【コラム】インドネシアのエビ養殖事情

海に囲まれた島国の日本は豊富な漁業資源に恵まれており、私たち日本人は日頃から多くの魚介類を食べています。普段私たちが食卓で口にしている魚介類の中には実は輸入品が多いことはご存じでしょうか。例えば日本人が好きな魚介類の消費量第4位のエビは実は輸入品も多く、水産庁の調査では魚介類輸入量ではエビが10.8%、エビ調製品が4.2%とエビとエビ加工品だけで魚介類の輸入量の15%を占めています。この輸入エビは実はインドネシアと深い関わりがある事をご存じでしょうか。ブラックタイガーやバナメイエビは東南アジアからの輸入品が多く、養殖が盛んなインドネシアからの輸入品もたくさんスーパーの売り場に並んでいます。今回のコラムでは、インドネシアのエビの養殖事情に関して日本との関連にも触れながらご紹介していきたいと思います。

参考サイト
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/30hakusyo_info/

インドネシアのエビ養殖


インドネシアでは国内全域にエビの養殖池があり、エビの養殖は各地で盛んに行われています。特にエビの養殖が盛んな地域は以下の5つです。

第1位 西ヌサトゥンガラ州(15万9013トン/年)
第2位 西ジャワ州(13万1499トン/年)
第3位 東ジャワ州(11万4885トン/年)
第4位 ランプン州(6万3310トン/年)
第5位 南スマトラ州(6万2189トン/年)

出典:2020年インドネシア海洋水産省統計

インドネシア海洋水産大臣は、エビの養殖事業はアブラヤシプランテーションよりも面積あたりの収益が高く、事業拡大推進への意気込みを強めています。海洋水産省は、2024年までにエビの生産量を最大250%増加させ、年間200万トンの生産を目標にしています。品種としては特にバナメイエビの養殖に力を入れているようです。
バナメイエビは主に中国、アメリカ、日本に輸出されています。

参考サイト
https://money.kompas.com/read/2020/06/10/124335126/kata-menteri-edhy-budidaya-udang-lebih-untung-dibanding-tanam-sawit
https://ekonomi.kompas.com/read/2017/11/07/142435426/jokowi-dan-ekonomi-udang-indonesia?page=all
https://kkp.go.id/brsdm/sosek/artikel/39265-produksi-budi-daya-udang-di-indonesia

日本の養殖エビ輸入事情

2021年の農林水産省資料によると、日本のエビ輸入量は15万8714トンでした。

出典:農林水産省『農 林 水 産 物 輸 出 入 概 況』より弊社が作成

日本のエビ輸入はアジア諸国からの輸入が大半を占め、インドネシアはその15%を占めています。インドネシアからの農林水産物の輸入品目ではエビは天然ゴム、合板に次ぐ3番目に多い輸入品となっています。

参考サイト
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kokusai/attach/pdf/index-102.pdf

インドネシアからよく輸入されるバナメイエビとブラックタイガーの特徴
[table id=59 /]

参考サイトhttps://coop-sateto.jp/article/ebi_tigai/

インドネシアではこの2品種のエビの養殖が多くおこなわれていますが、近年はバナメイエビの養殖に注力しています。バナメイエビは耐病性が強く、一定面積あたりの養殖量も多く、養殖期間も短いことから効率的に養殖量を増やせるためです。

インドネシアにおけるエビ養殖による環境問題と改善策

インドネシアにおけるエビ養殖は通常淡水と海水が混ざり合う汽水域と呼ばれる地域で盛んに行われています。しかし、汽水域にはマングローブが生い茂っており、エビの養殖池を設置するために大量のマングローブが伐採されてきました。また、エビの養殖に使用される人工飼料などが水質汚染を引き起こす原因になっていることが問題視されてきました。こうした問題に対して、海洋水産大臣も新たなマングローブ林の伐採を禁じる方針を打ち出した事や、将来的には植林を拡大していく方針を表明しています。また、「KJA SMART」と呼ばれる水質管理システムを利用して養殖によって生じた有機物、窒素やリンによる環境負荷を減らす試みも広まっています。世界的な環境配慮への動きを受けてインドネシアでも持続可能なエビ養殖への様々な施策が行われています。

参考サイト
https://kilaskementerian.kompas.com/kemen-kp/read/2022/03/18/16365781/kementerian-kp-kembangkan-kja-smart-ramah-lingkungan-untuk-kurangi-limbah
https://money.kompas.com/read/2020/07/17/085539826/janji-menteri-edhy-tak-ada-lagi-pembabatan-mangrove-jadi-tambak?page=all
http://bp2ksi.litbang.kkp.go.id/index.php/8-halaman-depan/467-monitoring-riset-kja-smart

今回のコラムではインドネシアのエビ養殖事情に関してご紹介致しました。日々多くの魚介類を消費している日本人にとってインドネシアのエビは大変身近な存在であることがお分かりいただけたでしょうか。魚介類を扱う飲食事業や魚介類加工事業者の皆様にとってはインドネシアのエビは不可欠なものです。インドネシアの食ビジネスに強みを持つ弊社インドネシア総合研究所は輸入食料品を用いたビジネスへのサポートを行っています。食ビジネスについてのアドバイザリーサポートに関心をお持ちの方は是非お問い合わせくださいませ。

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-5302-1260

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