【コラム】インドネシアにおけるコロナ下での旅客便の利用状況の変化

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界各国が移動制限・入国制限措置を取りましたため、観光業は大きな打撃を受けました。

特に世界有数の観光地として知られるバリ島は客足が途絶えたことにより、大変な打撃を受けています。

インドネシアでは、2020年4月2日より、一部の例外を除き全ての外国人のインドネシアへの入国並びにトランジットを禁止する措置がとられています。

また、4月からはインドネシア国内の各都市で個人や企業の活動を制限する「大規模な社会的規制(PSBB)」が導入され、インドネシア国内全域でも国内移動制限の措置がとられました。

これを受け、インドネシアの国際線並びに国際線は、大幅な減便を行っています。

今回のコラムでは、インドネシアでのコロナ下の旅客便の運航状況や、人々の利用状況における変化についてご紹介します。

 

以下は、インドネシアの主要な国際空港を有するジャカルタ(スカルノハッタ国際空港)及びバリ(デンパサール国際空港)の過去の発着便数と2020年4月の発着便数です。

ジャカルタ発着の国内線

国内線 国際線
ジャカルタ発 ジャカルタ着 ジャカルタ発 ジャカルタ着
2020年3月 313本/日 329本/日 35本/日 34本/日
2020年4月 97本/日 108本/日 10本/日 11本/日
減便の割合 -69% -67.3% -70.4% -69%

デンパサール発着の国内線

国内線 国際線
デンパサール発 デンパサール着 デンパサール発 デンパサール着
2020年3月 46本/日 64本/日 30本/日 32本/日
2020年4月 13本/日 19本/日 9本/日 2本/日
減便の割合 -69.5% -69.8% -71.1% -94.9%

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Tinjauan Big data Terhadap Dampak COVID-19(COVID-19の影響に関するビッグデータ)より弊社作成
(閲覧日:2020年7月1日)

https://www.bps.go.id/publication/2020/06/01/effd7bb05be2884fa460f160/tinjauan-big-data-terhadap-dampak-covid-19-2020.html

 

インドネシアで人々に特によく利用されるジャカルタとバリの空港で、3月から4月にかけて70%近く、もしくはそれ以上減便されていることが分かります。

このような措置や、更にインドネシア国内での人々の移動規制により、実際に旅客便を利用する人も激減しました。

以下は、インドネシアの主な国際空港を利用してインドネシアに訪れた外国人の数ですが、今年2月~4月にかけて激減し、4月は入国制限の影響もありインドネシアに入国した人は1,000人にも満たない数となりました。

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Perkembangan Pariwisata dan TransportasiNasional April 2020(2020年4月の観光と交通状況)より弊社作成
(閲覧日:2020年7月1日)

https://www.bps.go.id/pressrelease/2020/06/02/1715/jumlah-kunjungan-wisman-ke-indonesia-april-2020-mencapai-160-04-ribu-kunjungan.html

 

2020年2月より徐々にインドネシアに入国する外国人数が減少し、2020年4月時点では、インドネシアに入国した外国人は合計で755人でした。4月に入国制限措置がとられたため、空港利用者が大幅に減少しました。

以下の表は、インドネシアの主要な空港での利用者の減少率を表したものです。

2019年4月の利用者数 2020年4月の利用者数 2020年4月時点の利用者
減少率(2019年4月と比較)
インドネシアの空港全体
(以下4つ以外の
空港含む)
772,038人 755人 -99.90%
ングラライ国際空港
(バリ)
476,104人 273人 -99.94%
スカルノハッタ国際空港(ジャカルタ) 196,977人 417人 -99.79%
ジュアンダ国際空港
(スラバヤ)
18,431人 21人 -99.89%
クアラナム国際空港
(メダン)
21,613人 10人 -99.95%

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Perkembangan Pariwisata dan Transportasi Nasional April 2020(2020年4月の観光と交通状況)より弊社作成
(閲覧日:2020年7月1日)

https://www.bps.go.id/pressrelease/2020/06/02/1715/jumlah-kunjungan-wisman-ke-indonesia-april-2020-mencapai-160-04-ribu-kunjungan.html

 

また、各空港の利用客の人数は以下の通りです。

インドネシアにおける国際線の利用者数

空港 乗客数(人) 乗客数累計(人)
2020年3月 2020年4月 減少率 2019年
1~4月
2020年
1~4月
減少率
1. クアラナム
国際空港
(メ
ダン)
25,300 600 -97.63% 364,000 186,000 -48.90%
2. スカルノハ
ッタ国際空港
(バンテン)
187,800 17,500 -90.68% 2,532,700 1,275,600 -49.63%
3. ジュアンダ
国際空港
(スラバヤ)
22,300 1,000 -95.52% 374,300 193,500 -48,30%
4. ングラライ
空港(バリ)
274,000 6,800 -97.52% 2,094,600 1,341,900 -35.94%
5. ハサヌディ
ン空港
(マカッサル)
1,700 0 -100% 56,100 33,000 -41.18%
6. その他 47,600 100 -99.79% 512,900 365,900 -28.66%
合計 558,700 26,000 -95.35% 5,934,600 3,395,900 -42.78%

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Perkembangan Pariwisata dan TransportasiNasional April 2020(2020年4月の観光と交通状況)より弊社作成
(閲覧日:2020年7月1日)

https://www.bps.go.id/pressrelease/2020/06/02/1715/jumlah-kunjungan-wisman-ke-indonesia-april-2020-mencapai-160-04-ribu-kunjungan.html

 

インドネシアにおける国内線の利用者数

空港 乗客数(人) 乗客数累計(人)
2020年3月 2020年4月 減少率 2019年
1~4月
2020年
1~4月
減少率
1. クアラナム
国際空港
(メ
ダン)
172,300 36,700  -78.70% 877,400 725,400 -17.32%
2. スカルノハ
ッタ国際空港
(バンテン)
1,211,500 191,000 -84.23% 5,938,100 4,555,100 -23.29%
3. ジュアンダ
国際空港
(スラバヤ)
408,700 97,800 -76.07% 1,958,000 1,542,100 -21.24%
4. ングラライ
空港(バリ)

253,500

44,100 -82.60% 1,519,800 1,097,700 -27.77%
5. ハサヌディ
ン空港
(マカッサル)
230,900 49,000 -78.78% 1,050,300 862,300 -17.90%
6. その他 2,303,000 419,500 -81.78% 12,847,800 8,715,200 -32.17%
合計 4,579,900 838,100 -81.70% 24,191,400 17,497,800 -27.67%

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Perkembangan Pariwisata dan TransportasiNasional April 2020(2020年4月の観光と交通状況)より弊社作成
(閲覧日:2020年7月1日)
https://www.bps.go.id/pressrelease/2020/06/02/1715/jumlah-kunjungan-wisman-ke-indonesia-april-2020-mencapai-160-04-ribu-kunjungan.html

 

2020年3月から4月にかけて、インドネシアの国内線利用者数は81.70%減少、国際線利用者は95.35%減少していることが分かります。

このような状況を受け、ガルーダやライオンエアなどインドネシアの航空会社各社は経営状態悪化に陥り、経費削減のためにパイロットの解雇措置を取りました。

更に、ガルーダは旅客便の定員制限などのため、運賃の一部値上げなどの可能性についても言及していま
す。

インドネシアでは現在も引き続き海外からの入国制限措置を取っており、観光目的での入国は不可となっているため、国境をまたいでの人の移動は以前と比べると少ないものの、国際線、国内線共に徐々に条件付きでの旅客便利用の規制緩和を行っています。

ただし、条件については、航空会社によって異なる可能性があるので注意が必要です。

基本的には、各社は健康診断証明書(新型コロナウイルス感染の陰性を証明するもの)の提出が必要となっており、職業やその他の条件によっても異なります。

参考URL:Suara.comより

 

そんな中、インドネシア地場の格安航空会社であるライオンエア・グループは、独自に新型コロナウイルスのラピッドテスト(抗体検査)サービスを提供することを発表しました。

対象は、ライオンエア・グループ傘下であるライオンエア、バティックエア、ウィングスエアの航空券を購入した人で、95,000ルピアでサービスの利用が可能です。

検査を受けた人は、有効期限が14日間の証明書も発行されます。

このテストはライオンエアタワー本社やライオンエア・グループのオフィスなどジャカルタ州とその近辺の4か所で受けることができ、今後はチケット販売所や空港などインドネシア全土で検査が受けられるよう拡大予定だそうです。

保健所などで検査を受けようとすると、280,000ルピア程度の費用が発生するため、保健所の利用よりは安価な価格設定となっています。

ライオンエアは、5月中旬ごろより段階的に国内線の運航を再開していましたが、搭乗のために必要な書類やその他の条件を満たさない乗客が多かったため、6月の上旬には再度運行を停止する事態となりました。独自の検査施設を用意することで、今後は旅客便の利用へのハードルは大分低くなると言えるでしょう。

参考:LionAir公式WEBサイトCNN Indonesiaより

弊社は、インドネシアの最新状況に関するセミナーの実施や、オンラインでの調査代行などを承っております。

ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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