【コラム】インドネシアのゴトン・ロヨン(相互扶助)文化
インドネシアに根付く文化として、ゴトン・ロヨン(相互扶助)というものがあります。
インドネシアの集落やコミュニティでは、日頃よりこのゴトン・ロヨンを行い協力し合って暮らしています。
また、この相互扶助の精神は、大多数のインドネシア人が信仰しているイスラム教の教えが強く影響しています。
今回のコラムでは、インドネシアにおけるゴトン・ロヨン(相互扶助)についてご紹介していきます。
ゴトン・ロヨン (gotong royong)について
インドネシアで相互扶助の精神や行動を、「ゴトン・ロヨン(gotong royong)」と言い、ジャワ島を起源としインドネシアの様々な地域で浸透しています。
ゴトン・ロヨンという言葉は、インドネシアのジャワ島の地域語であるジャワ語で“一緒に仕事をする”という意味です。
また、インドネシアの文部科学省は、ゴトン・ロヨンは一個人の利益を優先するのではなく、お互いの幸せのために協力し合って物事を達成する活動であると述べています。
ゴトン・ロヨンの目的と意義
インドネシアでゴトン・ロヨンの精神が行きわたっているのは以下の様な理由からです。
1、周囲の人々との良好な関係を作る
2、協力して問題を解決し一体感を生み出す
3、協力する事で皆の安全と良好な環境を守る
4、相互扶助の姿勢を育む
5、結束を強める
6、一人の負担を軽くして皆で支えあう
ゴトン・ロヨンにより、周囲との良好な関係が出来、その結果強い結束が生まれ、たとえ困難な状況でも孤立感はなく、共に明るく乗り越えられる人々の団結力に発展していきます。
そしてインドネシアでは、家族愛や兄弟愛が非常に強く、これもゴトン・ロヨンの精神が関係しているのでしょう。
ゴトン・ロヨンの例
ゴトン・ロヨンの例をあげると以下の様になります。
・地域奉仕活動
町のお掃除、家の修繕の手伝い、農業の手伝い、モスク建設にあたる寄付など
・災害対応
災害が起きた際のコミュニティでの助け合い
・学校活動
学校で一緒に勉強をすること、一緒に掃除を行うことなど
農業のお手伝いや家の修繕のお手伝いをすることは日本では少ないですが、災害時に互いに助け合ったり、学校で一緒に勉強することは日本でもよく行われています。
協調性や人を思いやる行動はそのものがとても気持ちの良いものです。そしてそれがインドネシアのゴトン・ロヨンに近い感覚です。
コロナ禍におけるゴトン・ロヨン
「コロナ禍において、ゴトン・ロヨンの精神が収束の鍵である」とインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は述べています。
新型コロナウイルスの蔓延を防止するためにも、国からの呼びかけではなく、地域ごとや村単位などコミュニティで協力し合うことが、非常に有効であるとインドネシアの人々は考えているようです。
実際に、インドネシアオートバイ協会、インドネシア軍隊卒業生など様々なコミュニティのゴトン・ロヨンのお陰で2回目のコロナウイルスワクチン接種を行うこともできました。
パンデミック期において、このゴトン・ロヨンの考え方を持った人々の行動がとても有効であったことが分かります。
今回のコラムでは、インドネシアにおける「ゴトン・ロヨン」についてご紹介しました。
ゴトン・ロヨンの精神や行動は、インドネシアに昔から根付いている素晴らしい文化です。
インドネシアでのビジネスにおいてビジネスパートナー等に問題が発生した際、ゴトン・ロヨンの精神を思い出し、自らの手を差し伸べ、共に乗り越える事で巡り巡って自身のビジネスの発展に展開する事もあるでしょう。そして「皆で幸せになっていこう」というこの考え方から思わぬ力が発揮できるかもしれません。
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