【コラム】インドネシアのテレビ局
現在、インドネシアではテレビの普及率は85%となっています。中間層以上であれば家庭に一台はテレビがあるという状況です。
日本では若者を中心としたテレビ離れがささやかれ、どのテレビ局も夜の冠番組が並ぶプライムタイム(日本では毎日19:00 – 23:00の時間帯を指します)でも、視聴率は10%前後にとどまっています。
参考:JETRO「BOP層実態調査レポート」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/bop/precedents/pdf/lifestyle_communication_idn.pdf (閲覧日:2019年9月13日)
一方、インドネシアのプライムタイムでは、全国放送の民放テレビ局RCTIとSCTVの視聴率は20%を越えています。
今回のコラムでは、インドネシアのテレビ局やその影響力についてご案内します。
インドネシアのTV視聴率
インドネシアではまだまだテレビ人気が保たれているといえます。
出典:Katadata.co.id. 2017 March 3”Audience Share RCTI Tertinggi Saat Prime Time”
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2017/05/03/audience-share-rcti-tertinggi-saat-prime-time:(閲覧日:2019年9月13日)
インドネシアのテレビ局
インドネシアで全国放送をしているテレビ局は以下の通りです。
TVRI(Televisi Republik Indonesia)
建国の父スカルノ大統領の時代の1962年8月に開局したインドネシア初のテレビ局です。唯一の国営放送局です。
RCTI (Rajawali Citra Televisi Indonesia)
1989年8月に開局したインドネシア初の民間放送局です。
ジャボデタベックを中心とした放送から全国放送となりました。
インドネシアのメディア企業 「メディア・ヌサンタラ・チトラ(Media Nusantara Citra:通称MNC)」に属します。
SCTV (Surya Citra Televisi)
1990年8月に開局したインドネシアで二番目の民間放送局です。
もとはスラバヤの地方放送局でしたが、1993年に全国放送局となりました。
インドネシアのメディア企業「スリヤ・チトラ・メディア(Surya Citra Media)」に属します。
MNCTV
1991年1月に「TPI(Televisi Paling Indonesia)」として開局し、2010年8月に現在のMNCTVという名称に変更しました。
「MNC」の傘下にあるテレビ局です。
ANTV(Andalas Televisi)
1993年1月にランプンで開局し、同年3月には全国放送を開始しました。
Indosiar
1995年1月に大手財閥のサリムグループ(Salim Group)によって設立されましたが、現在はSurya Citra Mediaが所有しています。
GTV(Global Televisi)
1999年3月にジャカルタのローカル放送として開局し、2002年に全国放送を開始しました。「MNC」 の傘下にあるテレビ局です。
tvOne
1999年に「Lativi」として開局し、2008年2月に現在の「tvOne」と名称が変更されました。ニュースとスポーツをメインに放送しています。
Trans7
2001年11月に「TV7」として開局し、2006年から現在の「TRANS 7」という名称になりました。
メディア企業「トレンス・メディア(Trans Media)」の傘下にあります。
Trans TV
2001年11月に年に放送を開始しました。
メディア企業「トレンス・メディア(Trans Media)」の傘下にあります。
MetroTV
2000年11月に放送を開始しました。
NET(News and Entertainment Television)
「TV Anak Spacetoon」というテレビ局が元になり2013年5月に開局した新しいテレビ局です。
RTV(Rajawali Televisi)
2008年に設立された「B-Channel」というテレビ局が、2014年5月に現在の「RTV」となりました。
Kompas TV
2011年9月に放送を開始しました。
インドネシアのメディア企業「コンパス・グラメディア(Kompas Gramedia)」の傘下にあり、ニュース番組が多いです。
iNews
2008年3月にSUN TVとして放送を開始し、2015年4月に現在の「iNews」に名称が変更されました。
「MNC」の傘下にあるテレビ局です。
民主化と共に変化を遂げたテレビ
上記のテレビ局の開局年に着目してみると、1999年頃から民放のテレビ局が次々と設立されていったことが分かります。
これは1998年にスハルトの権威主義体制が終焉を迎えたことで、インドネシアに民主化の時代が訪れたことと大きく関係しています。
スハルト政権期には体制を脅かすような勢力は徹底的に排除され、言論の自由も制限されていました。
スハルト大統領の時代(1968年 – 1998年)に開局されたテレビ局は、実はどれもスハルトファミリーのメンバーが所有するものでした。
しかし、スハルト体制崩壊後、新たに放送の利権を与えられたテレビ局が登場していきます。
こうして、10局以上のテレビ局が登場し、視聴率を競うようになりました。
テレビ番組の制作には費用が掛かるため、民主化当初は欧米のテレビ番組を模倣したり、そのまま放送するテレビ局が多かったですが、現在では様々なインドネシアのドラマやバラエティなどが製作されています。
いかがでしょうか?
近年インドネシアでは、TVよりもネットやSNSの普及率の増加が注目されていますが、それでもTVが一定の影響力を持っているのは事実です。
一方で、TVの力を過信せず、プロモーションの適切なメディア・手法を選択することが大切です。
弊社では、インドネシアのTV局やラジオ局などのメディアとネットワークがあり、またイベントへのメディア招待の実績もございます。
TV以外にも、SNSを活用したプロモーションなど、ご興味がある方はお気軽にお問合せください。
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