【コラム】介護サービス業界における人材不足の現状と解決に向けた事業の紹介
弊社インドネシア総合研究所が力を入れている事業の一つに、インドネシアにおける介護人材の送り出し機関・学校の設立があります。
昨今、日本の介護サービス業界における人材不足がメディアにも取り上げられ一般に認識されてきておりますが、近々日本は国民の4人に1人が75歳以上という超少子高齢化社会となる事が予想されています。そしてそれら高齢者の介護人材不足の問題は早急に解決すべき問題の一つです(図1)。
介護サービスに従事する従業員の不足感
図1:日本における第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数(2021)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323_00005.html
2019年に介護保険サービス事業を実施する全国18,000箇所の事業所を対象に行われた調査では、65.3%が介護サービスに従事する従業員の不足感を訴えました(図2)。
図2:介護サービスに従事する従業員の不足感の推移(2019)
http://www.kaigo-center.or.jp/report/2020r02_chousa_01.html
介護人材が不足している原因としては、労働者採用が困難であることが90.0%を占めています。介護サービスは常に高齢者やそのご家族の方との高いレベルのコミュニケーション力が求められる職種であるが故に人間関係が原因となる高い離職率や、先行するネガティブなイメージ等から人材獲得競争が厳しくなっているのです。
外国籍労働者の現状と課題
これら人材不足解決に向け、日本政府は外国籍労働者の獲得に注力し始めています。
外国籍労働者の受け入れ方法には技能実習、特定技能、留学、EPA(経済連携協定)による受け入れがあり、其々インドネシア・フィリピン・ベトナム・ミャンマー等の生産年齢人口の豊富な東南アジアの新興国から自らが日本の介護ビジネスの担い手として渡日を目指す人々が増加しています。
一見、こうした国を跨ぐ人の移動により人材不足問題解決が実現可能に思えます。
しかし実際に外国籍労働者を受け入れている事業所数は 6.6%と、これは以前に比べれば増加傾向にあるものの未だ割合は低いのが現状です(図3)。
その要因の一つとして、母国での日本語学習の習得レベルの低さが挙げられます。
実際にインドネシアの送り出し機関における一般的な日本語教師の求人票を見てみると、応募条件はJLPT(日本語能力試験)N3(日常会話レベル)と日本語教師に求められる日本語習得レベルが驚くほどに低いことがわかります。また送り出し専門の現地斡旋業者・ブローカー等も、高い費用設定に対し日本語教育のレベルは低く、価格が提供価値に見合わないことが殆どです。
つまり、介護サービス業界における人材不足問題の根底には、前段で述べた受け入れ側(日本)での課題の他に、初期段階、即ち送り出す側の現地における人材育成(特に日本語教育)が進まないことも原因としてあるのです。
図3:外国籍労働者の受け入れ状況(2019)
http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2020r02_chousa_kekka_0818.pdf
解決に向けた事業
弊社代表のアルビーもインドネシア語を母語としながら日本語を習得してきた身でありますが、経験上、「高い学習意欲」「学習能力」「良い教師に恵まれること」、この3つの条件を満たすことが、分野を問わずいち早く成長できる鍵であると認識しております。
現実的な観点から述べますと、技能実習等で渡日する外国籍者の中には、自国より高いレベルの賃金を目的としているケースが一定数いることも事実です。しかし弊社は上述の3つの条件を揃えた環境作りを以下の様に考えております。(図4)
- 渡日希望者が日本のことを好きになる。
- 日本社会や介護業界の実態をよく理解したうえで純粋に介護の職業を志す人材の確保及び育成する事。
- 質の高い日本語を継続的に勉強できるような環境づくりを導入。
図4:インドネシアでの送り出し機関・学校の設立ビジネススキーム例
(インドネシア総合研究所作成)
少子高齢化社会が間近に迫る今日、日本そしてインドネシア双方の未来の発展のために、インドネシア総合研究所は引き続き尽力して参ります。
介護ビジネスに限らず、日本の産業界は人材不足が課題となっています。
インドネシア総合研究所が手掛けるインドネシア現地での学校ビジネスは、日本の人材不足に応え現地の優秀な人材の供給を計画しております。
つきましては優秀な外国人材を求めておられる企業様のみならず、この様な人材紹介ビジネスを含め、両国の橋渡しになるこれらビジネスへの参画についてもご興味をお持ちの皆様、是非お気軽にお問い合わせくださいませ。
株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260
関連コラム: