【コラム】インドネシア人の野菜の消費と支出

インドネシアは世界有数の農業国でありながら、野菜や果物の消費はまだまだ少なく、インドネシアの人々はWHO(世界保健機構)が定める1日当たりの野菜摂取量目安を満たせていないのが現状です。

インドネシア保健省によると、インドネシア人の野菜と果物の消費が十分とみなされる人はインドネシア人口全体の10%にも満たないそうです。

つまり、言い換えるとインドネシア人口の90%以上は野菜と果物の消費が十分ではないことを意味します。

https://kebijakankesehatanindonesia.net/25-berita/berita/97-90-persen-penduduk-indonesia-kurang-makan-sayur-dan-buah

 

では、現状インドネシアの人々は野菜を購入するためにどのくらい出費をしており、どのくらい野菜を消費しているのでしょうか?

以下は、インドネシアの州別でみた国民一人当たりの野菜の消費量です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indoneia per Provinsi, Maret 2020
(州別で見たインドネシア人の支出と消費 2020年3月)」より弊社
作成(閲覧日:2020年12月1日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/02/ecda2f1aa3a8b6be1a376a4c/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-per-provinsi–maret-2020.html

インドネシア国民一人当たりの1日の野菜の消費量は平均で128.34gでしたが、これはWHO(世界保健機構)が推奨する野菜の消費量400gの3分の1にも足りないことが分かります。

昨年と比較すると、インドネシア人の1日当たりの野菜の消費量は増加しているのでしょうか?減少しているのでしょうか?

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indoneia per Provinsi, Maret 2020
(州別で見たインドネシア人の支出と消費 2020年3月)」より弊
社作成(閲覧日:2020年12月1日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/02/ecda2f1aa3a8b6be1a376a4c/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-per-provinsi–maret-2020.html

昨年同時期と比較すると、インドネシアの人々の野菜の消費量は若干ですが減少していることが分かります。

以下は、インドネシア人一人当たりの1か月の野菜の支出です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indoneia per Provinsi, Maret 2020
(州別で見たインドネシア人の支出と消費 2020年3月)」より弊
社作成(閲覧日:2020年12月1日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/02/ecda2f1aa3a8b6be1a376a4c/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-per-provinsi–maret-2020.html

パプアが特に野菜の支出が多いことが分かりますが、インドネシア人の平均で見るとひとり当たり45,393ルピア(日本円で約335円)程度となっています。

都市部のジャカルタでも一月当たりの野菜の支出は62,057ルピア程度です。

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indoneia per Provinsi, Maret 2020
(州別で見たインドネシア人の支出と消費 2020年3月)」より弊
社作成(閲覧日:2020年12月1日)
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2019年3月時点の野菜の支出と2020年3月時点の野菜の支出の増減を比較すると、2019年から2020年にかけてインドネシア国内の全ての州で支出が増加しており、インドネシア全体の平均では約20%支出が増加していることが分かります。

インドネシア中央統計庁(BPS)によると、これはインドネシア人の野菜の消費量が増加しているからではなく、野菜の価格が上昇していることが背景にあります。

以下は、インドネシア国民一人当たりの、毎月の野菜と果物の合計支出です。

 

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indoneia per Provinsi, Maret 2020
(州別で見たインドネシア人の支出と消費 2020年3月)」より弊
社作成(閲覧日:2020年12月1日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/02/ecda2f1aa3a8b6be1a376a4c/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-per-provinsi–maret-2020.html

インドネシア人の野菜と果物の毎月の出費が毎月100,000ルピアを超える州は少なく、ほとんどが毎月数百円程度にとどまっており、インドネシア全体での平均は月75,509ルピアでした。

 

インドネシアでよく消費されている野菜

では、インドネシアでよく消費されている野菜とは一体何なのでしょうか?

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indoneia per Provinsi, Maret 2020
(州別で見たインドネシア人の支出と消費 2020年3月)」より弊
社作成(閲覧日:2020年12月1日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/02/ecda2f1aa3a8b6be1a376a4c/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-per-provinsi–maret-2020.html

出典:インドネシア中央統計局(BPS)、「Pengeluaran untuk Konsumsi Penduduk Indoneia per Provinsi, Maret 2020
(州別で見たインドネシア人の支出と消費 2020年3月)」より弊
社作成(閲覧日:2020年12月1日)
https://www.bps.go.id/publication/2020/11/02/ecda2f1aa3a8b6be1a376a4c/pengeluaran-untuk-konsumsi-penduduk-indonesia-per-provinsi–maret-2020.html

インドネシア人の消費量が多い野菜は空心菜、出費が最も多い野菜は、エシャロット(赤玉ねぎ)でした。

インドネシア料理には赤玉ねぎは欠かせない食材です。その他、ニンニクや唐辛子も消費が多いです。

 

インドネシアでは2014年に国民皆保険制度が導入されましたが、導入以降赤字が続いており、インドネシア政府は“治療”から“予防医療”に切り替え、医療費の負担を徐々に少なくしていきたい意向です。

そのため、ここ数年、インドネシア保健省はインドネシア国民に野菜や果物、魚類の消費を促すような情報発信や教育を行っています。

↓インドネシア保健省が作成した野菜を消費することのメリットを伝える画像画像引用:インドネシア保健省WEBサイトより
http://p2ptm.kemkes.go.id/infographic-p2ptm/obesitas/apa-saja-manfaat-sayur-sayuran

 

 

インドネシアでは中間層以上の人々を中心に健康意識が高まってはいるものの、去年から今年にかけて野菜の消費量は減少傾向にあり、インドネシアの人々に野菜の消費を促すためには積極的なプロモーションや教育など、後押しする施策も必要と考えられるでしょう。

弊社では、インドネシアの最新情報や様々なテーマに関する調査やオンラインでのインタビュー手配、セミナーなど承っております。

ご興味がある方はお気軽に弊社までお問合せください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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