【コラム】インドネシアの電気事情〜電気料金、停電、電力会社等〜

電気は生活にとって欠かせないインフラです。
今回のコラムでは、インドネシアの電気料金、電力会社などを元にインドネシアの電気事情についてご紹介します。

インドネシアにおける一人当たりの電気料金の支出

以下は、インドネシアの一人あたりの1か月の電気料金の支出の推移を表した図です。
下図より、毎年電気料金の支出は増えていることがわかります。

Data Indonesia.id Rata-rata Pengeluaran untuk Listrik per Kapita di Indonesia(2016-2022) を基に弊社作成(2023年10月31日)
https://dataindonesia.id/energi-sda/detail/warga-ri-habiskan-biaya-listrik-rp39860-per-bulan-pada-2022

インドネシアの一人あたりの平均電気料金の支出は2022年時点で、Rp39,860(約374円)/月と、前年と比較すると7.67%増加しています。

地域別で見ると、インドネシアの都市部では、一人当たりRp 54,738(約514円)/月で、農村部では、一人当たりRp 19,721(約185円)/月と都市部の方が農村部の2倍以上の支出があると言えます。

また、電気料金の支出額は経済状況によっても異なり、富裕層は一人当たりRp 112,198(約1,055円)/月の支出があるのに対し、最貧困層は、一人当たりRp8,269(約77円)/月の支出となります。
電気料金の支出から、インドネシア国内での格差があることがわかります。

参考WEBサイト:https://dataindonesia.id/energi-sda/detail/warga-ri-habiskan-biaya-listrik-rp39860-per-bulan-pada-2022

インドネシアの電気料金の支払い方法

インドネシアでは、電気料金の支払いは前払い制で、電気料金分をチャージして支払いを行うことが一般的です。
インドネシアにおける電気料金の支払い方法は以下の通りです。

アプリケーションでの支払い
インドネシア国有の電力会社PLNのアプリケーションを通して、希望の金額分をチャージして前払いの支払いをすることができます。

SMS支払い
SMSで新しいメッセージを発行し、お客様IDなどを入力してSMSを送信して支払うことができます。
プリペイド式の電話通信料プルサより電気代金が引かれる仕組みになります。

ATMでの支払い
ATMの電気料金支払いメニューを選択し、そこに顧客番号を入力すると電気料金をチャージすることができます。

ECサイトでの支払い
TokopediaなどのECサイトを経由して電気料金の支払いをすることができます。

最近では、上記以外にも、インドネシアで広く利用されている配車サービスGojekのアプリケーション内の支払い”Go Pay”でも電気料金の支払いが可能になっています。

参考WEBサイト:https://www.idxchannel.com/milenomic/cara-bayar-tagihan-listrik-pascabayar-bisa-online-dan-offline/

インドネシアにおける停電の問題

インドネシアでは、頻繁に停電が起こり、2020年の1年間で、平均12.7時間停電が起きていることがわかっています。
月で換算すると月に1時間は定期的に停電が起きているということになります。
インドネシアで起こる停電の主な原因は以下の3つです。

・漏電
道路の電線が整備されていないために起こる
・計画停電
国有電力会社のPLNが保守点検などの理由で行います
・自然災害
雷、洪水、地滑りなどの自然災害も要因のひとつです

インドネシアでは停電が頻繁に起こるため、懐中電灯や、家庭用バッテリーなど停電に備えている家庭がほとんどです。
停電になると、経済活動が一時的に停止され経済的損失にもつながりかねないため、今後インドネシア政府の対策が必要と言えます。

参考WEBサイト:https://kumparan.com/ragam-info/4-penyebab-mati-listrik-yang-sering-terjadi-di-indonesia-211LrrAWpkQ/full

インドネシアの電力会社

インドネシアの発電所の中で石炭火力発電所の割合が多く、2023年時点で全国に234基の発電所が存在し、総発電量は、43.35GW(ギガワット)となります。
インドネシアにおける発電量上位10位の電力会社は以下の通りです。

databoks 「10 Perusahaan Pemilik PLTU Batu Bara dengan Kapasitas Terbesar di Indonesia (Semester I 2023)」を基に弊社作成(2023年10月31日)
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/08/16/10-perusahaan-pemilik-pltu-batu-bara-terbesar-di-indonesia-pln-teratas

一番の発電量を誇るのはインドネシアの国有電力会社のPLNの8.43GWで圧倒的な発電量となっています。
2位のIndonesia Power Suralayaと10位のIndonesia PowerはPLNの子会社で国有の電力会社となりますが、それ以外の7つは民間の電力会社となります。

現在、インドネシアでは、国営、民間両方で建設中、または建設前の発電所が存在しており、そのうちの58%は産業用のエネルギーを供給するための専門的な発電所となる予定です。

また、インドネシアの石炭火力発電による二酸化炭素の排出量は世界6位で、2億1400万トンにも及びます。
今後更に発電所建設の計画をしているインドネシアでは、二酸化炭素の排出量を減らす対策が必要であると言えます。

参考WEBサイト:https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/08/16/10-perusahaan-pemilik-pltu-batu-bara-terbesar-di-indonesia-pln-teratas
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/08/15/10-negara-dengan-emisi-pltu-batu-bara-terbesar-di-dunia-ada-indonesia

今回のコラムでは、インドネシアの電気事情についてご紹介しました。
停電の問題や、二酸化炭素の大量排出の問題など、今後インドネシアの課題となる点が見えてきました。
日本も、インドネシアと同じく火力発電による二酸化炭素の排出量が多い国の一つです。
だからこそ、お互いに協力しながら、二酸化炭素の排出量を減らすことが急務であると言えます。

日本とインドネシアに拠点を持つ弊社では、日本とインドネシアの架け橋となるような、様々な分野の現地調査、現地への視察などの経験がございます。

インドネシアへビジネスを展開する際は、お気軽にご相談ください。

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