【コラム】熱帯気候インドネシアのDieng高原で霜を観測

インドネシアは熱帯地域にあるため、気温は年間を通して30度前後、高山地域では26度と高い気温です。インドネシアは日本のように四季はなく雨季と乾季のみです。そのような暑い気候の国ですが、中部ジャワに位置するDieng高原では現在氷点下まで気温が下がり、霜が発生しています。熱帯地域で氷点下まで気温が下がるということは非常に驚くべき現象です。今回のコラムでは、このDieng高原での霜の発生や、観光地でもあるDieng高原の魅力に関してお伝えいたします。

インドネシア中部ジャワに位置するDieng高原の基本情報

Dieng高原は、「場所」を意味する「Di」と「神」を意味する「Hyang」という言葉に由来しており「神々の住むところ」とも言われ、その自然や文化、歴史は多くの人々を惹きつけています。Dieng高原は中部ジャワのウォノソボ県とバンジャル・ヌガラ県の2つの県にまたがっており、標高2093メートルの場所にあります。丘陵地に独特の段になった畑や田園地帯が多くみられ、火山口や湖などもあり、訪れる人々はその美しい景観を楽しむことができます。また、毎年8月には、子どもたちの縮れ毛を切る「ルワタン」という儀式がアルジュナ寺院で3日間執り行われ、多くの人々が集まります。縮れ毛は子どもたちの後々の人生に不幸や困難をもたらすとされているため、この儀式は執り行われます。

参考サイト:
http://dpad.jogjaprov.go.id/coe/article/ritual-ruwatan-rambut-gimbal-di-dataran-tinggi-dieng-426
https://enjoytrip.wixsite.com/indonesia-jawa/dieng

Dieng高原では「毒霜(Embun Upas)」と呼ばれる霜が発生

Dieng高原は標高2000メートルの場所にあり、乾季の間にはオーストラリア大陸からインドネシアの赤道以南の地域にかけて乾燥した冷たい空気を送り込む気流が発生するため、気温が0度あるいはそれ以下の氷点下になることもあります。また、この地域は山などの地形が複雑でインドネシアの他の地域と比較すると乾季でも湿度は高く、朝の気温が下がる乾季の間は空気中の水分量が飽和し、露が発生しやすくなります。さらに気温が氷点下まで下がることで露が凍って霜が発生します。Dieng高原ではジャガイモ栽培が盛んであり、これらの霜はジャガイモの発育を阻害するなど農業への悪影響があることから、現地の人々からは「毒霜(Embun Upas)」とも呼ばれています。農家の人々には必ずしも良い現象ではありませんが、Dieng気候の美しい景観に加えて、熱帯では珍しい氷点下の気候や霜を見ることができる点でも多くの観光客を集めています。

参考サイト:
https://regional.kompas.com/read/2020/07/27/19465421/fenomena-embun-es-di-dataran-tinggi-dieng-ini-penjelasan-bmkg?page=all
https://travel.kompas.com/read/2022/07/26/110540327/embun-upas-dieng-muncul-lagi-ini-waktu-terbaik-untuk-melihatnya?page=all

インドネシア中部ジャワのDieng高原おすすめ観光スポット3選

中部ジャワでも指折りの観光地であるDieng高原にはどのような魅力的な場所があるのでしょうか。以下にいくつか代表的なDieng高原周辺の観光スポットをご紹介いたします。

【アルジュナ寺院群】
Dieng高原周辺には寺院群が複数ありますが、このアルジュナ寺院群は総面積約1ヘクタールと、最大の面積のヒンドゥー教寺院です。西暦7~8世紀頃に建立され、アルジュナ寺院、プンタデワ寺院、スンバドラ寺院はシヴァ神を崇拝するために、スリカンディ寺院は3つの神(シヴァ神、ブラフマー神、ヴィシュヌ神)を崇拝するために建てられました。このアルジュナ寺院では毎年8月に子どもの縮れ毛を切る儀式が行われ、多くの人々の注目を集めます。

【ワルナ湖】
Dieng高原周辺は多くの湖がありますが、ワルナ湖はその中でも最も美しい湖のひとつです。「ワルナ(warna)」はインドネシア語で「色」を意味しますが、その名の通りこの湖は日光の反射によって緑、黄色、紫などのさまざまな色に変化するのを見ることができます。また、湖の中心部分は水が泡立っているようにも見えます。ワルナ湖がさまざまな顔を見せるのは、その水に硫黄成分が多く含まれているためであると言われています。ワルナ湖の水は周辺のジャガイモやキャベツの農業用水にも利用されています。周辺には原生林が生い茂り、野鳥のさえずりも聞くことができるため、多くの観光客を魅了しています。

【シキダン噴火口】
シキダン噴火口は、活火山を見ることができるため観光客から人気の場所です。噴火口から緑色や白色の煙があがっているのを木製の歩道から眺めることができます。木製の歩道からメインの火口から煙があがる光景を背景に写真を撮る観光客が多いです。また、通称ゆで卵火口と呼ばれる火口も近くにあり、その火口からは硫黄の強いにおいが漂っています。

※2023年6月時点の最新の現地ニュースによると、アルジュナ寺院群とシキダン噴火口は整備のため1年間閉鎖される予定です。これらの観光地を訪れる方は事前に現地や政府の情報を確認することをおすすめいたします。

参考サイト:
https://travel.kompas.com/read/2022/05/17/080300827/15-wisata-dieng-wajib-mampir-saat-libur-panjang-dan-cuaca-cerah?page=all
https://www.manusialembah.com/2015/12/pencandian-arjuna-kompleks-candi-hindu.html
https://www.indonesia.travel/gb/en/destinations/java/dieng-plateau/telaga-warna
https://www.detik.com/jateng/wisata/d-6795622/candi-arjuna-kawah-sikidang-bakal-ditutup-ini-alternatif-wisata-di-dieng


今回のコラムでは、インドネシアでは珍しく氷点下になるDieng高原で霜が発生する現象や、自然豊かで独自の文化が根づくDieng高原の観光地に関してご紹介いたしました。インドネシアは群島国家で、大小さまざまな島からなり、それぞれの島や地域に独自の自然や文化が根づいています。インドネシアは農林水産資源のみならず観光資源も豊富な国家です。インドネシアでの観光にまつわるビジネスなどにご興味をお持ちの方はぜひ弊社までお問い合わせくださいませ。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-6804-6702

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次