【コラム】インドネシアの農産物最新データ④観葉植物編

インドネシアが観葉植物の主要生産国の一つであることを、皆様はご存知でしょうか。インドネシアは、その温暖な気候と肥沃な土地から、世界でもブラジル・コロンビアに次いで3番目に多くの植物が存在する国であると言われています。日本でもよく知られている花から、熱帯特有の希少な花まで、世界にある花の25%がインドネシアを原産地としています。詳しくは今年4月にご紹介させて頂きましたコラム「インドネシアの花」をご覧くださいませ。

今回のコラムでは、インドネシア統計局(BPS)が毎年発行している「Statistik Hortikultura (園芸統計)」の2021年版をもとに、観賞用のキクとランの2品目の概要と生産についてご紹介させていただきます。また、過去3回にわたってご紹介させて頂きましたコラム「インドネシアの農産物最新データ①野菜編」「②果物編」「③薬用植物編」では、各分野における農作物の生産及び貿易動向について詳しくご紹介しておりますので、是非併せてご覧ください。

キク

キクは、生け花用の切り花としても、装飾材料としても非常に人気のある観賞用植物です。過去5年間のインドネシアにおけるキクの消費量は、国内市場で取引される他の種類の切り花の中で最も多いことが報告されています。国内市場に加え、日本、香港、中近東、アメリカなど世界各国へ切り花や挿し木の形で輸出されています。また、鮮やかな色合いと優雅な外観を持つキクはお祝いの飾り付けに適していることから、インドネシアのキク産業は、キクを用いた装飾サービス事業が牽引役となり成長を続けています。インドネシアのキクは自国経済に貢献する主要な品目の一つなのです。

2021年のインドネシアのキク生産量は3億4403万本で、2020年と比較すると10.28%(3943万本)減少したことが報告されました。2021年は作付面積についても629.48haで、2020年比27.14%(234.49ha)の減少となりました。
キクの生産量が最も多い州は、東ジャワ州、中央ジャワ州、西ジャワ州の3州です。東ジャワ州は、生産量1億1116万本、作付面積は247.50haで、国のキク総生産量の約34.35%です。続く中央ジャワ州は、生産量1億1521万本、作付面積192.55haで、総生産量の約33.49%です。西ジャワ州は生産量1億22万本、作付面積152.73haで、総生産量の約29.13%です。

インドネシアにおけるキクの輸出入の構図(弊社作成)

インドネシアのキクは、輸出が輸入を圧倒的に上回っています。
2021年のキクの輸出額は、90万ドルと、2020年比2.05%(88ドル)増加しました。2021年におけるインドネシア産キクの主な輸出相手国は、日本が75万ドルドル(131,393トン)、オーストラリアが15万ドル(23,282トン)、東ティモールが3,671ドル(341トン)、日本とオーストラリアの2か国向が突出しています。
2021年のキクの輸入額は17,000ドルで、2020年比0,10%(2ドル)減少と、大きな変化はありませんでした。2021年におけるキクの主な輸入相手国は、中国が16,170ドル(3.05トン)、ベトナムが610ドル(0.006トン)です。国内産のキクと比較すると市場規模は決して大きくないですが見栄えの観点から輸入された外来種や外国産のキクの人気も高いようです。

ラン

ランの中でも胡蝶蘭はインドネシアの国花の一つです。胡蝶蘭はインドネシア語で「月の蘭(Anggrek bulan)」と呼ばれており、神秘的な力を持ったお守りとして崇められています。その他には、民族を象徴する花としてホワイトジャスミンが、インドネシアが誇るべき稀少な花として世界一大きな花であるラフレシアが国花に制定されています。
また、インドネシアには世界のランの5分の1の品種があり、ボルネオ原産のブラック・オーキッドや、パプア原産のジュエル・オーキッドなどの希少な品種は、世界中のランコレクターの間では特に注目されている品種です。またインドネシアのランはその殆どが英国王立園芸協会(Royal Horticultural Society)により登録された、由緒ある品種なのです。

BPSの統計では、ランは切り花と鉢植えの2つに分類され、今回の統計報告書では切り花のランのみ調査対象となっているため、以下のデータは鉢植えのランを含まないデータです。ランはキクと比較するとその生産規模はやや小さめです。2021年のインドネシアのラン生産量は1135万本でした。ランの生産量が多い州は、東ジャワ州、バンテン州、東カリマンタン州の3 州です。東ジャワ州は、生産量 484万本、作付面積15.82haで、国の総生産量の約42.61%です。続いてバンテン州は生産量 480万本、作付面積8.65haで、総生産量の約42.33%です。東カリマンタン州の生産量は69万本、作付面積は1.63ha、総生産量の約6.06%です。インドネシアでは、ランの生産は東ジャワ州、バンテン州に特に集中しており、この2州で約85%のランが生産されています。

今回のコラムでは、BPSの最新のデータから、インドネシアにおける観葉植物2品目:キクとランの概要及び近年の生産量の変動についてご紹介させて頂きました。4回に渡る連載を通して、皆様に少しでもインドネシアの農産物に関するデータをお届けすることができましたでしょうか。

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