インドネシアのインフラ整備計画の必要予算は

ジャカルタ港

ジャカルタの渋滞は深刻で、インドネシア政府は渋滞緩和のために道路の整備を進めています。

また道路だけでなく、電車や空港などのインフラも整備する政策を立案し、進行しています。

今回はインドネシアのインフラ整備計画についてまとめました。

目次

インドネシアのインフラ整備の開発計画とは

インドネシア政府はインドネシアのインフラ整備の開発計画を発表してます。

ジョコウィ大統領は2016年大統領令第45番、政府活動計画への調印をしました。この政府活動計画には2017年度の開発計画が盛り込まれています。

2015年から2019年までの中期開発計画は“地域協力を基にしたインドネシアの自立”をスローガンに、ジョコウィ大統領、 ユスフ・カラ副大統領が決定した年度別のプロジェクト優先順位、開発計画、財務計画をはじめとする9つの項目から成り立っています。

2017年度において政府開発計画では “貧困と地方格差を減らし雇用を生み出すインフラ整備と経済の発展”をテーマとしています。

上記開発計画では、政府は3つの視点からのアプローチを目標に掲げています。

インフラ整備の3つの視点のアプローチ

  • 人間力の向上
    住民の精神面での成長、教育と健康の改善、 居住地の整備と定住民の確保
  • 経済特区の向上
    エネルギーと電気・電力の安定供給、観光や経済特区の質の向上
  • 政府と地方局
    国と各地方局の関係性の強化、町・村単位の発展、その他マクロとミクロでの国・地方の発展

 

ジョコウィ大統領は社会貢献や成果の見えにくい現行プロジェクトの縮小を指示し、インドネシアがより計画的にインフラ開発に着手できるように体制を整えています。

政策によるインフラ開発はこれまで主に整備されてきたジャワ島が主要開発地域からは外され、その他の島々での高速道路、港、空港などの開発に着手する計画です。

開発計画に加え、今までインドネシア国内全体の経済活動の妨げていた要因の一つと言われている交通料や輸送量もインフラ開発を進めるにあたり、従来の料金より引き下げるとの方針を明らかにしています。

インドネシア中央統計局 (BPS)によると、ジャワ島を有する西インドネシアには総人口の84.5%居住しており、パプアからマルク諸島までの広い領土を有する東インドネシアには残りの15.5%居住しているが、インフラ整備が行き届いておらず、西に比べ東や僻地では所得水準が低いのにもかかわらず物価が高くなる現象が起きています。

それを受け政府は、国家予算を基にした東インドネシアの集中開発、ジャワとバリの民間企業や国営企業からのニーズを基にした開発を計画しました。

交通・物流面での世界のインドネシアの評価は2015年度世界銀行発表の物流パフォーマンス指標においてインドネシアは世界53位、ASEAN10カ国中第5位に位置づけられています。

インドネシアの物流の性能はまだ低く、ロジスティック費用はインドネシアのGDPの24%もかかっています。

例えば船便の値段は国内よりも国外に出荷する方が安いという場合もあります。

運輸省では2015-2019年内の物流拠点の配備作戦を以下のように掲げている。

物流拠点の配置作戦

インドネシアの8つの経済特区

インドネシアの道路計画

公共交通機関や港、空港だけでなく道路の整備も計画に組み込まれています。

道路インフラは国内経済の成長に欠かせないものであるため、2019年以降は、道路整備はインフラの中でも優先的に取り組まれる計画です。

政府は道路インフラの整備として、新道路を3,650 km拡張、そして総計46,770 kmの道路の管理をする計画です。この道路インフラの整備には805兆ルピアが必要との試算をしており、115兆ルピアをかけてバス専用道を34の都市で整備する予定です。

高速道路を含む道路インフラの上記の整備には総距離1,000 kmも予定されています。 ジャカルタ-スマトラ間の高速道路は総長35,181kmの総額54.84兆ルピアのうちの一部の投資内訳は以下の通りです。

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道路国営企業であるJasa Marga、 Wijaya Karya (WIKA), Waskita KaryaやHutama Karya 等々の国営企業は上記の目標達成のための高速道路の整備をしています。

Jasa Marga はその中心として政府から後押しを得ており、例として、Trans-Jawaなどの事業において西ジャワ州の Cisumdawuエリア高速道路 (Cileunyi-Sumedang-Dawuan)や Soreja高速道路 (Soreang-Pasir Koja)間の総距離 60,28 kmの開発を行っています。

Waskita KaryaはTrans-Jawa全19プロジェクトのうち6 プロジェクト、Hutama KaryaはTrans-Sumatera間を担っています。

インドネシアの電車計画

インドネシア政府は2015-2019年の間で、278兆ルピアをかけて工費レールの総距離を3,258 km(都市間2,159 km と都市内1,099 kmのレール)延長する工事を、115兆ルピアを首都圏6エリアと17の都市でのMRT開発に注入する予定です。

さらに、ジャワ・スマトラの電車本数の増加やHalim-Bandung空港間のより速い電車の配備、 Light Rapid Transit (LRT)をジャカルタ市街や南スマトラ、ジャワ島内の空港に接続させる等々の開発計画を進めています。

電車事業に関しては約1兆ルピアの需要が見込まれており、新幹線の配備にはChinese consortium によると、スカルノハッタ空港などの主要施設を電車で結ぶ構想があるようです。

インドネシアの空港や港の計画

インドネシア政府は24の主要港の拡張と改善を計画しており、 5つの港で19の離れ小島の港との接続が行われています。

港の拡張後は総計563兆ルピアの需要が見込まれています。港は以前より、第一国営企業港帯、第二国営企業港帯、第三国営企業港帯、 第四国営企業港帯と4つのエリアでそれぞれの国営企業がその一帯の港を管理しています。

例として第二国営企業港帯ではジャカルタのプリオク港を管轄しており、現状の搬入状況や入船の順番待ちになっている状況を受けて規模の拡大を掲げています。さらに政府は15の空港を追加し、新しい路管理システムを10の空港維持システムに導入予定で、この費用182兆ルピアを交通省の国家予算から捻出するとしています。

インドネシアのインフラ計画の必要予算

2015-2019年の総合的なインフラ開発計画予想金額から計算をすると、インドネシア国内の需要は総計1,283兆ルピアになります。

また2015-2019年の開発計画において要所要所のポイントの直通計画(道路以外の手段での)において491兆ルピアが予定されています。

国家計画の採算では、地方行政、国営企業、民間企業などからの投資からでは791兆ルピアが不足しているということがわかります。

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インフラ開発計画を全体で見るとその需要は費用面から2025年までに 7,000兆ルピア(約650兆円)が必要となり、膨大な費用が掛かることがわかっています。

現行の政府予算ではその30%しか確保が出来ず、その他は投資家と民間企業の投資を頼りにせざるを得ないのが現状です。

政府はインフラの費用を確保するために国家予算、国営企業、民間企業等とのスキームを組み直しており、イスラム債権(project financing)やASEAN Infrastructure Fund (AIF) ASEAN組合からのアジア開発銀行などからの資金調達を計画しています。

インドネシアのインフラ整備は、とても注目されています。

引き続き見守っていき、またレポートしたいと思います。

出典:http://presidenri.go.id/

インドネシアについてはインドネシア総研にお問い合わせください

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ジャカルタ港

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