【インドネシア日本語学校だより】ライフスキルで育てる“使える日本語力”~アルビーメソッドを通じて学ぶいちご大福の作り方~

こんにちは。インドネシア総研代表のアルビーです。
弊社インドネシア総合研究所がインドネシアで運営代行を行う送り出し教育機関「SOKEN-SCHOOL」では、独自の教育メソッドである「アルビーメソッド」を採用しています。

アルビーメソッドでは、学習者が日本語を使いながら実際に行動する「アクティビティラーニング」を中心に据えています。その中でも特徴的なのが、「ライフスキル授業」です。今回ご紹介するのは、学生がいちご大福を作りながら日本語を学ぶというユニークな授業です。
「作る」ことで学ぶ:いちご大福の作り方を学ぶ授業
SOKEN-SCHOOLの100日間シラバスでは、アクティビティラーニング全体のうち約40%が「料理を通じた学び」に割り当てられています。つまり、約40回(各回3時間)をかけて、学生は料理をしながら自然な日本語表現と生活に根ざした語彙を習得します。
今回の授業では、いちご大福を作るアクティビティラーニングを行いました。まずは、13時から14時にかけて、日本語教師のLuki先生が、弊社のキッチン事業部内ベーカリー責任者であるVirdie氏と事前打ち合わせをしました。ここで授業用に作成されたいちご大福をつくるための手順は、学生の日本語レベルに応じてN5(40%)、N4(30%)、N3(20%)、N2(10%)のバランスで構成された10行ほどの文章となります。
文章はAIツールを活用しながら生成され、最終的には弊社本部の日本語ネイティブ教師がチェックを行うため、教師の負担も軽減されています。これは、教育×テクノロジー×他部門連携による「アルビーメソッド」の特長の一つです。
10行程度の文章を生徒と朗読しながら、新出語彙、未習文法、漢字などを確認し、学びます。この部分でも学生が最も苦手な日本語の構文・発音を知ることが出来ますので、矯正のチャンスでもあります

「手順を守る」経験が、社会での実践力に変わる
事前打ち合わせのあと、14時から16時の間は、いよいよ実際の調理アクティビティが行われます。この授業では、Virdie氏と弊社キッチン部門の専門スタッフが講師を務め、学生たちは「本物の職人仕事」に触れる機会となりました。ここで生徒は、たとえインドネシア人でも、相手が職人であれば“適当”が通じないことを学びます。
手順を間違えると生地が崩れ、完成形も理想通りにはなりません。この「適当にやってはいけない」という実感が、日本語学習を超えて、ものづくりに対する姿勢やプロ意識を学ぶ場となります。
弊社がインドネシアにおいて運営委託を受けている日本語学校においては、生徒は外食、食品製造、介護、農業など、さまざまな分野での就労を目指しています。生徒たちにとっては、この調理アクティビティを通じて「国が違えども品質や誠実さは共通の価値」であることを体感する貴重な機会です。
生きた語彙と記憶に残る体験を提供
今回の授業に参加したのは、日本語を学び始めて3か月程度の学生たちです。授業の中で「生地(きじ)」という言葉を習い、熱で餅状にするプロセスを体験することで、「生地はさまざまな方法で作れる」という実感と共に語彙が定着します。生徒たちは、この「生地」という言葉をずっと忘れないでしょう。また、日本では「餅をつく」という言葉があります。今回あえて餅をアツアツの状態で出しましたので、生徒たちは「生地って様々なものが作れるんだな」と腹落ちしたと思います。更には、記事に対する「作る」「こねる」「のばす」「包む」といった動詞も同時に学ぶことができ、アクティビティラーニング後の語彙定着率は90%以上に達するという実績があります。
まとめ
SOKEN-SCHOOLでは、実践的かつ高い定着率を誇る教育を通じて、日本での就労にふさわしいインドネシア人人材を育成しています。
インドネシア人材の受け入れにご興味のある企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


