【コラム】インドネシアにおける死因順位と健康課題

2021年の平均寿命は、日本が男性81.64歳、女性87.74歳で、インドネシアが男性60.67歳、女性75.55歳です。
日本とインドネシアでは、男性は約20歳、女性は約15歳も平均寿命に差があります。
平均寿命が日本と比較して低いインドネシアにおいて、どのような病気にかかる人が多いのでしょうか。
今回のコラムでは、インドネシアにおいて死因順位の高い病気についてご紹介します。

参考WEBサイト:https://www.worldometers.info/world-population/indonesia-population/
https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2021.asp?fname=T02-14.htm

日本とインドネシアの死因順位の比較

以下は、日本とインドネシアにおける死因順位のの比較です。

  日本(2020年) インドネシア(2019年)
1 悪性新生物(腫瘍) 脳卒中
2 心疾患 心筋梗塞
3 老衰 糖尿病
4 脳血管疾患 結核
5 肺炎 肝硬変

インドネシアで死因順位の高い病気、日本の主な死因の構成割合により弊社作成(2023年4月30日)
参照URL
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/gaikyouR2.pdf
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/02/07/stroke-dan-tbc-masuk-dalam-10-penyakit-penyebab-kematian-tertinggi-di-indonesia

2019年時点のデータで、インドネシアで死因順位の高い病気は、多い順に、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、結核、肝硬変となります。
2020年時点のデータで、日本で死亡者数が多い病気の種類は、悪性新生物(腫瘍)、心疾患(高血圧性を除く)、老衰、脳血管疾患、肺炎の順で多く、日本とインドネシアでは、死因順位が異なることがわかります。

インドネシアで死亡者数が多い病気の特徴

1位:脳卒中
2017年のインドネシア全体の死亡数のうち、脳卒中で死亡した割合は、死亡数全体の29.2%で死亡者数が一番多い病気です。
それほど、脳卒中はインドネシアの人々にとって死亡数の多い病気であることがわかります。

2位:心筋梗塞
2017年のインドネシア全体の死亡数のうち、心筋梗塞で死亡した割合は、死亡者数全体の29%となっており、脳卒中の数字とほとんど差がありません。
心筋梗塞は、インドネシアにおいて脳卒中に次いで二番目に死亡者数が多い病気です。

3位:糖尿病
糖尿病は、2007年時点ではインドネシアにおいて死亡数が多い病気の中で6番目に多かったのですが、2017年には3番目に多く、糖尿病による死亡者数は年々増えています。
また、死亡数が多い病気として糖尿病が入っているのは、インドネシアの特徴です。
糖尿病は生活習慣病と言われていますが、脂っこい食べ物が多い食文化、かつライフスタイルが急速に変化しているインドネシアでは、今後も注意していく必要がある病気であると言えます。

4位:結核
インドネシアにおける結核の死亡者数は、2007年と比較すると減少しましたが、依然としてインドネシアにおいて死亡者数が多い病気です。
また、世界の中でもインドネシアの結核の感染者数は上位に入っています。結核は、HIV感染者の死亡の第一原因であり、HIV感染も含め結核にならないための対策が必要です。
また、喫煙者は結核にかかりやすく、インドネシアの喫煙率が38.1%を占めることも結核に感染するリスクを高めていると言えるでしょう。

参考WEBサイト:https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/03310921.html

5位:肝硬変
肝硬変は、飲酒や肺炎ウイルス、脂肪肝が原因でもたらされる病気です。
インドネシアは、イスラム教徒が多くアルコールの摂取をしない人が多いため、飲酒が原因ではなく、肥満などの生活習慣病から発症する脂肪肝が原因であることが考えられます。

参考WEBサイト:https://www.nissay.co.jp/kaisha/kenkosupport/column/170/#:~:text=%E8%82%9D%E7%A1%AC%E5%A4%89%E3%81%AE%E4%B8%BB%E3%81%AA%E5%8E%9F%E5%9B%A0,%E9%A3%B2%E9%85%92%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
https://www.idntimes.com/health/medical/nena-zakiah-1/penyakit-penyebab-kematian-tertinggi-di-indonesia?page=all

上記より、インドネシアで死亡者数が多い病気の特徴として、食事・運動・喫煙・飲酒などの生活習慣が発症の原因となる生活習慣病が多く占めていることがわかります。

参考WEBサイト:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-001.html#:~:text=%E7%94%9F%E6%B4%BB%E7%BF%92%E6%85%A3%E7%97%85%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E3%82%84%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%80%81%E4%BC%91%E9%A4%8A%E3%80%81,%E7%97%85%E3%81%AB%E5%90%AB%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

インドネシアの食事は、脂っこいものや、砂糖が多く使われている料理やドリンクも多く、また基本的な移動は全てバイクまたは車を利用するため、運動をする機会も少なくなっています。
このようなインドネシアにおける生活スタイルの変化が、生活習慣病の増加に繋がっていると考えられます。

近年、所得水準が向上しているインドネシアでは、このような生活習慣病を改善しようと、健康食品への関心の高まりや、スポーツジムなどの関心の高まりなど、健康増進へ注目が集まっています。

弊社では、様々な分野の市場調査や現地視察、拡大が予想される事業への投資案件まで、幅広くインドネシアに関するビジネスをサポートさせていただきます。
インドネシアのビジネスについて、少しでもご興味やご質問がございましたら、お気軽に弊社インドネシア総合研究所までお問い合わせください。

関連コラム:【コラム】インドネシアが抱える健康問題と増える保健省予算

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-6804-6702

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