【コラム】インドネシアで急増する乳製品需要

コロナ禍におけるインドネシアでは乳製品に対する需要が急激に伸びています。この需要の急増が乳製品の供給不足という事態に発展しています。その要因としてインドネシアの消費者の間で乳製品に対する認識の変化が生じているという事があげられます。今回はインドネシアにおける乳製品とそれを取り囲む環境をご紹介いたします。

インドネシアにおける乳製品の消費量と供給量について

従前はインドネシアの乳製品の消費量は東南アジアの各国と比較しても相対的に低水準でした。酪農適性がある土地や地域が少ないことによって産業としての効率が進まなかったことが要因で乳製品の自給率も30%を割り込んでいる状況となっています。ところが昨今は消費者の間でこれら乳製品に対する需要の急増が起こっています。

バターを除く 2018年 出所:FAPデータから弊社作成

インドネシアにおける乳製品人気の背景

乳製品人気の背景としては①国民の所得の増加②食文化の西洋化③健康志向の高まりといった事が挙げられます。そして従前は贅沢品として考えられていた牛乳などの乳製品の消費の伸び率は堅調で、今後はインドネシアのこの分野のビジネスは成長が期待されます。

またコロナ禍で「牛乳を飲むと免疫料が上がる」という噂も広まり、一時は価格高騰や買い占めも起こりました。乳飲料が「甘くておいしいもの」から徐々に「健康に良いもの」という認識の変化が生じています。

日本企業によるインドネシアでの乳製品ビジネス

三井物産はインドネシアの大手食品会社ABCグループと共同でジャワ島西部の高地で牧場の運営を行っています。同社は2017年以降、オーストラリアから1,100頭の乳牛を空輸しました。そして標高1,300メートルの冷涼な環境下で牛にストレスをかける事なく伸び伸びとした飼育が可能で現在の飼育頭数は3,000頭にまで増えています。
現在では「KIN」というブランドで飲料タイプの「ブルガリアンヨーグルト」や「フレッシュミルク」を販売するまでに至っています。

参考:
モーニングサテライト:なるほど・ザ・新興国 . テレビ東京, 2021-11-8. (テレビ番組)
https://www.jakartashimbun.com/free/detail/40913.html

インドネシアにおいて需要が高まる乳製品

インドネシア飲食品業者連合(Gapmmi)のアディ会長は、2022年に乳製品原料の需要がさらに高まるのに伴い、輸入量も拡大するとの見通しを示しました。この見通しの背景には今後も消費者の健康意識が高まるという見方があります。そして乳製品の原料の輸入量は総需要の8割を占める迄増加する可能性もあるとしています。

産業省によると、2020年の乳総需要は386万トンに対し、国内の酪農農家による供給量は85万トンに留まっており、残りは外国からの輸入に頼っています。

参考:
https://www.nna.jp/news/result/2273929#%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%80%80%E4%B9%B3%E8%A3%BD%E5%93%81

以上のように、インドネシアの消費者の間では乳製品に対する認識が「甘くておいしいもの」から「健康に良いもの」というように変化が見られ、その需要が急速に増加しています。しかしながら、需要に対して国内での供給が追いつかず、外国からの輸入や国内乳製品の生産性向上等による対応が迫られているのが現状です。

今後はインドネシアへの乳製品の輸出やインドネシアの畜産業への参入は国内の消費者の健康志向の高まりによって大きく市場拡大が予想されるビジネス分野であり海外の企業にとってもこの分野への参入の魅力は更に高まる事が予想されます。
つきましては、これらビジネスへの参入にご興味を持たれ、参入をご検討される際には、ぜひ弊社インドネシア総研までお問い合わせください。
業界の市場調査をはじめ、参入の課題解消等に向けたご相談に対応させて頂きます。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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