【コラム】インドネシアにおける学歴と収入の関係

近年目覚ましい経済発展を遂げているインドネシアですが、一方でいまだ貧困問題も深刻であり、貧富の格差が大きいというイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、インドネシアにおける賃金の格差について、教育との関連性に着目しながら解説します。

【インドネシアの労働人口と最終学歴】
インドネシアにおいて賃金を決定する大きな要因の一つとして挙げられるのが、労働者の最終歴です。

出典: databoks, “Karakteristik Penduduk Bekerja Menurut Pendidikan” (2021)より弊社作成(閲覧日:2023年4月25日)
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2021/11/07/pekerja-berpendidikan-sd-ke-bawah-mendominasi-di-indonesia-pada-agustus-2021
※インドネシアにおけるディプロマとは、専門学校より高いレベルの職業教育課程を指します。

2021年の中央統計局(BPS)の報告によれば、インドネシアの労働人口約1.8億人のうち、最終学歴が小学校(未卒を含む)である人が約40%と最も多く、最終学歴が中学校卒である人も加えると、インドネシアの労働人口の半数以上が高校課程を修了していないということになります。

インドネシアの労働人口のうち、大学を卒業しているのは僅か約10%です。
また、インドネシアの都市部と地方の間にも教育レベル格差があり、学校に通っていないインドネシアの子供の割合を都市部と農村部で比較すると、いずれの州、年齢層も、都市部より農村部の方がその割合が大きくなります。

そのため、インドネシアの農村部の労働人口と都市部の労働人口では最終学歴の構成に差があり、具体的にはインドネシアの都市部の方が大学や高校を卒業した人の割合が大きくなることが考えられます。

【インドネシアにおける学歴と賃金の相関】

このようにインドネシアでは労働人口の大半が高校課程を修了していない状況にあり、最終学歴によって賃金レベルが大きく異なります。
2022年のBPS発表による最終学歴と時給の相関は以下の通りです。

出展:BPS, “Average Working Hours Rate by Education Level (Rupiah / Hour), 2020-2022”より弊社作成(閲覧日:2023年4月25日) https://www.bps.go.id/indicator/19/1175/1/upah-rata—rata-per-jam-pekerja-menurut-tingkat-pendidikan.html

グラフからは、インドネシアの労働者の教育レベルが高いほど時間当たりの賃金が高くなる傾向が顕著に見て取れます。

これを仮に1日8時間、月20日の労働として単純計算すると、インドネシアの最終学歴による月額賃金の目安はおおよそ以下のようになります。

小学校(未卒も含む):180万ルピア (約1万6千円)
中学校:210万ルピア (約1万8千円)
高校:270万ルピア (約2万4千円)
専門学校:270万ルピア (約2万4千円)
ディプロマ:380万ルピア (約3万4千円)
大学:510万ルピア (約4万6千円)

インドネシアの平均的な月収が2万6千円程度であるのに対し、労働人口の大半を占める小学校・中学校までが最終学歴である層は平均を下回っていると考えられます。
一方大学を卒業した層では平均を大きく上回っており、小学校・中学校までを卒業した層と大学を卒業した層との間では、賃金に2.5倍以上の差があることがわかります。

さらに、小学校・中学校までを最終学歴とする層には地方の住人、農業従事者が多く、都市部の大卒者との実際の格差はさらに広いことが予想されます。

高校あるいは専門学校を卒業した層と大学を卒業した層との間にも2倍近くの所得格差があります。
この結果は、日本と比較しても、インドネシアではかなり大きな所得格差があると言えます。

令和2年度の国勢調査(https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka.htm)によれば、日本では15歳以上の人口の8割以上の最終学歴が高校卒以上であり、労働人口のうち4割程度が大学卒です。
以下は月額賃金の比較データですが、高校や専門学校を卒業した層と大学を卒業した層の月額賃金の差は1.2~1.3倍程度で、インドネシアでの両者の賃金格差ほど大きくはありません。

出典:令和3年賃金構造基本統計調査|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html

日本と比較してみても、最終学歴と賃金の相関関係はインドネシアの方がより顕著であることがわかります。

【大学進学の壁と国外での就業】
上述のように、インドネシア国内で高い収入を得るには、高等教育以上を修了することが重要であると言えます。
しかし、費用面の問題や、地方と都市部での情報格差などもあり、今後大学進学者数を増加させるには様々な課題が山積しており、一朝一夕での解決は難しいと言えます。

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しかし、上述のようにインドネシアではとりわけ収入と最終学歴に密接な関係があることから、高等教育にアクセスできないと、貧困のサイクルから抜け出せなくなってしまうこともあります。

インドネシアの若者の中には日本を含む国外での就労を目指すケースも見られます。インドネシア国内と比較して日本で得られる収入はかなり高く、労働者自身はもちろん家族も貧困のサイクルから抜け出す機会として、強い意志を持って日本での就労を望んでいる若者は少なくありません。

日本にとっても、就労への高い意欲があり、学習にも積極的なインドネシアの若者を受け入れることは、少子高齢化と労働力不足が深刻化するこれからの社会にプラスと言えるでしょう。

現在、日本では技能実習生制度の見直しが進められていますが、制度の改善によって教育制度や労働環境が改善されれば、人材不足に悩む企業様が外国人を有効に雇用できる様になると考えられます。

また、インドネシアから日本に就労を求めて来る若者は他国の若者と比較しても日本への関心が強く、外国語習得レベルも高く、海外での異文化のもとでの生活適応能力が高いため、事業者の皆様にとっても雇用しやすい人材といえます。

弊社では、インドネシアのバンドゥンにて、質が高く即戦力となり得る人材を育成するための独自教育プログラムで人材育成センターを複数運営しています。そしてこの人材育成センターから日本の企業様への人材の送出しを行っています。
インドネシアからの人材の受け入れを検討されている事業者様や、弊社独自の教育プログラムや育成センターに関心をお持ちの事業者様はぜひ弊社までお問合せくださいませ。

インドネシアからの人材の受け入れや将来にわたる事業継続をサポートさせていただきます。

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