【コラム】インドネシアの新首都ヌサンタラ(IKN)移転計画と最新の進捗状況

今回のコラムでは、首都移転計画のスケジュールと新首都のビジョン、2024年6月現在の進捗状況についてご紹介いたします。

目次

ヌサンタラ(IKN)への首都移転計画概要とスケジュール

インドネシアの首都移転計画は、IKN法に基づいて段階的に進められています。計画は5段階に分かれ、今年2024年中には第一段階の完了が予定されています。また現大統領ジョコウィ氏のヌサンタラ(IKN)への引っ越しは、一足早く2024年6月末または7月初めに計画されています。

https://nasional.kontan.co.id/news/rencana-pelaksanaan-upacara-17-agustus-2024-di-ikn-terkesan-dipaksakan

今年2024年10月には大統領が交代することもあり、ジョコウィ大統領は任期最後の独立記念日2024年8月17日の記念式典を新首都ヌサンタラ(IKN)で行うことを予定しています。

https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Reports/AjikenPolicyBrief/188.html
https://nasional.kontan.co.id/news/rencana-pelaksanaan-upacara-17-agustus-2024-di-ikn-terkesan-dipaksakan

新首都ヌサンタラ(IKN)の建設計画の進捗

2024年6月6日のKompas社の発表によると、新首都ヌサンタラ(IKN)の建設は全体で80%が完成しています。具体的な進捗は以下の通りです。

  • 大統領官邸:74%完了
  • 大臣住居:90%完了
  • 式典会場:56.37%完成
  • 政府職員の住居:47タワー(7月に完成予定)

ジョコウィ現大統領は、現地訪問の際にこのペースであれば8月17日の記念式典は予定通りに行えるとコメントしています。

新首都ヌサンタラ(IKN)プロジェクト幹部の辞職

2024年6月3日、インドネシアのプラティクノ国務長官は、プロジェクトリーダーのバンバン・スサントノ氏と副リーダーのドニー・ラハジョエ氏の辞職を発表しました。辞職の理由は公表されていませんが、これによりプロジェクトの実現可能性を疑問視する声が一部の国内外投資家から上がっています。

後任には、公共事業・住宅大臣(PUPR)のバスキ・ハディムルジョノ氏と、農地問題・空間計画副大臣のラジャ・ジュリ・アントニ氏が任命されました。新リーダーのバスキ氏は、リーダーシップの交代がプロジェクトに与える影響はないと述べています。

https://en.tempo.co/read/1875371/nusantara-project-leader-resigns-economist-a-negative-signal-for-ikns-sustainability

新首都ヌサンタラのコンセプトは「スマート森林都市」

新首都ヌサンタラのコンセプトは「スマート森林都市(Smart Forest City)」です。インドネシア政府は、「2045年、ヌサンタラ・ネットゼロ戦略(Nusantara Net0 Strategy 2045)」の名の下に、環境に優しい都市づくりを目指しています。

https://www.ikn.go.id/storage/produk-ikn/nusantara-net-zero-strategy-2045/nusantara-net-zero-strategy-2045-en.pdf

開発計画としては、自然保護と生物多様性確保のために、ヌサンタラエリアの65%(約20万ヘクタール)を自然林、海洋の為に保全し、残りの5万6000ヘクタールを開発地域とすることが決まっています。

また、運用面としては、インドネシア政府は以下の3つのシナリオを用意しています。

  • BAU:ビジネスを通常運転した場合のシナリオ(Business as Usual)/年間CO2排出量は10.8mtとなる
  • CM1:マスターシナリオ/2045年に年間CO2排出量を-1.1mt とする
  • CM2:カウンターマスターシナリオ/2045年に年間CO2排出量を-1.6mtとする

CM1、CM2シナリオの実現のため、インドネシア政府は以下の指針を定めています。

  • 2030年までにヌサンタラの電力供給を100%再生可能エネルギーとすること
  • 80%の交通手段を公共交通とすること
  • 2045年までに100%電気自動車とすること

など

https://www.ikn.go.id/storage/produk-ikn/nusantara-net-zero-strategy-2045/nusantara-net-zero-strategy-2045-en.pdf

インドネシアの新首都ヌサンタラが21年後どのような姿で、世界をリードする都市となっているのか、今から目が離せません。

今回のコラムでは、新首都ヌサンタラ(IKN)への首都移転プロジェクトのスケジュールと進捗状況についてご紹介いたしました。弊社インドネシア総研は、日本とインドネシアの両方にオフィスを持ち、日々最新の情報を入手しております。インドネシアでの市場調査、商談サポート、投資や起業のアドバイザリー、視察の手配など、様々なサービスで、日本企業様のインドネシア進出をサポートしております。


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