【コラム】インドネシアで受付開始される『ゴールデンビザ』
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インドネシア法務・人権省入国管理局は、去る9月2日、外国人投資家向けの長期査証、通称『ゴールデンビザ』の提供を開始したと発表しました。ゴールデンビザの導入は、インドネシアにおける新型コロナウイルス感染症によるパンデミック収束後のインドネシア経済成長の促進、投資誘致、高度人材の誘致を目的としています。発表に先立ち、ゴールデンビザと滞在許可に関する法務・人権大臣規定「2023年第22号 」が8月24日付、ゴールデンビザのための税外収入に関する財務大臣規定「2023年第82号」が8月30日付で、それぞれ施行されました。今回のコラムでは、ゴールデンビザの概要や条件について、詳しくご紹介いたします。
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ゴールデンビザの概要
インドネシアで新たに導入された『ゴールデンビザ』は、最長10年間と通常のビザよりも長い有効期限を持ち、一時滞在許可証(ITAS)申請が不要になるなど、出入国の簡易化が可能となる点が特徴です。高度な技術や経験を持つ高度外国人材を誘致し、インドネシア経済の成長と発展を促進することを狙いとしています。ゴールデンビザは、大手企業、投資家、国際的に活躍する著名人などを対象としています。同様のビザプログラムは、他の国々でも起業家や資本を誘致するために導入されており、国際的な競争力の向上を目指しています。
ゴールデンビザの取得条件
インドネシアにおけるゴールデンビザの取得条件は、以下の3つのケースに分かれて定められています。いずれも高い条件が設定されており、経済発展に寄与できる人物の誘致というインドネシア政府の目的が伺えます。
①インドネシア法人を設立しない個人投資家の場合
■有効期限5年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額350万米ドル(約538億ルピア/約5億円)
・インドネシア国債購入、上場企業の株式購入、またはインドネシアの預金に充てる
■有効期限10年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額700万米ドル(約1076億ルピア/約10億円)
・インドネシア国債購入、上場企業の株式購入、またはインドネシアの預金に充てる
②インドネシア法人を設立する個人投資家の場合
■有効期限5年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額250万米ドル(約384億ルピア/約3.7億円)
■有効期限10年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額500万米ドル(約769億ルピア/約7.4億円)
③インドネシア法人を設立する機関投資家の場合
■有効期限5年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額2500万米ドル(約3845億ルピア/約36.9億円)
■有効期限10年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額5,000万米ドル(約7691億ルピア/約73.9億円)
ゴールデンビザの取得条件は、個人か法人か、インドネシア法人を設立するかしないかで異なります。①と②を比較すると、個人投資家の場合はインドネシアに法人を設立した場合の方が、ゴールデンビザ付与の条件が比較的低くなることがわかります。また、③の機関投資家(保険会社や投資信託会社等の、顧客から拠出された資金を運用管理する法人投資家の総称)の場合は、法人の取締役および監査役がビザ付与の対象となります。またインドネシア法務・人権省入国管理局は、一定額以上の投資を行う投資家のほかにも、「インドネシア中央政府の推薦を受け、国際的な名声をもち、インドネシアに恩恵をもたらすことができる人物なども発給対象者になる」との声明も出しています。
しかし、現時点では申請方法や詳細の規定などは未だ不明瞭であり、申請開始については未定となっているようです。
まだ導入が開始されたばかりのインドネシアのゴールデンビザですが、その受給者第一号となったのは、世界的に有名なAIチャットツール『ChatGPT』の生みの親である米OpenAI社最高責任者、Samuel H. Altman(サム・アルトマン)氏でした。ChatGPTは、インドネシアで今最も多く利用されているAIツールでもあります。インドネシア政府は、アルトマン氏へのゴールデンビザ発給により、同氏がインドネシアでのAI活用の更なる発展に貢献することを期待しています。インドネシアでのAIツールに関する最新情報については、先日公開いたしましたコラム「インドネシアで人気のAIツール(2023)」をご覧ください。
今回のコラムでは、インドネシアで新たに発給が開始され注目が集まっている『ゴールデンビザ』についてご紹介いたしました。ゴールデンビザは、一般的なビザとは異なり、財政界の有力者や、公衆人物、巨額投資家、大手企業を対象としたビザです。インドネシアでは、インドネシア政府は経済強化のため、ゴールデンビザのほかにも多種多様なビザを以て経済力のある外国人の誘致を積極的に推進しています。
昨年には、外国人富裕層を対象とし最大10年間の滞在を認める『セカンドホームビザ』の発給が開始されました。また、デジタルノマド(ITを活用し国内外を旅しながら働く人々)は、『シングルビザ(B211ビザ)』を取得することで最大6ヶ月までインドネシアに滞在することも可能です。これらのビザを活用してインドネシアへ移住や長期滞在をする外国人の増加は、バリ島などを中心に、インドネシアの観光産業の活性化にも繋がっています。
セカンドライフとして、自然豊かな南国インドネシアでの生活を人生の一ページに刻むのも良いかもしれません。
弊社インドネシア総合研究所では、ビザに関するご相談やビザ申請代行なども承っております。ご関心をお持ちの方は是非お気軽にお問合せくださいませ。また、本コラム内にて紹介した一連のビザについては、以下の関連コラムにて詳しくご紹介しておりますので、是非併せてご一読ください。
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