【コラム】インドネシア人の食費、食生活の変化

インドネシア人の月間消費支出は2017年から5年間連続で増加しており、2021年の月間消費支出の平均は2017年と比較すると22%も増加しています。
消費支出の内訳は、食費住居費、光熱費など様々な項目に分類されますが、消費支出のうち食費が占める割合は非常に多いのが特徴です。
今回のコラムでは、インドネシア人の食費、食生活の変化についてご紹介していきます。

インドネシアの月間消費支出と食費の割合

まず、インドネシアの月間消費支出を見ていきましょう。
以下は2017年から2021年にかけての、インドネシアにおける一人あたりの月間消費支出の推移です。

上の図から、2017年から2021年にかけてインドネシアでの一人あたりの月間消費支出額が増加し続けていることが分かります。
また、2020年と2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で家に滞在する時間が増えたことが消費支出額増加の要因の一つでもあるようです。

次に、月間消費支出のうち食費と食費以外の割合の推移を見ていきましょう。

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Pengeluaran Untuk Konsumsi Penduduk Indonesia 2021
「インドネシア人の消費と支出 2021」 より弊社作成(閲覧日:2023年1月29日)
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/23/2ab66056b248b86057743ba4/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-september-2021.html

また、2021年の実際の消費金額の内訳を見ると、消費支出全体のうち約Rp.628万(約5万4,000円)を食費に費やし、約Rp.641万(約5万5,000円)を食費以外に費やしています。

どの年においても食費の割合が消費支出の約半分を占めていることから、インドネシアの人々は食費に多く費用をかけていることが分かります。
家計支出のうちの食費の割合は「エンゲル係数」という指標もありますが、この割合が高いということはその国の所得水準が比較的低いと言われています。因みに日本のエンゲル係数は2020年の実績で約27%です。

参考WEBサイト:https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2022/06/21/berapa-rata-rata-pengeluaran-konsumsi-masyarakat-tiap-bulan#:~:text=Menurut%20data%20Badan%20Pusat%20Statistik,juta%20per%20bulan%20untuk%20konsumsi.

インドネシアの食費の内訳

月間消費支出の約半分を占めている食費のうち、2021年の食費の内訳は以下の通りです。

出典:インドネシア中央統計庁(BPS)、Pengeluaran Untuk Konsumsi Penduduk Indonesia 2021
「インドネシア人の消費と支出 2021」 より弊社作成(閲覧日:2023年1月29日)
https://www.bps.go.id/publication/2022/06/23/2ab66056b248b86057743ba4/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-september-2021.html

食費のなかの商品カテゴリーのうち一番多いのは、加工済み調理食品であることが分かります。
以前もご紹介したコラムでのデータにおいても、外食が多いインドネシアにおいては、依然として加工済み調理食品に消費する金額が多くなっています。
また、食費の内訳として肉よりも魚介類の方が多いことが分かります。
表のなかのココナッツはインドネシア料理でよく使われている食材であり、インドネシアならではの食材であると言えます。

関連コラム:

参考WEBサイト:
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2022/09/06/berapa-pengeluaran-warga-ri-untuk-belanja-makanan-tiap-bulan

新型コロナウイルス感染拡大による食生活の変化

インドネシアでは、日本と比較すると家で食事を料理して食べるより、外食又は加工済み調理食品を食すことが多い傾向がありましたが、パンデミックの時期はインドネシアでもレストランが閉鎖され、家で食事をすることが余儀なくされました。

そのため、自炊やUber eatsなどのフードデリバリーサービスを利用する人が増加しました。
フードデリバリーサービスは、新型コロナウイルス以前もインドネシアではよく利用されていましたが、以前に増してこれらサービスの利用者が増え2020年のインドネシアにおけるフードデリバリーサービスのGMV(流通取引総額)は総額37億ドルになりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの人々は外食よりフードデリバリーサービスを利用する食事形態へと変化しました。

関連コラム:

最近は、また外食を利用する人が増えてきていますが、パンデミック前の頃と比較すると、その数はまだ完全には戻っていません。

また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で健康に気を遣う人も増え、以前より野菜を摂取することが増え、体に良いスパイスを多く取り入れる傾向もあるようです。

そのため、健康に良いとされる食材の人気が高くなりました。
このように新型コロナウイルス感染拡大 は、インドネシアの人々の食生活に変化をもたらしました。

参考WEBサイト:https://uai.ac.id/en/tren-konsumsi-pangan-selama-pandemi-berubah-masyarakat-pilih-yang-higienis/
http://lepmafeb.ums.ac.id/2020/11/paper-konsumsi-makanan-dan-olahraga_15.html

今回のコラムでは、インドネシアの食費の変化、食生活の変化についてご紹介しました。
食費や食生活の変化から、食を通したインドネシアの現状を垣間見ることができたのではないでしょうか。

インドネシアの人々は、「食」に非常に関心が高く、また仲間と一緒に食事をすることは、コミュニケーションの手段であるとも考えられており、そのことも消費出のなかで食費の割合が多い要因の一つなのかもしれません。

生活費に占める食費の割合の多さから、インドネシアの食に対する向き合い方や、今後の食のトレンドや文化を探るきっかけにもなるのではないでしょうか。

弊社インドネシア総研では、食にまつわる様々な市場、現地規制等の調査を行なっています。またインドネシアのバンドンで実際にクラウドキッチンを運営しており、様々なかたちで食ビジネスに取り組んでおります。
インドネシアにおけるビジネス展開における事前調査や、現地での会社・駐在員事務所の設置、又は現地企業とのパートナーシップなどにご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-6804-6702

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