【コラム】インドネシアでは新型コロナウイルスワクチン接種は義務か?

インドネシア共和国大統領は、「2019年の新型コロナウイルスの流行への対策との闘いに関連したワクチンの調達及び接種の実施に関する2020年の大統領令第2020年99号」の改正に関して、「2021年の大統領令2021年第14号」を発行しました。

この大統領令は2021年2月9日から施行され、第13条と第14条の間に第13A条と第13B条を追加するなど、いくつかの変更点があります。

この追加において、政府は新型コロナウイルスワクチン接種に従わないもしくは実施しない人々に制裁を課すことを規定しました。

第13A条第4項では、新型コロナウイルスワクチン接種対象者を規定し、ワクチン接種に参加しない者は、次の形で行政処分の対象となる可能性があるとしています。

a. 社会保障や社会援助の提供の保留または中止

b. 政府行政サービスの保留または中止

c. 罰金

 

さらに、第13B条は、新型コロナウイルスワクチン接種の対象者を規定し、ワクチン接種に参加せず、新型コロナウイルス蔓延防止を妨害する者についても規定しています。

第13A条第4項で言及されている制裁の対象となることに加えて、感染症の発生に関する法律の規定に従って制裁の対象となる場合があります。

 

ワクチン接種を拒否または反対する人々にとって、大きな理由の一つは、ワクチンによる副反応です。

人々はワクチン接種後の健康問題を心配しています。

ただしインドネシア政府は予防接種後に問題が発生した場合、法規制に基づき法的責任を負うとしています。

これは、2021年の大統領令第50号の第11A条で規定されています。

この大統領令第50号の第11A条は上述の2020年コロナ禍のワクチン調達及び接種に関する大統領令第99号でも規定されています。

その他、ワクチン接種後の政府による経過観察が実施されます。

この経過観察は保健省や医療サービス施設を通じて調査・記録されます。

また、薬代や治療費は国家予算を財源とする国民医療保険プログラムで賄われます。

 

ワクチン接種拒否者に対する罰則は人々の間でも賛否あり、それぞれの意見をまとめると以下の通りです。

賛成 反対
国民の安全が最高の法律でなければならない (Salus Populi Suprema Lex Esto)という原則があるが、人々の健康が最高の法律であるという意味である 社会保障や社会援助の提供の保留または中止はインドネシア共和国憲法28条3項の「すべての人は尊厳を備えた人間として、包括的に自己啓発ができる可能性を持つ」という内容と相反する
インドネシア共和国憲法第4条第1項にて大統領は権限を持つとされており、この権力は国家指導者として、全インドネシア国民を保護するために国家の目標を遂行しなければならない、とされている 健康に関する法律2009年第5条3項No. 36で、すべての人は自立的権利を有し、各々が必要とする医療サービスを決める責任を持つと規定されている
人権に関する法律1999年第 41条第1項No. 39において、すべての人は包括的自己啓発するべく適切な生活を送るのに必要な社会保障の権利を有する、と規定している

 

このように、2021年2月9日から施行された大統領令2021年第14号は人々の間でも意見が分かれる法律です。

インドネシアのいくつかの法律事務所に尋ねましたが、意見はバラバラです。

この大統領令の事例でもわかるように、インドネシアの法解釈は時に難しいこともあります。

 

弊社はインドネシアにあるいくつかの法律事務所や政府官庁へのヒアリングが可能です。

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参考コラム:

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