【コラム】インドネシアの農産物最新データ①野菜編

インドネシアは、季節ごとに旬の野菜や果物を生産し、国外にも輸出している国のひとつです。中でも特に国の利益に大きく貢献している野菜として、赤白タマネギ、ニンニク、唐辛子、ジャガイモ、トマト、ニンジン等が挙げられます。今回のコラムでは、インドネシア統計局(BPS)が毎年発行している「Statistik Hortikultura (園芸統計)」の2021年版から、特に生産量の多い赤タマネギ、ニンニク、ニンジンの3品目の生産及び貿易動向についてご紹介させていただきます。

Statistik Hortikulturaについて

「Statistik Hortikultura」とは、BPSとインドネシア農業省園芸総局(Direktorat Jenderal Hortikultura Kementerian Pertanian)が連携してまとめたインドネシアの主要園芸品目(野菜、果物、薬用植物、観葉植物等)18品目についてのデータブックです。同書には、インドネシア全県の農業従事者から提供された報告書に基づき、各品目の生産量、収穫面積、消費量、貿易等のデータが掲載されています。農家や企業から寄せられた各データは県・市町村に置かれたBPS地域事務所により管理及び精査されています。


赤タマネギ
2021年のインドネシアの赤タマネギ生産量は200万トンに達し、2020年比で10.42%増加しました。インドネシアでは赤タマネギ消費の94.16%は家庭用消費で、その量は2021年に79万トンに達し、2020年に比べ8.33%増加しています。

赤タマネギの生産量が多い州は、中部ジャワ州、東ジャワ州、西ヌサ・トゥンガラ州の3 州です。中部ジャワ州は、生産量 564,260トン、収穫面積 55,980haで、国の総生産量の約28.15%を占めています。続いて東ジャワ州は生産量 500,990トン、収穫面積 53,670 haで、総生産量の約24.99%です。西ヌサ・トゥンガラ州の生産量は222,620トン、収穫面積は20,310haと、総生産量の約11.11%です。即ち、この3州だけでインドネシア全体における赤タマネギ生産の64%を占めています。

▼インドネシアにおける赤タマネギの生産量と家庭用消費の推移
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/08/44e935e8c141bcb37569aed3/statistik-hortikultura-2021.html

インドネシアの赤タマネギは、周辺国への輸出も盛んに行われています。2021年の赤タマネギの輸出額は2020年比41.58%(664万ドル)減少し、710万ドルでした。2021年度時点でのインドネシアの赤タマネギの主な輸出相手国は、タイが416万ドル(313,000トン)、シンガポールが174万ドル(809トン)、マレーシアが11万ドル(90トン)です。

対する輸入は、2021年時点で輸入額は793,000ドルに留まり、2020年比48.35%(564,480ドル)減少しています。主な輸入相手国は、マレーシアが384,820ドル(543トン)、タイが151,2ドル(81トン)、日本が5,509ドル(11トン)と、輸出と比較すると小規模です。

▼インドネシアにおける赤タマネギの輸出入の構図
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/08/44e935e8c141bcb37569aed3/statistik-hortikultura-2021.html

ニンニク
2021年のインドネシアのニンニク生産量は45,09トンで、2020年の生産量から44.88%減少したことが報告されました。赤タマネギ同様、ニンニクも家庭用消費が殆どを占める品目であり、全消費量に占める割合は約91.89%です。2021年のニンニクの家庭用消費量は506,420トンと、2020年の消費量に比べ12.32%増加しています。

ニンニクの生産量が最も多い州は、赤タマネギと同じく、中央ジャワ州、西ヌサ・トゥンガラ州、東ジャワ州の3州です。中央ジャワ州は、生産量25,550トン、収穫面積3,800haで、国のニンニク総生産量の約56.65%を占めています。続く西ヌサ・トゥンガラ州は、生産量9,220トン、収穫面積1,500haで総生産量の約 20.45%です。東ジャワ州は生産量4,220トン、収穫面積812haで、総生産量に占める割合は約9.36%です。即ちインドネシアでは、中央ジャワ州を筆頭に、この3州でニンニクの約86%以上の生産が行われているのです。

▼ニンニクの生産量と家庭用消費の推移
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/08/44e935e8c141bcb37569aed3/statistik-hortikultura-2021.html

インドネシアのニンニクは、輸入が輸出を圧倒的に上回っており、供給の殆どを他国からの輸入に頼っていることが特徴です。また、インドネシアのニンニク輸入は毎年6億ドル前後で横並びの成長が続いているのに対し、輸出は年単位での変動が激しいことも特徴の一つです。

2021年のニンニクの輸出額は、2020年比89.8%(29万ドル)減の3万ドルと、大きな減少を記録しています。2021年におけるインドネシア産ニンニクの主な輸出相手国は、シンガポールが23,640ドル(6.4トン)、マレーシアが5,890ドル(1.5トン)、香港が1,840ドル(0.3トン)と、いずれも比較的小さい数字となりました。

これに対し、2021年のニンニクの輸入額は6億8100万ドルに達し、2020年比13.92% (8,326万ドル)増加しました。主な輸入相手国は、中国が6億7900万ドル(61万トン)、米国が172万ドル(254.5トン)、インドが47,240ドル(25.5トン)と、中国からの輸入に大きく依存しています。

▼インドネシアにおけるニンニクの輸出入の構図
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/08/44e935e8c141bcb37569aed3/statistik-hortikultura-2021.html

ニンジン
インドネシアにおける2021年のニンジン生産量は720,090トンで、2020年比10.64%の増加を記録しました。インドネシアにおけるニンジンは、上記で述べた赤タマネギやニンニクとは異なり、家庭用消費が全体消費に占める割合は僅か26.81%です。そんな2021年のニンジン家庭消費量は365,920トンと、2020年の消費量から3.89%増となりました。

ニンジンの生産量が多いのは中央ジャワ州、北スマトラ州、西ジャワ州です。中央ジャワ州は、生産量153,300トン、収穫面積8.400 haで、国の総生産量の約21.25%を占めています。続いて北スマトラ州は生産量141,450トン、収穫面積 5,710 haで総生産量の約19.64%です。また、西ジャワ州は生産量135,120トン、収穫面積6,540haで総生産量の約18.76%です。どの州も大差がなく、生産量及び収穫面積の偏りは少ないです。

▼ニンジンの生産量と家庭用消費の推移
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/08/44e935e8c141bcb37569aed3/statistik-hortikultura-2021.html

インドネシアのニンジンは、ニンニクほどではありませんが、輸入が輸出を上回っています。また2021年は、ニンジンの貿易額は輸出入ともに2020年比で40%強減少しています。
2021年のニンジンの輸出額は 27,940ドルと、2020年比41.2%(19,580ドル)減となりました。インドネシア産ニンジンの主な輸出先と輸出額は、シンガポールが10,870ドル(12.14トン)、日本が5,510ドル(4.6トン)、マレーシアが5,100ドル(13.1トン)です。

対する2021年のニンジンの輸入額は232,550ドルに達し、輸出と比較すると凡そ10倍ですが、2020年比では42.22%(169,940ドル)の減少となりました。オーストラリアはニンジンの主要な輸入先であり、総額は 232,540ドル(255,58トン)です。

▼インドネシアにおけるニンジンの輸出入の構図
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/08/44e935e8c141bcb37569aed3/statistik-hortikultura-2021.html

今回のコラムでは、BPSの最新のデータから、インドネシアにおける農産物3品目の近年の生産量の変動及び輸出入についてご紹介させて頂きましたが、如何でしたでしょうか。今後続けて果物、薬用植物、観葉植物などの園芸品についても詳しくご紹介させて頂きますので、是非そちらもご覧くださいませ。

インドネシアでは、BPSの公式ホームページにて様々な分野に関する詳細なデータが日々更新され公表されておりますが、いずれもインドネシア全土を対象地域とし、インドネシア語で公表されているものが殆どです。今回のコラムの執筆においてもこれらデータを参考に致しました。弊社インドネシア総合研究所では、皆様のニーズに的確にお応えし、エリアや条件を細かく設定した現地調査やその日本語版のレポート作成等を承ることが可能です。これら現地調査では皆様の事業に関わる現地のマーケット動向や消費者、専門家へのインタビューを通じた生の声や日々変化する現地の最新情勢等、今後の皆様がインドネシアビジネスに役立つ情報をお届けします。これら調査にご関心をお持ちの方は是非お気軽に弊社インドネシア総合研究所へお問合せくださいませ。

株式会社インドネシア総合研究所
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