【コラム】インドネシアの政党における近年のトレンドと日本との比較

TikTokでダンスを踊るPKB(Partai Kebangkitan Bangsa、民族覚醒党)の女性党員たち
(左:https://www.youtube.com/shorts/fqhi87iBW14)  (右:https://www.youtube.com/shorts/oaIzvs5GcAU)

 

日本では昨年10月31日に衆議院議員選挙が行われましたが、最終投票率は55.93%と戦後3番目に低い投票率でした。

国政選挙は国民の明日を左右する政府の方針に対して国民が意思を示すことのできる貴重な機会であるにも関わらず、近年の我が国の投票率は世界ランキングでも130位~140位と低位を前後しており、世界的に見ても総じて低いことが伺えま
す。

また下記の図からも見て取れるように、30%台で停滞している若年層の投票率の低さは若者の政治に対する無関心さを反映している事の現れでもあり、深刻な課題であると言えるでしょう。

図:日本の衆議院議員選挙における投票率の推移 https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

 

一方、弊社インドネシア総研のビジネスのフィールドであるインドネシアの国政選挙の投票率は2018年に72.6%を記録し、世界ランキングでも19位に位置する高い投票率を誇っています。それでは何故インドネシアにおいて選挙の投票率がここまで高いのでしょうか。

図:インドネシアの投票率の推移  https://www.idea.int/data-tools/country-view/142/40

 

その理由の一つとして、政府や立候補者が票の獲得のために選挙活動のなかで従来の伝統や型にとらわれない取り組みを行っていることがあげられます。インドネシアではミレニアル世代(1981~1996年生まれ)が人口の約5分の2を占めており、若年層の票の獲得が選挙に勝利する上で欠かせません。

近年のインドネシアの政党はソーシャルメディアを活用し、選挙候補人のインスタグラムアカウントを作成するほか、近年爆発的人気を誇っているTikTokの政党アカウントを作成するなど、ミレニアル世代のみならずZ世代(1990年代後半~2000年代生まれ)の票獲得に注力しています。

興味深い点は、文化習慣として保守的傾向のあるイスラム系の政党でさえも、同様に若者年代層の流行を捉える様な取り組みを行っているということです。

TikTokに投稿された動画では、PKB(Partai Kebangkitan Bangsa、民族覚醒党) の若い女性党員達が体形の出るジーンズを履きダンスを踊っていたり、イスラム教徒の象徴であるヒジャブを被らずに髪の毛を露わにしていたりする様子から、従来の固いイメージを崩し何とかして若年層を巻き込もうとする狙いが伺えます。

 

日本の政党は若年層の票・支持獲得のためショッピングモールや駅などのアクセスしやすい場所への投票所の設置や期日前投票の促進等の取り組みを行っていますが、政治・政党に対する若者の関心度は未だ低く、インドネシアの取組みの様に従来のお堅いイメージを崩す新たなブランディングが今後の特に若者の低投票率問題の解決策となり得るのではな
いでしょうか。

 

このように、インドネシアの政党に限らず企業においても、ミレニアル世代・Z世代にとって親しみやすいイメージ〜ブランディング〜を作り上げ、注目を集め、支持を獲得することが、これからの新時代におけるビジネスを成功に導く重要な要素となるのではないかと考えられます。

これから益々若者世代の需要獲得がポイントとなるインドネシアの市場調査や、インドネシアにおける企業イメージの構築(ブランディング)をご希望の皆様、是非弊社インドネシア総研へお気軽にご相談くださいませ。

 

 

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