【コラム】インドネシアの首都移転計画
インドネシアの首都ジャカルタの渋滞は世界的にも悪名高く、ジャカルタ近郊も含めた経済損失額は、年間約100兆ルピアにも上ると言われています。
今年に入りMRTの運転も開始されましたが、それでもジャカルタは深刻な過密状態にあります。
そんな中インドネシアでは、首都をジャカルタからジャワ島外に移転させる計画があり、年内に移転先を決定し、2021年よりインフラ整備などを進めていく意向であると言われています。
ジョコウィ大統領は今年に入り候補地の視察を行っており、有力だと言われている地域が3か所あります。一体どんな所が新しい首都の候補地とされているのでしょうか?
それぞれの候補地についてご紹介いたします。
2. 中カリマンタン州パランカラヤ市
3. 中カリマンタン州グヌンマス県
1. 東カリマンタン州クタイカルタヌガラ県
– 人口…約71万人(2015年)
– 面積…27,263㎢(2015年)
出典:クタイカルタヌガラ県 BPS(統計庁)より(閲覧日:2019年6月4日) https://kukarkab.bps.go.id/
クタイヌガラ県は、石油や天然ガスの産地として知られています。
クタイカルタヌガラ県が首都移転先の候補地として選ばれた理由は、高速道路が敷設されており、空港も近いことからインフラ整備がなされているためだとされています。
2. 中部カリマンタン州パランカラヤ市
– 人口…約25人(2014年)
– 面積…2,678㎢(2014年)
出典:パランカラヤ市 BPS(統計庁)より(閲覧日:2019年6月4日) https://palangkakota.bps.go.id/
パランカラヤは、中部カリマンタン州の州都で、スカルノ初代大統領によって1957年に創られた街です。
活火山が近くにないことや地震が少ないという安全性の理由などから、当初首都移転先として検討されていました。
3. 中部カリマンタン州グヌンマス県
– 人口…約11万人(2015年)
– 面積…10,804㎢(2016年)
出典:グヌンマス県 BPS(統計庁)より(閲覧日:2019年6月4日) https://gumaskab.bps.go.id/
この地域は金鉱や天然資源で広く知られています。県名の由来は“Gunung Emas(=金の山)”であり、オランダ占領時代から金鉱が有名です。グヌンマス地区では、金、銀、銅、鉛、雲母、石炭などの天然資源が有名です。
この他にもジョコウィ大統領は複数の地域に視察に訪れたと報道されており、インドネシアではどの都市が次なる首都に選ばれるのか、注目が集まっています。
ジョコウィ大統領は、首都移転候補地を決定するために検証が必要な重要な側面として、社会・環境面、災害、政治、地形、水資源などを挙げています。
実は、スカルノ大統領の時代から首都移転は検討されており、安全性やジャカルタの都市機能への負担の増加などから繰り返し議論がなされてきました。
ジョコウィ政権は年内に移転地を決定する意向を示しており、今年4月に実施された大統領選の結果、ジョコウィ大統領の再選が確定したことから、今後の移転についてますます具体的な議論がなされると考えられます。
ただし、移転には約10年の期間と約300~500兆ルピアもの移転費用を要すると言われており、移転候補地が決定した後もインフラ開発など課題が多く残されています。
10年の長い期間と莫大な費用を要することから、実現性に懐疑的な声が一部で挙がっているのも事実です。
ジャカルタにはたくさんの日系企業が進出しているため、首都がジャカルタから移転されるとなると、進出している日系企業にも大きな影響が及ぶでしょう。
引き続き、インドネシア首都移転に関するニュースから目が離せません。
株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260