【コラム】ジャカルタの洪水の原因とは
インドネシアの首都、ジャカルタがたびたび洪水の被害に遭っていることをご存じの方は多いかと思いますが、その原因について、耳にされたことはありますでしょうか。
直近も、インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG) によると、2019年12月31日午後5時から2020年1月1日午前11時までの降雨量は、東ジャカルタ・ハリム空軍基地の観測所で377ミリに達しました。
今回の降雨量は1996年以来の最高降雨量と報告されています。
その結果、インドネシアの首都ジャカルタと近郊の都市大雨の影響で洪水や土砂崩れが相次ぎ、2020年1月4日時点でBNPBがまとめた最新のデータでは、今回の洪水は308の村を水没させ、最大水位は6メートルに達したと言われています。
死者は60人に達し、合計92,621人の難民が189の難民ポイントに広がっているようです。
インドネシア当局は今後も大雨が降る可能性があるとして警戒を呼びかけています。
出典:https://tirto.id/mengungkap-musabab-banjir-besar-jakarta-2020-eq85
ジャカルタの洪水は新しいものではありません。17世紀の初めには、洪水が問題として取り上げられるようになりました。
今とほぼ同じように、Ciliwung川からの水のオーバーフローが1つの要因です。
また、新秩序期以降も、いくつかの大洪水が発生しています。
たとえば、1976年と1979年。1979年でさえ、洪水は1,100ヘクタールの面積を持つ集落に影響を与えています。
2007年には、ジャカルタエリアの少なくとも60%が洪水に見舞われ、水位5メートルに達する地域があるなど、10日間の洪水で、約80人が死亡するという被害もありました。
2013年1月から2月に発生した洪水では、市の中心部を壊滅させ、約20人が死亡、33,000人が避難しました。損失は20兆ルピアに達すると推定されています。
今回の洪水でも国内線が中心のハリム・プルダナクスマ空港が一時閉鎖されたほか、高速道路でも一部通行止めが発生するなど、洪水被害が長期化すれば、経済にも影響を与えかねません。
今回のジャカルタ洪水の原因のうち、降雨量の多さはまず明らかですが、その以外の原因は下記の様々な要因と相まって、解決を難しくしています。
1. 集水域がコンクリートに変化したこと
政府の中心地であり、インドネシア経済の中心地であるジャカルタで行われている開発は、毎年ほぼ間違いなく大規模です。
地盤工学 ジオテクノロジーインドネシア科学院(Lembaga Ilmu
Pengetahuan Indonesia:LIPI)の研究者によると、この状況の結果、集水域として機能するべく緑の広場が減少したことで、毎年洪水がジャカルタに集積されてしまうと考えられています。
出典:https://www.merdeka.com/trending/ini-fakta-fakta-penyebab-jakarta-direndam-banjir.html
https://www.cermati.com/artikel/menguak-catatan-sejarah-banjir-jakarta-dari-zaman-belanda-dan-penyebabnya
2.地盤沈下
ジャカルタ中心部の川の沈泥による首都地域の地盤沈下について、地下水の流入の結果であると言われています。
(そのため、ジャカルタの南部と北部の地域は中央部に比べて高い地表面となっています)
イグナシウス・ジョナン エネルギー元鉱物資源大臣(2016年~2019年10月期間)は、DKIジャカルタの地盤沈下は年間12cmに達したと発表しました。
そのため、北ジャカルタ地域では、海面が1.5メートルまで上昇するとも考えられています。
また、ESDM地質庁のデータに基づいたジョナンの発表によると、地中掘削によるジャカルタの生活用水確保も引き金の1つと言われています。
それでも、ジャカルタのPDAMでは、ジャカルタの生活用水の40%しか供給できていないなど、生活する人間に対して生活用水が不足していることがうかがえます。
3.ゴミ詰まり
「ゴミ詰まり」もジャカルタにおける洪水の原因と言われています。
ジャカルタ研究会議によると、粗い堆積物によって引き起こされる小さな排水は、排水路をブロックしているごみの量によってますます悪化しています。
ジャカルタでは1日に捨てられるゴミの量が毎年(2014年~2018年)増えています。
出典:https://www.pkpberdikari.id/infografis/lika-liku-sampah-jakarta/ より弊社作成
全ての原因を見ると、インドネシア、特にジャカルタで洪水を防ぐためには環境問題により注目すべきことがわかります。
今後ともインドネシアがインフラ整備を行っていく上で、ゴミ問題など無視することが出来ない課題が多くあるのです。
弊社は、現地のリサーチや視察手配などを行うことが可能です。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さい。
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