【コラム】国内企業保護のためのインドネシア政府とShopeeインドネシアの戦略
Shopee Indonesiaが、国内の中小企業(UMKM: Usaha Mikro Kecil dan Menengah)を保護するために、輸入商品13品目の販売停止を決定してから、凡そ一年が経過しました。
同社は、インドネシア市場に流入する外国産の安価な製品を規制し国内の中小企業を保護するために、昨年5月にインドネシア協同組合・中小企業省の指示を受け、同社のプラットフォームを通じて販売されていた輸入製品13品目の販売を正式に停止していました。
Shopee Indonesiaにて販売停止となった13品目は殆どがムスリムファッションのカテゴリーに属する製品で、ヒジャブ(ムスリム女性が身に着けるヘッドスカーフ)、ムスリム用運動着、女性ムスリム用トップス、女性ムスリム用ボトムス、男性ムスリム用トップス、男性ムスリム用ボトムス、ムケナ(女性ムスリムが礼拝時に着用する衣服)、子供用ムスリム服、ムスリム用アクセサリー、礼拝用品、バティック(インドネシア特産のシャツ)、ケバヤ(インドネシアの民族衣装)などです。
Shopeeのヒジャブ販売ページ(2022年7月21日アクセス)
ムスリムファッションの市場規模と輸入製品の脅威
インドネシア国内の中小企業によるムスリムファッション製品の貿易額は、年間約300兆ルピア(2,8兆円)にも達しています。このうちムスリムファッション産業は約280兆ルピア(2,6兆円)、バティック産業は約4.9兆ルピア(450億円)を占めています。何れもインドネシア国内の中小企業にとっては重要なビジネスなのです。
ところが近年、ムスリムファッション製品を生産するインドネシアの中小企業の経営が、中国や韓国といった諸外国から安価な類似品が流通することで悪化しているという状況が数々報告されています。一例をあげると、ヒジャブを生産しているインドネシアの中小企業の独自の製品情報が、中国の企業に盗用され、類似品を生産されてしまうといったことが発覚しました。
人件費の安い中国の工場で生産されたこうしたヒジャブは、輸入時に掛かる関税を足してもインドネシア国内産の商品より遥かに安く、故にインドネシアに次々と逆輸入され、国内の中小企業の製品はこの様な海外産の低価格製品に太刀打ちできなくなってしまっていたのです。輸入されたヒジャブは、Shopee 等のEコマースでは1枚あたりわずか1,900ルピア(17.5円)の販売価格で取引されていたといいます。
現在Shopeeで販売されているインドネシア国内の中小企業製のヒジャブは10,000~50,000ルピア(92円~460円)程ですから、外国産の製品が如何に安価であったかが分かります。
同戦略のEコマースビジネスへの影響
輸入製品の販売停止により国内の中小企業の保護に成功した一方、Eコマースビジネスへの影響が心配されたかと思いきや、実は同ビジネスへの打撃は至って小さいものでした。元々Shopeeにおける海外製品の売上貢献度は取引全体の僅か約3%程度であったことからも、専門家や協同組合・中小企業省Teten Masduki大臣らは、国内の中小企業を保護する方が有益であるとの見方を示しています。また同大臣は、Shopee Indonesiaがいち早くインドネシア政府と協力し輸入製品販売停止へ動いたことを高く評価し、他のEコマースプラットフォームとも同様に国内の中小企業保護に向け協議を進めていく方針を明らかにしました。
この様なインドネシアのマーケットも消費者の日本産商品への志向は高く富裕層向けの高級路線を打ち出した日本企業のインドネシアマーケットへの参入成功例は数多くあります。弊社インドネシア総合研究所もその様なお客様のインドネシアマーケット参入のお手伝いさせて頂いた実績が数多くあります。
またインドネシア各地特有のカカオ豆を配合したチョコレートの生産や、地元特産品であるテンペを使ったお菓子の生産など、地元のビジネスを支援しております。同様にインドネシアの特産品の輸入のお手伝いをすることで優れたインドネシア製品の日本進出のお手伝いを行っております。
弊社はインドネシアと日本両国のオフィスで連携を取りながら、日本を代表するインドネシアのプロフェッショナルとして、SDGsへ貢献できるビジネスの構築をサポートさせていただきます。ご関心をお持ちの日本の企業家の皆様、是非お気軽に弊社インドネシア総合研究所までお問い合わせください。
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