【コラム】インドネシアの幼児教育に貢献できる日本の幼児教育の経験
昨今、日本では少子高齢化や出生率の減少による様々な問題が至る所で議論されておりますが、皆さまは、インドネシアの人口構成がどの様なものか、また日本と比較してどの様な違いがあるのかご存知でしょうか。
日本とインドネシアの年齢層別人口構成における最大の違いは、日本では45歳~49歳が最多層を占めるのに対し、インドネシアでは5~9歳が最多層を占め、年少人口の割合が非常に多いといった点です(図1)。現在人口が世界第4位のインドネシアでは人口の増加は留まることを知らず、日本の総人口のピークが2010年でその後は人口が減少の一途を辿っているのに対し、インドネシアでは2065年が総人口のピークを迎えるとも言われています(図2)。
このデータからも、インドネシアにおいて、今後のイドネシア社会の発展を支える年少人口の教育、即ち幼児教育が非常に大切であり、時代に合わせた最適な改革がまさに求められていると言うことが出来ます。対する日本は現在インドネシアが置かれている段階を数十年前(団塊の世代の幼少時代等)に経験しており、時代に沿って幼児教育に対し沢山の改良が行われてきました。その様な日本の幼児教育界の経験は、これからのインドネシアの幼児教育にどの様なノウハウを提供できるでしょうか。
今回のコラムでは、インドネシアの幼児教育について、日本のそれと比較しながらご紹介しています。
図1 2020年日本とインドネシアの人口ピラミッド(国連データを基に弊社作成)
図2 2020年日本とインドネシアの総人口推移(国連データを基に弊社作成)
日本の幼児教育
まず、日本の幼児教育を簡単に紹介致します。日本の幼児教育機関は、その種類ごとに管轄する省庁が異なるのが特徴です。幼児教育機関としては幼稚園、保育園、認定こども園がありますが、其々幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省、認定こども園は内閣府が管轄しています。保育園、認定こども園は小学校に上がる前の0歳~5歳児が利用でき、幼稚園は3歳~5歳児の間に通うのが一般的です。
これまでの日本の教育方針としては「詰込み型教育」、また「ゆとり教育」等が採用されてきましたが、時代の流れに沿い20年ほど前から、「基礎・基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの『生きる力』」を育む教育を実施するよう文部科学省により提唱されるようになりました(文部科学省新学習指導要領関係資料学習指導要領の変遷より引用)。
2020年代の現在、これから益々AI化・情報化する社会の中で生き抜くことができる資質・能力を育成するために、アクティブラーニング等を活用した主体的・対話的で深い学びを通して、意欲、自信、忍耐、自立、自制、協調、共感、適応などの非認知能力を身に着けることの重要性が教育界において注目を集めています。
インドネシアの幼児教育
幼児教育はインドネシア語で「Pendidikan Anak Usia Dini」ですが、略してPAUDと称されます。PAUDはまた子供の発育、知能、潜在能力を発達させるための教育機関を指す固有名詞でもあり、地方政府や法人だけでなく、所定の条件を満たせば個人や民間団体でも設立することが出来ます。
インドネシアにおいて、PAUDはインドネシア教育文化省(Kemdikbud)下の、幼児教育および地域教育総局(Ditjen PAUD dan Dikmas)が管轄しています。PAUDは幼稚園(TK)、特別支援幼稚園(TKLB)、プリスクール(KB)、保育園(TPA)等から構成されています。幼稚園(TK)では、子供たちは教育文化省下の小学校(SD)に上がる準備をします。
また、インドネシアでは上記の教育文化省管轄下の教育機関のほかに、宗教省(Kemenag)の下にイスラム教系の学校が幼児教育から高等教育まで管轄しています。宗教省管轄下では、幼稚園(RA)があります。RAはRaudhatul Athfal (アラビア語でRaudhahは庭、Athfalは子供という意味)の略で、イスラム教系の幼稚園です。
宗教省の管轄下には、幼稚園(RA)の他にも、同様なイスラム系幼稚園(BA、TA)、またイスラム系保育園(TPA/TPQ)等が幼児教育機関としてあり、イスラム教徒の子供たちに宗教教育を提供しています。幼稚園(RA)に通う子供たちは、卒園後イスラム教系小学校(MI)に行く準備をします。
管轄が教育文化省であれ宗教省であれ、インドネシアの幼稚園では、生徒には学習の機会が与えられ、各レベルで年齢に応じた学習カリキュラムが提供されます。そこで子供たちは宗教、数を数えること、読み書き(文字とスペル)、歌、社会性等、その他さまざまなスキルを身につけます。
学習の目的は、子どもの創造性を高め、文化、宗教、社会、感情、身体、運動、認知、言語、芸術、独立した価値観へのアプローチを通して、さまざまな種類の知識を学ぶよう促すことです。カリキュラムのすべては、子どもの思考力と責任感を養成する事に重点を置いて設計されています。
インドネシアの幼児教育のこれから
先に述べたように、インドネシアでは年少人口が最も多く、この層が今後のインドネシアの更なる発展を担う重要な世代であることから、時代に合わせた質の高い幼児教育の提供が非常に大切です。一方日本では、既に人口のピークは過ぎたとはいえ、戦後からこれまで時代に合わせて幼児教育方針の改良を続けてきた所謂ベテラン国家です。情報化社会に向け幼少期の人格形成を重視する幼児教育がトレンドとなるでしょう。
弊社インドネシア総合研究所はこの様な時代の変化を先に見据えてきた日本の教育関係者(教育者・経営者・研究者)が、まさに拡大期にあるインドネシアの幼児教育関係者と相互連携を取ることで、インドネシアの幼児教育に貢献をすることが出来ると考えております。
また弊社では、実際に日本の幼児教育関係者の方をお招きし、インドネシアにて現地幼児教育関係者を対象とした幼児教育セミナーを開催した実績もございます。日本の幼児教育関係者の皆様、弊社とともにインドネシアの幼児教育の発展への寄与とインドネシアで拡大するこの幼児教育ビジネスへの参入をご検討なさいませんか?
ご関心をお持ちの方は、是非一度弊社インドネシア総合研究所へお問い合わせくださいませ。
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