【コラム】最新版世界長者番付から見るインドネシアの億万長者

アメリカ合衆国で発行されている経済雑誌「フォーブス(Forbes)」が毎年更新している世界長者番付の2023年版が、先日発表されました。2022年は、世界的な株価の下落、市場の後退によるユニコーン企業(企業評価額が10億ドル以上の未上場の新興企業)の停滞、金利の上昇等の要因により、富裕層にとっても苦戦を強いられる一年となりました。

世界全体で、個人資産10億ドル以上の億万長者は2,640名と、昨年の2,668名から、やや減少したほか、彼らの総資産合計額が昨年の12.7兆ドルから5,000億ドル減の12.2兆ドルとなるなど、世界的不況が世界的富豪らにとってもマイナス成長となりました。今回のコラムでは、この世界長者番付の最新版より、世界的富裕層の概況から、インドネシアの富豪についても、詳しくご紹介致します。

2023年4月4日にフォーブスが発表した2023年版の世界長者番付によると、1位となったのはフランスのベルナール・アルノー氏でした。 彼はLouis VuittonやDior、Tiffanyなどのラグジュアリーブランドを傘下にもつ、フランスのLVMHの会長兼CEOです。資産額は2110億ドル(約27兆8500億円)で、前年1位のイーロン・マスク氏を抑え、フランス人として初めて世界一の大富豪となりました。

マスク氏は、一時期世間を大きく騒がせたTwitter社高額買収によるTesla社の株価下落の影響で、世界第一位から第二位へと順位を落としました。そのほか、1位から30位までのランキングは以下の通りです。

順位 名前 関連 資産額 資産額
(10億$) (兆円)
1 ベルナール・アルノー LVMH フランス 211 27.85
2 イーロン・マスク Tesla アメリカ 180 23.76
3 ジェフ・ベゾス Amazon アメリカ 114 15.05
4 ラリー・エリソン Oracle アメリカ 107 14.12
5 ウォーレン・バフェット Berkshire Hathaway アメリカ 106 13.99
6 ビル・ゲイツ Microsoft アメリカ 104 13.73
7 マイケル・ブルームバーグ Bloomberg アメリカ 94.5 12.47
8 カルロス・スリム Teléfonos de México メキシコ 93 12.28
9 ムケシュ・アンバニ Reliance Industries インド 83.4 11.01
10 スティーブ・バルマー Microsoft アメリカ 80.7 10.65
11 フランソワーズ・ベッテンコート・マイヤーズ L’Oréal フランス 80.5 10.63
12 ラリー・ペイジ Google アメリカ 79.2 10.45
13 アマンシオ・オルテガ Inditex(ZARA) スペイン 77.3 10.2
14 セルゲイ・ブリン Google アメリカ 76 10.03
15 鍾睒睒 農夫山泉 中国 68 8.98
16 マーク・ザッカーバーグ Facebook アメリカ 64.4 8.5
17 チャールズ・コーク Koch Industries アメリカ 59 7.79
17 ジュリア・コーク Koch Industries アメリカ 59 7.79
19 ジム・ウォルトン Walmart アメリカ 58.8 7.76
20 ロブ・ウォルトン Walmart アメリカ 57.6 7.6
21 アリス・ウォルトン Walmart アメリカ 56.7 7.48
22 デイヴィッド・トムソン Thomson カナダ 54.4 7.18
23 マイケル・デル DELL アメリカ 50.1 6.61
24 ゴータム・アダニ Adani Group インド 47.2 6.23
25 フィル・ナイト NIKE アメリカ 45.1 5.95
26 張一鳴 ByteDance(TikTok) 中国 45 5.94
27 ディーター・シュワルツ Schwarz Group ドイツ 42.9 5.66
28 フランソワ・ピノー Kering フランス 40.1 5.29
29 クラウス・ミハエル・

キューネ

Kuehne+Nagel ドイツ 39.1 5.16
30 ジョヴァンニ・フェレロ Ferrero イタリア 38.9 5.13

2023年世界長者番付トップ30名(フォーブスの発表をもとに弊社作成)

国別で見ると、米国が億万長者番付上位25名中17名を占め、全体でも億万長者735名・資産総額4.5兆ドルと、依然として世界最多の億万長者を擁する国となりました。続いて中国(香港・マカオを含む)が億万長者562名・資産総額2兆ドルで2位を維持し、3位は169名の億万長者が675億ドルの資産を保有するインドとなりました。

中国からは、15位にミネラルウォーター最大手「農夫山泉」創業者の鍾睒睒氏、26位にTikTokを傘下にもつ「ByteDance」創業者の張一鳴氏がランクインしています。インドネシアからは、29名の億万長者がランクインし、彼等の合計資産額は10億ドルで、世界でも20番目に億万長者が多い国となっています。インドネシア人の中では、全体で56位にランクインした、石炭などの鉱業事業を展開するBayan Resourcesの創業者Low Tuck Kwong氏が第1位でした。

彼はシンガポール出身ですが、Bayan Resourcesはインドネシアのカリマンタンを拠点としています。続いて、世界で三番目に大きなクローブタバコメーカー「Djarum」経営者であるRobert Budi Hartono氏が全体の61位に入り、インドネシアの国内第二位となりました。彼の弟であるMichael Hartono氏は僅差で世界65位にランクインし、国内で第三位となっています。また、億万長者の多い国別ランキングは以下の通りです。

順位 人数(名)
1 アメリカ 735
2 中国 495
3 インド 169
4 ドイツ 126
5 ロシア 105
6 香港 66
7 イタリア 64
8 カナダ 63
9 台湾 52
10 イギリス 52
11 ブラジル 51
12 オーストラリア 47
13 フランス 43
14 スイス 41
15 日本 40
16 スウェーデン 39
17 シンガポール 35
18 韓国 30
19 イスラエル 30
20 インドネシア 29

2023年世界長者番付輩出トップ30国(フォーブスの発表をもとに弊社作成)

インドネシアからはそのほかにも、パームオイル(ヤシ油)やゴム、石炭など天然資源の生産加工に関わる企業の創業者や、クレジットカードや銀行などの金融企業関係者、そしてインドネシアだけでなく東南アジア諸国にも広く展開するコンビニエンスストア「Alfamart」の創業者らが億万長者として名を連ねています。

このように、今回のコラムでは世界的に見ても「超」富裕層であるインドネシアの億万長者をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。インドネシアではその他にも、一般的な富裕層や裕福な中間層が拡大傾向にあります。この様な富裕層はインドネシアでは高級なイメージのつきやすい日本ブランドへの注目や関心度が高く、同じく近年人気の高いヘルスケア分野等と関連性のあるサプリメント、化粧品、パーソナルジム・ピラティス事業などは、インドネシアでは特に成功しやすい分野です。

弊社インドネシア総合研究所では、日本企業皆様の、その様な現地の富裕層向ビジネスへの参入をお手伝いさせて頂いております。具体的には現地の業界関係者、管轄当局関係者へのインタビューを含めた事前調査、又は現地の有力なパートナーの紹介、交渉サポート等です。日本とは文化慣習が大きく異なるインドネシアを熟知している弊社ならではのノウハウを以て、皆様にとって最適、且つ理想的なマーケティング戦略や経営戦略の構築をご支援させて頂きます。インドネシアへの進出をお考えの皆様、是非この機会に弊社インドネシア総合研究所へお問い合わせくださいませ。

株式会社インドネシア総合研究所
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