【コラム】インドネシアの甘い食べ物や飲み物の消費事情
皆さまは、インドネシアへ行かれた際、ペットボトル入りのお茶を購入し、一口飲んで「甘いっ!」と驚かれた経験はございますでしょうか。インドネシアには甘党が多いと言われ、砂糖生産量も世界7位です。お砂糖をたっぷり入れたお茶やコーヒーでおもてなしすることで客人に歓迎の意を示す文化もあります。
インドネシア保健省の調査によると、インドネシアでは毎日甘い飲み物を1日1回以上摂取する人の割合が61%、甘い食べ物を摂取する人の割合は40%に上ることが判明しています。
今回のコラムでは、そんなインドネシアの甘い食べ物や飲み物の消費事情について詳しくご紹介いたします。
インドネシアのKIC(Kurious-Katadata Insight Center)の調査によると、インドネシア人回答者のうち62%が飲み物に砂糖を加えるのが好きで、その頻度について「頻繁に」と回答した割合は47.7%、「とても頻繁に」と回答した割合は15%でした。
食べ物に砂糖を加えるのが好きと回答した割合は35%で、その頻度について「頻繁に」と回答した割合は29.9%、「とても頻繁に」と回答した割合は5.8%でした。
この調査は2023年3月17日から24日にかけて、インドネシア各地の回答者を対象に男女や年齢に偏りがないように実施されました。
また、ここで言う「甘い食べ物や飲み物」とは、お店やレストラン、カフェ等で購入した既製品や、家庭で作られたものを指しています。
インドネシアを代表する甘い飲み物については、コラム「インドネシアの地域の代表的な飲み物」にて詳しくご紹介しておりますので、是非併せてご覧ください。
このように、甘い食べ物や飲み物を日常的に摂取しているインドネシア人ですが、一年の中でも特に甘い食べ物や飲み物の摂取量が格段に増える時期があります。
それはレバラン(断食月明けの大祭)です。イドゥル・フィトリ(Idul Fitri)とも呼ばれ、イスラム教徒にとって非常に重要な祝日であるレバランでは、帰省し親戚の家に集まり祝うのが一般的です。レバランの文化については過去のコラム「インドネシアのレバランの文化」にても詳しくご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
KICの別の調査によると、レバランを祝うために親族の家を訪問した際、甘い食べ物や飲み物が振る舞われると回答したインドネシア人の割合は89.3%にも上り、その内訳は「よく食べる」が62.5%、「とてもよく食べる」が26.8%でした。
一方、滅多に甘い食べ物や飲み物を受け取ることがないと回答した割合は10.8%にとどまり、その内訳は「滅多にない」が10.3%、「全くない」が0.5%でした。
この調査より、インドネシアの回答者のほぼ9割が、甘い食べ物や飲み物はレバランを祝うために欠かせないものであると認識していることが分かります。
インドネシアはこうしたインドネシア国民の生活習慣を受け、インドネシア政府は警鐘を鳴らしています。インドネシア保健省は、甘い食べ物や飲み物の過剰摂取は、肥満や虫歯を引き起こし、糖尿病のリスクを高める可能性があること、糖尿病は失明、心臓病、腎不全の主な原因になるだけでなく死にいたる可能性もあることにふれ、インドネシア国民に日常的な食べ物や飲み物に含まれる砂糖の含有量を正しく認識するよう呼びかけています。
一方で、砂糖は体にとって重要なエネルギー源でもあるため、砂糖の摂取を控えると、体、特に中枢神経系のエネルギーが不足するため、集中力が低下し、疲れやすくなります。
世界保健機関(WHO)のガイドラインによると、1日の平均総エネルギー摂取量が2,000キロカロリーの場合、砂糖の摂取上限は1人1日あたり50グラム、または大さじ4杯相当となります。
インドネシア保健省はこうした基準を踏まえ、バランスの取れた食生活を心がけるよう、注意喚起を行なうほか、改善政策を講じ始めています。その一つに、加糖飲料に対する物品税の導入が挙げられます。詳しくは昨年のコラム「インドネシアにおける加糖飲料の大量消費と規制動向」をご覧ください。
参考:
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/05/30/masyarakat-indonesia-sering-sajikan-makanan-dan-minuman-manis-saat-hari-raya
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2022/09/28/mayoritas-warga-ri-sering-konsumsi-makanan-dan-minuman-manis
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/04/19/banyak-orang-indonesia-suka-tambahkan-asupan-gula-ke-makanan-dan-minuman
今回のコラムでは、最新の統計結果から見るインドネシアにおける甘い食べ物や飲み物の消費事情についてご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか。
南国インドネシアには、日本ではなかなか見かけることのないトロピカルフルーツを使ったものや、天然由来の生薬を混ぜたものなど、観光客にとって魅力溢れる甘いものがたくさんあります。インドネシア語で砂糖は「gula」、甘いは「manis」と言いますが、インドネシアを訪れる際には、お店のメニューや商品の成分表示をチェックして砂糖の摂取量に気をつけながら、程よく楽しむことができると良いのではないでしょうか。
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