【コラム】インドネシア人を雇用する際に知っておきたい宗教事情の配慮と異文化について

インドネシア人を日本に迎え雇用する際に、知っておきたい宗教事情や注意しなくてはなら点をいくつかご紹介させていただきます。

インドネシアでは、多様な宗教が存在し、互いに尊重しています。インドネシア全体の中でも国民の80%以上がムスリム(イスラム教徒)であり、次に多いのがキリスト教(プロテスタント・カトリック)、ヒンズー教、仏教になります。

同じインドネシアでも、様々な地域の文化があり、例えばバリ島では90%がヒンズー教徒であったりします。すべてのインドネシア人は、個々に信仰宗教を持っているので、インドネシア人を雇用する際には、事前に宗教を確認しておくことが大切です。

インドネシアの中でも特に人口が多いムスリムは、中東ほど厳格ではなく、人によってはタブーとされているお酒を飲んだりするムスリムの人もいます。中には厳格なムスリムの方もいますが、宗教は国が人それぞれ個人の自由であるとしているためか、お祈りをしなかったり、ヒジャブを着用していなかったり、同じイスラム教徒でもそれぞれ違うことを知っておく必要があります。

ただし、イスラム教については日本ではまだ詳しく知らない方が多いので、イスラム教徒に限らずですが、外国人が日本で生活する中で困難な場合も多々ありますので、お互いに尊重し理解することが大切なのです。以下、一般的なムスリムについてご紹介します。

ムスリムの方は、一日に5回、早朝、お昼、午後、夕方、夜にお祈りをするのが一般的です。(個人の状況によっては、この5回のお祈りをまとめてする場合もあるようです)

特に、ムスリムにとって大切なラマダン月(約4週間の断食期間)など、特定の月や日やお祈りの時間に対する尊重がとても重要です。この時は、断食やお祈りなどの行為が特別に重要視されています。

目次

食べ物と飲み物についての配慮

ムスリムはイスラム教に教えで許されているハラルを遵守します。したがって、ムスリムが参加する食事会などでは、ハラル食品を提供するか、個々に食事を持参できるようにオプションを提供することが望ましいです。こちらについては、ムスリムではハラル認定(許されたもの)とハラム認定されてないもの(禁じられたもの)があります。特に豚肉(豚由来のラードやゼラチン、スープ含む)や、アルコール類全般など特定の食品や飲み物はイスラム教の教えにおいては禁止されています。

日本では、都心部ではアジア系スーパーは多いのですが、特定のアジア系のスーパーに行かないとなかなかハラル認定の食品の購入が難しいのが現状です。日本で生活をしているインドネシアのムスリムの方に話を聞いたところ、インドネシアからハラルの食品や調味料を持ってきたりしており、日本ではインドネシア人が販売している通販サイトなどで食べ物や調味料を購入しているといいます。また、安心な卵、魚やインスタント麺などを自炊して食べていると回答がありました。日本での生活に慣れてからは、定期的にネット通販でインドネシアの食品を購入しているようです。

他にも不正行為、虚偽、盗み、不義などの道徳的な問題は、イスラム教の教えでタブーとされています。これは、どの宗教でも同じですがイスラム教徒でも厳しくタブーとされています。他、男女交際については、婚姻関係と性に関しては、不倫、同性間の肉体関係、未婚の男女の交際など、イスラム教では結婚や性に関する倫理が特に厳しくなっています。一般的に好意を持っている相手が存在したとしても、結婚までは交際も控えめでプラトニックな関係でいなければなりません。

一部のムスリム女性は、男性との接触を避けることを好む場合があります。これは、宗教上の教えを守っているためであり、彼女たちの個人空間やプライバシーを尊重し、適切なコミュニケーション方法を選択することが大切です。むやみに頭をなでたり、肩をたたいたり、握手を求めたりすることは、タブーとされているため事前に理解することが大切です。

女性同士の部屋での同居は、可能とされています。

また社会的な規範については、親族や目上の人に対して、社会への尊重、礼儀正しい振る舞い、公共の場での正しい行動など、社会的な面でも正しく振る舞うことが教えられています。

これらは一般的なイスラム教徒の教えでありますが、インドネシアのムスリムは個々の状況に応じてこれらの場において適切な対応をするよう努めています。

特に、ムスリムの女性への配慮は、彼女たちの信仰や文化に対する理解と尊重に基づいて配慮されなければなりません。ムスリムの女性が働いたり学校に通ったりする場合には、彼女たちが宗教的な服装を保持できるようにし、宗教的な休日や儀式に関する配慮を行うことが求められます。衣服や身だしなみに対する理解について、ムスリムの女性は、自身の信仰上の規定に従ってヒジャブやニカブなどの身体を覆う衣服を着用しています。そのため、彼女たちの服装や身だしなみについての理解と尊重が必要です。

例えば、日本でもインドネシア人ムスリムの女性に、むやみにヒジャブを取るように指示したりしてはいけません。ムスリムの女性は、家族以外の男性には、髪の毛を出すことも肌を見せることも宗教上禁じられているため、物心ついた幼少期から女性はヒジャブをかぶる習慣があるのです。日本の生活では、会社での社員の健康診断などを実施する場合は、特にムスリムの女性に対しては事前に配慮が必要です。日本でも健康診断を男女別に行うことは基本ですが、イスラム教徒の女性の場合は、個別に仕切られる更衣室があることや、健康診断で医療機関を利用の際は、事前に女性医師に限定する必要もあります。

業務上での礼拝時間の配慮、日本で仕事をしていく中で業務中の宗教的なお祈りの時間への理解については、ムスリムの方は、礼拝や断食などの宗教的な活動に時間を割くことがあります。業務中については、彼女たちの宗教的な活動に対する理解と柔軟性を示すことが重要ですが、お互いに理解し合い相談し、休憩時間にお祈り時間を配慮したり、お祈りのスペースを作ってあげたりするのが重要です。

今回のコラムではムスリムに関する内容をご紹介しましたが、インドネシア人でもイスラム教以外の宗教の人もいるため、事前に雇用をする前に確認しましょう。イスラム教徒以外の宗教の方の場合、例えばキリスト教の場合は、インドネシアのおいてはイエス・キリストの誕生祭やクリスマスなどにお休みを申請する人が多いですし、またはヒンズー教徒の場合も同様で、ヒンズー教徒のお祭り、クニンガンやガルンガン、新年にあたるニュピなどの重要日にお祈りをするためお休みの申請がある場合が多いです。

多様な宗教が存在するインドネシアの宗教事情ですが、最近ではインドネシア人の特定技能や留学生を受け入れ雇用されている日本企業様が多く、異文化への理解や研修などについて多くお問合せをいただいております。弊社では、このようなお問合せやご依頼が多く、異文化についてのご相談や研修など、ご要望に合わせてサポートすることが出来ますのでぜひお気軽に弊社へご相談ください。

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