【コラム】インドネシアの食料安全保障指数

食料安全保障とは、国内における農作物の不作などの不測の事態が生じた場合でも、「人が生きる上で最低限必要とする食料の供給を安定的に確保すること」です。

食料安全保障は、国民の生活を守る国の重要な責務です。

今回のコラムでは、インドネシアの食料安全保障についてご紹介します。

参考WEBサイト:https://www.gov-online.go.jp/article/202402/tv-5109.html#:~:text=%E5%9B%BD%E5%86%85%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%BE%B2%E4%BD%9C%E7%89%A9%E3%81%AE%E4%B8%8D%E4%BD%9C,%E3%81%8C%E3%80%8C%E9%A3%9F%E6%96%99%E5%AE%89%E5%85%A8%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E3%80%8D%E3%80%82

目次

インドネシアの食料安全保障指数の推移

下図は、2012年から2022年までの10年間のインドネシアの食料安全保障指数の推移を表しています。

食料安全保障指数とは、「手頃な価格」「入手可能性」「品質と安全性」「持続可能性と適応」の4つの観点から、食料安全保障を定量化した指数です。

参照:IndeksKetahaan Pengan Indonesiaを基に弊社作成(2024年8月14日)
https://www.cnbcindonesia.com/research/20230516074542-128-437635/ketahanan-pangan-ri-di-bawah-rata-rata-dunia-begini-faktanya

過去10年間で、インドネシアの食料安全保障指数は徐々に上がっていることがわかります。

また、10年間で一番食料安全保障指数が高かったのは2018年でした。

2022年における食料安全保障指数の世界平均は62.2でしたが、インドネシアの数字を見ると世界平均を下回っていることがわかります。

ASEAN諸国とインドネシアの食料安全保障指数の比較

以下は、ASEAN諸国の食料安全保障指数です。

参照:Skor Ketahanan Pengan Negara ASEAN を基に弊社作成(2024年8月14日)
https://goodstats.id/article/indonesia-peringkat-4-ketahanan-pangan-asean-apakah-masih-di-bawah-rata-rata-dunia-d3tUR

ASEANの食料安全保障指数は1位がシンガポールで73.1です。一番低いのがラオスで53.1です。

インドネシアはASEANの中で食料安全保障指数が4番目に高いことがわかります。

インドネシアが輸入に頼っている主要食品

食料安全保障を担保するためには、食料自給率を上げできるだけ輸入に頼らないことは非常に重要です。

インドネシア中央統計局(BPS)の2023年のデータによると、インドネシアの労働人口のうち農業に従事する割合は、全労働人口のうち23.36%と他の分野と比較しても一番高い割合を占めていることがわかっています。

しかし、国内総生産に対する農業部門の貢献度は低く、大豆(80~90%が輸入)、グラニュー糖(65~70%が輸入)、ニンニク(90〜95%が輸入)、牛肉(25〜30%が輸入)など多くの主要食品を輸入に頼っているのが現状です。

また、インドネシア人の主食である米も輸入に頼っています。

2023年の米の輸入量は200万トンと非常に多い量が輸入量としてインドネシア政府から定められました。

インドネシアの米の消費量を国内生産量で賄える年もありましたが、国産の米だけでは米の価格が上がってしまうため、輸入は常に行なっています。

今後も人口が増えるインドネシアにおいて、主食の米の生産量を上げることは非常に重要になってくるでしょう。

参考WEBサイト:https://wri-indonesia.org/id/wawasan/membangun-ketahanan-pangan-indonesia-2030

インドネシアの食料安全保障指数が低い原因

インドネシアの食料安全保障指数が低い原因として、以下の理由が挙げられます。

インフラが整っていない

  • 流通ネットワークが都市部と農村部で差がある
  • 倉庫などの保管施設が整っていない地域がある
  • 道が整備されておらず食料の流通が困難な地域がある

収穫後の保管の知識の不足

  • 農家や食品加工業者における物の品質を維持するための収穫後の保管の技術が不足している
  • 収穫後の保管施設への投資する資金が足りない

不健康な食品の摂取

  • 米と小麦の主食の消費が多く、野菜やその他の種類の食品の消費が低く栄養バランスがとりにくい食事となっている
  • 栄養バランスの取れた食事についての教育が足りておらず、栄養価が少なく安価で入手できる食品を選ぶ傾向にある
  • 砂糖や脂肪の多い加工食品が多く摂取されている

生産することができても、流通や保管の問題により食料安全保障指数が伸びないというのも理由として挙げられます。

このような問題を克服するためには、以下のような対策が必要になります。

  • 食料の多様化
  • 農業の強化
  • 農業の拡大
  • 水源の管理
  • 食品流通インフラの改善

このような取り組みは、インドネシア政府の国家中期開発計画にも組み込まれています。

それほどインドネシアの食料安全保障指数を上げることは、インドネシアにとって非常に重要であると言えます。

参考WEBサイト:https://www.sampoernafoundation.org/id/mengenal-ketahanan-pangan-dan-tantangan-yang-dihadapi-indonesia/

今回のコラムでは、インドネシアの食料安全保障についてご紹介しました。

食料安全保障は、国家レベルの重要な事項です。

人口が増えて続けているインドネシアにおいて、国民に安定した食料を供給するために政府も今後様々な取り組みを行うことでしょう。

弊社インドネシア総研は、インドネシアの様々な分野の進出のサポートを行なっております。

インドネシアにおける事業にご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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