【アルビー日記】インドネシア人生徒にとって難しい『ん』の発音~アルビーメソッドでのアプローチ~

こんにちは、インドネシア総研代表のアルビーです。
弊社がインドネシアで運営代行を行う日本語学校では、私が開発した「アルビーメソッド」を用いて教育を行っています。
実際に弊社がインドネシア現地の学校を運営する上で、日本で使える自然な日本語を習得させることを非常に大切にしています。
私はアルビーメソッドを定期的に学校で教えていますが、基本的には現地の日本語の教師に生徒を見てもらっています。先日学校にてice breakingセッション中に学生に自己紹介をしてもらいましたが、「ん」の発音について、2つ気になることがありました。
一つ目は、「趣味は本を読むことです。」と発言したある生徒の「本」の発音について。もう一つは、また他の生徒の「こんばんは」の発音です。
まず一つ目の『本』の発音について。この生徒は、『本(ほん)』をHONと発音していますが、この『ん』が最後に来る場合は、-NGと発音するのが一般的です。この生徒は『本』の発音がNで終わってしまっているため、日本語スピーカーから聞くと若干不自然な発音になってしまっていました。
次に二つ目の『こんばんは』について。別の生徒は、『こんばんは』をkon-ban-waと発音していたため若干不自然に聞こえました。本来の発音はkoMbaNGwa になります。
この部分を直していくのがアルビーメソッドでもあります。発音のコツを押さえることで 耳と目が一致して暗記が早くなります。
実は、この『ん』の発音の違いはインドネシア語にも存在するのです。インドネシア人学生には、インドネシア語の活用の変化に触れながら、ほら!インドネシア語にもあるよね!と教えてあげることで、インドネシア語と日本語の架け橋ができると、安心して覚ることができます。
インドネシア語-日本語の対照言語学的な研究に基づくアルビーメソッドは、100%実行すればアルビーのように話せるようになります。
上述の通り、実はヘボン式はインドネシア語のアルファベット表記と似かよっています。
インドネシア語では、動詞の前に接頭辞「me-」をつけることで、能動的な意味の動詞を作り出します。
例えば以下のような単語があります。:
語幹(原形) | 意味 | me-動詞形 | 意味 |
baca | 読む | membaca | 読む(主体が強調) |
tulis | 書く | menulis | 書く |
pakai | 使う | memakai | 使う |
後続する語の語頭の子音によって、me- は mem-/men-/meng-/meny- などに変化します。下記にルールを整理します。
a. me- → mem-(b, f, v, p(ただしpは脱落))
原形 | me-動詞形 | 備考 | |
beli | membeli | b → mem- | |
foto | memfoto | f → mem- | |
pakai | memakai | pが脱落 → mem-+akai | |
b. me- → men-(c, d, j, t(tは脱落))
原形 | me-動詞形 | 備考 |
catat | mencatat | c → men- |
dorong | mendorong | d → men- |
tulis | menulis | tが脱落 → men-+ulis |
c. me- → meng-(g, h, k, vokal)
原形 | me-動詞形 | 備考 |
gali | menggali | g → meng- |
hisap | menghisap | h → meng- |
kirim | mengirim | kが脱落 → meng-+irim |
ajar | mengajar | 母音始まり → meng- |
d. me- → meny-(sの前で、sは脱落)
原形 | me-動詞形 | 備考 |
sapu (例) | menyapu | sが脱落 → meny- |
上記a~dのように、語幹の最初の音によって鼻音化が行われ、接頭語me-が、memになったり、menになったり、mengになったりします。
つまり、『ん』の発音の仕方が3つ存在するのです。
ここで、日本語をローマ字表記した場合の『ん』について見てみましょう。
インドネシア語の接頭語me-の鼻音化は、日本語の『ん』をヘボン式で表記する場合と少し事情が似ています。
今回は日本各地の駅名を例に見てみましょう。
せ“ん”だい→se[N]dai

し“ん”ばし→shi[M]bashi

し“ん”じゅく→shi[N]juku

実は同じ『ん』でも、あとにくる文字によって、『ん』の発音の仕方は異なるのです。
日ごろ日本人が『ん』の発音をするときには、それが“N”になるのか“M”になるのか、細かいことを気にしなくても特に大きな問題は生じませんが、日本語を始めて学習するインドネシア人にとってはとても重要です。
いかがでしょうか。
これはアルビーメソッドにおける学習内容の例の1つではありますが、このようなアプローチを行い、インドネシア人の生徒がゼロからN3(日本語能力試験3級)を目指せるような取り組みを行っています。
学校の紹介についてはぜひこちらの動画もご覧ください。
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