【コラム】インドネシアにおける洗濯事情について

衣類の洗濯は私たちが普段何気なく行っている家事の1つですが、日本人のほとんどは洗濯機を使用し、中には乾燥機能まで搭載されている洗濯機を使用しているご家庭もあることでしょう。日本では洗濯というとスイッチを押して洗い上がれば干すだけの、負担のない家事の1つですが、インドネシアでは少し事情が異なっています。

インドネシアでは、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電の普及率がまだそれほど高くはなく、CLASPの2020年の調査報告によるとインドネシアの洗濯機の普及率は29%程度とのことです。今回のコラムでは、インドネシアの洗濯機の利用事情やインドネシアにおいてよく利用される洗濯用洗剤に関してご紹介したいと思います。

インドネシアにおける家電製品の普及事情と洗濯機の位置づけ

(出典:CLASP「Indonesia Residential End-Use Survey 2020」より弊社作成)

インドネシアでは、テレビや冷蔵庫などの家電は普及率が50%を超えています。一方で、洗濯機の普及率は29%であり、未だ低い水準です。また、月間の使用日数も約16-17日程度となっており、洗濯機を使用して毎日洗濯をする習慣はないことがわかります。インドネシアではまだ洗濯は手洗いしている人たちも多く、富裕層の人たちの間ではお手伝いさんを雇用することも一般的であり、そのことも洗濯機の普及率が低い要因となっています。また、洗濯機を所有する家庭において、2槽式の割合が76%、1槽式が21%、ドラム式が3%となっており、圧倒的に2槽式洗濯機が多いことがわかります。

参考:https://www.clasp.ngo/research/all/indonesia-residential-end-use-survey-2/
https://www.yafo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2016/02/asia27-2.pdf

日系企業によるインドネシア洗濯機市場への進出

インドネシアの洗濯機はまだ普及率が低水準であることから、市場は拡大の余地がありますが、インドネシアの洗濯機市場では日系企業の製品が好調です。特にSHARPは、2019年に白物家電のインドネシアでの生産を強化しており、洗濯機の生産能力を従来比3割増加させています。

(出典:「Top Brand Index 2021」より弊社作成)

2021年の洗濯機ブランドの消費者人気度調査では日系企業のSHARPが22.5%で首位でした。2021年の6月初旬にはSHARPはインドネシアで洗濯機の生産台数1000万台を達成し、COVID-19パンデミック中も好調であったことがわかります。SHARPが市場で好調であった要因としてはインドネシアでの日系企業の製品への信頼度の高さの他にムスリム市場向けのヒジャブ用洗濯機などの現地の習慣に根差した製品の販売が好調であることが挙げられます。

参考:https://www.topbrand-award.com/en/2021/01/mesin-cuci-fase-1-2021/
https://ekonomi.bisnis.com/read/20210707/12/1415107/produksi-mesin-cuci-sharp-indonesia-tembus-10-juta-unit-saat-pandemi
https://www.sankei.com/photo/story/news/190518/sty1905180001-n1.html

インドネシアの洗剤事情と人気の洗剤

インドネシアでは、粉末洗剤と液体洗剤どちらも市場に出回っていますが、価格面の安さから、粉末洗剤が今現在も人気があるという特徴があります。また、インドネシアの水は硬度が高く、洗剤を使用しても汚れが落ちにくいという傾向があるため、インドネシアでは洗浄力が高い洗剤の需要が高い傾向があります。以下は2021年にインドネシアで人気の高かった洗剤ブランドです。

第1位 Rinso

出典:https://www.rinso.com/id/mencuci/deterjen/products/rinso-anti-noda-deterjen-bubuk-classic-fresh-powder.html

価格帯:Rp3,890 – Rp224,900
2021年のブランド人気調査で第1位となったのはRinsoの洗剤です。粉末・液体洗剤の両方を販売しており、独自のSmart Foamテクノロジーによって、すすぎ時に泡が素早く消えるため、水の節約にもなります。

第2位 Daia

出典:https://wingscorp.com/brand-detail/daia/

価格帯:Rp4,425-Rp215,000
ブランド人気調査で第2位となったのは、Wingscorp社の製の洗剤です。Daiaはたっぷりの泡で洗浄力が高く、手肌に優しい安全処方を採用し、手洗い洗濯の人にも配慮した配合となっています。

第3位 Attack

出典:https://www.kao.com/id/id/products/attack/atk_easyliquid_flowers_01/


価格帯:Rp10,800–Rp200,000
2021年のブランド人気調査で第3位となったのは、日本の花王がインドネシア市場で販売するAttackです。液体・粉末洗剤ともにAttackブランドから出ており、洗浄力の高さやすすぎ回数の少なさがアピールポイントとなっています。その他にも「Attack Jaz 1」は手洗い洗濯の人に使いやすい粉末洗剤となっています。

参考:https://www.tokopedia.com/blog/top-merk-deterjen-terbaik-hlv/
https://www.topbrand-award.com/en/2021/01/sabun-pencuci-pakaian-fase-1-2021/#
https://www.ryutsuu.biz/backnumber/commodity/mn3080.html


今回はインドネシアにおける洗濯事情に関して、洗濯機の普及率や洗剤事情などに触れながらご紹介いたしました。インドネシアでは、洗濯機の普及率がまだまだ低水準であり、手洗いで洗濯をする人が主流です。そのため、洗濯機市場には発展途上であり、その中で日系メーカーがインドネシア市場で健闘しています。

洗濯機市場が今後拡大していくにつれ、洗剤の種類や機能なども多様化していき、市場の拡大も見込まれます。インドネシアの洗濯機市場におけるヒジャブ専用洗濯機など、日系企業の成功事例からもわかるように、インドネシアではイスラム教徒の習慣なども考慮した製品の販売が重要となっています。弊社インドネシア総合研究所はイスラム教徒の人々の慣習や戒律などに配慮したビジネスに大きな強みを持っています。

また、インドネシアでは排水処理などへの問題意識も強まっており、環境に配慮したビジネスの需要も高まっています。環境に配慮した事業や製品販売に際しては、現地の法規制などの遵守もインドネシアでビジネスを展開するうえで非常に重要なポイントとなってきます。

弊社は法規制に関する調査も専門家や政府機関への広い人脈から迅速に詳細に行うことができます。その他イスラム教徒の人々を取り込んだビジネスや環境に配慮したビジネスにご興味をお持ちの方は是非弊社インドネシア総合研究所まで、お問合せ下さいませ。
皆様からのお問合せをお待ちしています。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

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