【コラム】インドネシアにおけるインターネット普及とデジタルリテラシー

ビジネスやコミュニケーションにおけるデジタル化の著しい時代において、「デジタルリテラシー」は必要不可欠なスキルの一つです。デジタルリテラシーとは「情報通信技術を使って情報を見つけ、評価し、作成し、伝える能力」のことであり、認知能力と技術力の両方が求められます。インドネシアのデジタルリテラシー事情を理解することは、インドネシア市場への参入を目指す日本企業にとっても極めて重要です。本コラムでは、インドネシア通信情報省(Kominfo)とKatadata Insight Center(KIC)による最近の報告書( https://survei.literasidigital.id/)より、インドネシアの人々のデジタルリテラシーの変化をご紹介いたします。

インドネシアにおけるデジタルリテラシーの概要

インドネシア通信情報省の報告書では、インドネシアの人々のデジタル情報通信技術の利用能力が、新型コロナウイルスのパンデミックの発生以来大幅に向上していることが明らかになりました。2022年のインドネシアのデジタルリテラシー指数は、1~5段階で3.54ポイントとなり、デジタル・リテラシーのレベルが「中程度」であることを示しています。過去の数値と比較すると、2021年から0.05ポイント、2020年から0.08ポイントの顕著な上昇を見せています。

デジタルリテラシーの主な柱

インドネシア通信情報省によると、デジタルリテラシー指数は、デジタルスキル、デジタル倫理、デジタルセーフティ、デジタル文化の4つの主要な柱で構成されています。この4つの側面におけるインターネットユーザーの習熟度合いを目安として算出されたものが、デジタルリテラシー指数となっています。

1. デジタルスキル(Digital Skills)
デジタルスキルとは、コンピュータやデバイスの使用、データのアップロード及びダウンロード、インターネットからの情報の信憑性の確認などのタスクにおけるスキルのことです。インドネシアにおける2022年のデジタルスキルのスコアは3.52ポイントで、2021年の3.44ポイントから0.08ポイントの上昇を見せています。

2. デジタル倫理(Digital Ethics)
デジタル倫理とは、ソーシャルメディア上での他者への敬意ある行動、コンテンツの共有、プライバシーへの配慮といった分野における、インターネットユーザーのモラルのことです。デジタル機器の操作に長けている、インターネットを効率よく使いこなすことができるだけでは、デジタルリテラシーがあるということにはなりません。近年ではネットいじめや誹謗中傷が世界中で問題視されており、デジタル倫理はデジタルリテラシーの有無を測る重要な要素となっています。インドネシアにおける2022年のデジタル倫理のスコアは3.68ポイントと、2021年の3.53から0.13ポイント上昇しています。

3. デジタルセーフティ(Digital Safety)
デジタルセーフティとは、インターネットユーザーのセキュリティに関する知識、及び実践能力のことです。スパム、マルウェア(コンピュータやその利用者に被害をもたらすことを目的とした、悪意のあるソフトウェア)、ウイルスを識別・除去するスキルがあるか、データ保護を実践しているかという側面に焦点が当てられています。インドネシアにおける2022年のデジタルセーフティのスコアは3.12ポイントと、2021年の3.10ポイントからわずかに上昇しています。

4. デジタル文化(Digital Culture)
デジタル文化とは、常に世界中の情報が手に入り、異文化に触れる機会の多いインターネットであるからこそ求められる、文化的多様性を尊重する寛容さのことです。また、インターネット上で他者のコンテンツを再投稿(リツイート、リポスト)する際に元のクリエイターのクレジットを明記し盗用をしないといった行動も含まれます。インドネシアにおける2022年のデジタル文化のスコアは3.84ポイントと、2021年の3.9ポイントからわずかに減少が見られました。

参考:
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/02/01/literasi-digital-indonesia-naik-pada-2022-tapi-budaya-digital-turun

デジタルリテラシーの地域格差

更に興味深いことに、インドネシア通信情報省の報告書では、インドネシア国内におけるデジタルリテラシーの地域格差についても言及されています。インドネシア西部のデジタルリテラシー指数は3.56ポイントと突出しており、次いでインドネシア東部にて3.55ポイント、インドネシア中部で3.48ポイントとなっています。一方で、この数字がすべてを物語っているわけではないことを念頭に置くことも重要です。前段でご紹介した4つの柱別に見ると、インドネシア西部は『デジタル倫理』と『デジタル文化』の点において優れていますが、『デジタルスキル』と『デジタルセーフティ』の点では、インドネシア東部がリードしています。いずれの柱においても、最もスコアが低いのはインドネシア中部となっています。この結果から、首都ジャカルタのあるインドネシア西部ではデジタルリテラシーが全体的に高いが、特定の分野ではインドネシア東部が僅かにインドネシア西部を上回るなど、東部と西部の差は小さく、一方でインドネシア中部におけるデジタルリテラシーは全体的に低いということが伺えます。

参考:
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/06/19/ini-perbedaan-literasi-digital-di-indonesia-bagian-barat-tengah-dan-timur

日本企業のチャンス

インドネシア市場への参入を目指す日本企業にとって、デジタルリテラシーの状況を理解することは極めて重要です。強い『デジタル倫理』と『デジタル文化』を持つインドネシア西部は、デジタルプレゼンスの確立を目指す企業にとってまたとないチャンスとなるかもしれません。一方、インドネシア東部の『デジタルスキル』と『デジタルセーフティ』に関する習熟度は、テクノロジー主導のサービスに注力する企業にとって有利となる可能性を秘めています。インドネシア通信情報省とKICによる調査結果は、インドネシアにおけるデジタルリテラシーの多様性を浮き彫りにしています。DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、日本企業にはインドネシア人特有のニーズや嗜好に適応し、戦略を調整することが求められています。

まとめ

インドネシアにおけるデジタルリテラシーは上昇傾向にあり、インドネシア市場への展開を検討している外国企業にとっては、このトレンドはビジネスへと活用できるこの上ないチャンスと言えます。更に、デジタルリテラシーの地域的なニュアンスも認識することで、インドネシアの消費者をより良く理解することに繋がり、ダイナミックなインドネシア市場での成功へ一歩近づくことができるのではないでしょうか。弊社インドネシア総合研究所では、日本の企業様の、インドネシア市場への参入サポート等における豊富な経験がございます。著しい経済的成長を遂げているインドネシアへの進出にご関心をお持ちの日本の企業の皆様、是非お気軽にお問い合わせくださいませ。

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