【コラム】2020年人口センサスに見るインドネシアの総人口とジャカルタの人口推移

インドネシアでは、1961年より10年に一度人口センサス(国勢調査)が行われています。この統計は中央統計局(BPS)によって、出生地、生年月日、宗教、民族、学歴、職業等のオンライン調査のほか、戸別の家庭訪問による手動国勢調査によって、情報収集が行われます。今回のコラムでは、2020年に行われた最新の人口センサスのデータより、インドネシア全体、それから首都ジャカルタの人口推移を其々ご紹介させて頂きます。

インドネシアの総人口

2020年9月時点で、インドネシアの総人口は約2億7020万4000人に達したことが報告されました。2010年の前回調査結果と比較すると、この10年間で3256万人の人口増加がありました。毎年ほぼ一律同期間の平均値の約326万人増加で推移しており、年人口増加率は1.25％でした。

2015年から2020年までのインドネシアの総人口推移は以下の図の通り、過去５年間においても、右肩上がりで人口が増加し続けていることが分かります。

世代別人口

人口統計学的に見ると、X世代(42歳-57歳)とミレニアル世代(26歳-41歳)に属する年代層は全て生産年齢層(15-64歳)に該当する層であり、Z世代(10歳-25歳)と団塊世代(65歳-76歳)は、15歳-25歳を除き非生産年齢層です。

2020年人口センサスの世代別人口構成調査の結果では、インドネシアの人口の大半をZ世代とミレニアル世代が占めていることが報告されました。以下の図のとおり、Z世代の人口に占める割合は27.94％、ミレニアル世代は25.87％となっています。

この結果から、2020年インドネシアにおける生産年齢人口の割合は70.72％に達しており、正に人口ボーナス期真只中にあるインドネシアは、今後も益々経済的な発展が多いに見込める国であると言えるでしょう。この人口構成の点は超高齢化社会である日本との違いである事も事実です。

ジャカルタの人口

2020年人口センサスでは、同年9月時点で、ジャカルタ首都特別州(以下ジャカルタ)の人口は1,056万人である事が報告されました。 2010年の前回調査結果と比較で、ジャカルタの人口も総人口と同様に増加傾向にあることが分かります。この10年間で、ジャカルタの人口は約95万4000人、毎年平均8万8000人ずつ増加しており、人口増加率は年率0.92％であったことが明らかになりました。

また、2020年の人口センサスとは別に実施された2021年の調査では、ジャカルタの人口は約５万人増の1,061万人であることが明らかになっています。正式に公表されている人口のデータでは、此方の数字が最新です。
ジャカルタの人口増加率は、一期前の2000年から2010年の人口センサス結果と比較すると0.49％、四期前の1971年から1980年の人口センサス結果と比較すると3.01％も減少し、年々人口の増加が緩やかになっていることが分かります。

この人口増加率の低下は、ジャカルタからの転出がジャカルタへの転入を上回り、純移動がマイナスになったためと考えられています。
また、2015年から2021年までの男女別人口推移(以下図)を見ると、2020年に女性の人口が減少しているという興味深い変化も明らかになっています。

此方については、新型コロナウイルスの影響で、地方出身女性が故郷の家族の面倒を見るためにジャカルタから転出したことが一つの要因として挙げられますが、ジャカルタは過度な人口密集に伴う域内の交通渋滞等、経済活動に与える影響が社会問題化している事も事実であり、それに伴う本格的首都機能のカリマンタン島への移転を本格化させる方針が政府より打ち出されています。そのため今後益々ジャカルタからの人口の転出が増えるとも予想されています。

2015年から2021年におけるジャカルタの男女別人口推移
(https://jakarta.bps.go.id/indicator/12/111/1/jumlah-penduduk-provinsi-dki-jakarta-menurut-kelompok-umur-dan-jenis-kelamin.html)

今回のコラムでは、2020年人口センサスの結果を元に、インドネシアの総人口およびジャカルタの人口の推移をご紹介させて頂きました。東南アジア最大、世界第４位規模の人口を誇り、且つその人口構成の大半が労働人口世代であるインドネシアは、経済発展が著しく、我々日本人にとっては投資・進出先としてチャンスの宝庫であると言えます。

また、人口センサスは多民族国家インドネシアならではの統計として「宗教」や「人種」別の項目も設けられているため、そうした情報を基に地域毎に特徴を掴みビジネスの戦略を組立てて行くことで、より有効なビジネスマーケティングを行うことが可能となるでしょう。

弊社インドネシア総合研究所では、インドネシアについて様々な側面からリサーチを行い、皆様のインドネシアビジネスの展開のご支援をさせて頂きます。ご関心をお持ちの皆様、是非お気軽にお問合せくださいませ。

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