【コラム】インドネシア農村部の小売物価動向(ガソリン、ミニバス、LPガス、セメント)

インドネシアの非省庁機関、インドネシア統計局(Badan Pusat Statistik、BPS)では、社会経済、製造業、人口、労働力等、インドネシア国内の様々な分野における統計調査が日々行われています。今回のコラムでは、BPSの最新データを基に、2020年のインドネシア農村部におけるガソリン、ミニバス料金、LPガス、セメントの4商品にフォーカスした価格動向について紹介いたします。

イラストはガソリン、ミニバス運賃、LPガス、セメントの小売価格
(https://www.bps.go.id/publication/2021/05/07/7d97bf38921a5e8158908773/statistik-harga-konsumen-perdesaan-kelompok-non-makanan-2020.html)

インドネシアでは2020年の農村部における非食品消費の小売価格は、全般的に上昇傾向にあります。但し地域によっては価格下落または横ばいとなった商品もありました。インドネシア34州における、ガソリン、ミニバス運賃、LPガス、セメントの価格動向をまとめると、上記の図のようになります。詳細は以下の通りです。

ガソリン価格(単位:ルピア/リットル)

ガソリンは、政府が常に価格を監視・管理している重要な項目の1つです。2020年、ガソリンの全国平均価格は以前より上昇し9,594ルピア(87.74円)に達しました。平均価格の最高値は2020年12月に記録され、9,622ルピア(87.99円)、最低値は2020年3月の9,549ルピア(87.33円)でした。 州別に見ると、平均価格が最も高いのはパプア州で、11,559ルピア(105.71円)、逆に平均価格が低いのは西ヌサテンガラ州で、7,116ルピア(65.08円)でした。近年ガソリン価格は世界情勢等の影響を受け日々上昇を続けていることから、年末に最高値を記録したことも当然の結果と言うことが出来ます。

ミニバス料金(単位:ルピア/人)

ミニバスは、農村で日常的に広く利用されている交通手段の一つです。2020年のミニバス輸送の平均運賃は、一人当たり9,535ルピア(87.20円)に達しました。通年の最高運賃は2020年9月で1人あたり9,578ルピア(87.59円)、最低運賃は2020年1月で1人あたり9,490ルピア(86.79)でした。州別平均では、リアウ諸島州での運賃が最も高く、一人当たり26,064ルピア(238.36円)、最も低いのはジャカルタ首都特別州で、一人当たり5,025ルピア(45.95円)でした。地域間の差が大きいことが見て取れますが、交通網の発達度合いや燃料等へのアクセスが価格へ影響すると考えられます。

LPガス(単位:ルピア/12kg)

LPガス(液化石油ガス)は、インドネシアの特に農村部では大きな役割を担う生活必需品の一つとなっています。灯油からLPガスへの燃料転換が行われた後、LPガスの家庭消費は農村部で大幅に増加しています。LPガスの供給量が人々の生活に与える影響は大きいです。そのため、LPガスの小売価格は、政府によって特に集中的に監視されています。LPガスの通年データを時系列で比較すると、農村部におけるLPガスの平均価格は変動が大きいことが分かります。同ガスの2020年の全国平均価格は160,459ルピア(1467.41円)に達しています。最高値は2020年12月で、161,033ルピア(1472.66円)、最安値は2020年1月で、159,842ルピア(1461.77円) となりました。州別に見ると、平均価格が最も高いのはパプア州で388,348ルピア(3551.48円)、最も低いのはランプン州で107,175ルピア(980.13円)と、これもまた地域間の価格差が顕著に表れました。

セメント価格(単位:ルピア/50kg)

セメントもガソリンに並び最も主要な商品の一つであり、政府による価格監視が常に行われています。2020年のセメントの全国平均価格は50kgあたり65,135ルピア(595.67円)に達しました。通年での最高値は2020年12月で65,732ルピア(601.13円)、最安値は2020年1月で64,594ルピア(590.72円)でした。州別に見ると、平均価格が最も高いのはパプア州で100,752ルピア(921.39円)、最も低いのはジョグジャカルタ州で44,820ルピア(409.88円)と、凡そ2倍の差が生じたことが報告されました。

2020年のインドネシア農村部におけるガソリン、ミニバス、LPガス、セメントの4つの商品サービスの小売価格のデータをご紹介させて頂きましたが、如何でしたでしょうか。
ミニバスの料金はある程度燃料価格に連動する側面もあり、これら4つの商品・サービスは何れも天然資源の価格に連動していると言えます。

そして、世界的にはエネルギー資源の消費量が益々増加傾向にあるなかロシアの様な資源大国の政情不安等が今後もこれら資源関連商品・サービスの価格に及ぼす影響は計り知れないものがあると考えられます。これらエネルギーやその他の資源を代替する再生可能エネルギービジネスへの取組みは今後更に重要度を増すでしょう。

インドネシアでこの様な商品・サービスに関わるビジネス、又は再生可能エネルギーに関わるビジネス展開や調査をお考えの方、弊社インドネシア総合研究所では、インドネシア現地の市場動向やミクロな消費者や流通業者等の生の声をインタビュー形式のレポートをお届けするサービス等もご提供が可能です。資源豊富なインドネシアにおいて、このようなビジネスにご関心をお持ちの方は、是非弊社インドネシア総合研究所へお問い合わせください。

株式会社インドネシア総合研究所
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