングイベントやアスリートのスポンサーとしても市場での地位を強化し、インドネシアにおけるトレイルランニングの発展を促進し続けています。
今後の成長が見込まれるインドネシアにおけるトレイルランニングのトレンドには、日本企業がこの新興市場に参入するための多くの機会が残されています。弊社インドネシア総合研究所は、インドネシアのアドベンチャーツーリズムへの投資、トレイルランニングイベントのスポンサーシップ、日本のノウハウを生かしたアウトドア製品の開発など、インドネシアのトレイルランニングブームを最大限に活用するための最適なガイダンスとサポートを提供させていただきます。ご関心をお持ちの日本企業の皆様、ぜひお気軽に弊社インドネシア総合研究所へお問い合わせくださいませ。
参考:
https://www.bali-hope.com/
http://www.gedepangrangoultra.com/
https://fonesport.id/bts100