【コラム】インドネシアの税制

今回のコラムでは、インドネシアの税制についてご紹介します。

 

インドネシアの税金の種類

インドネシアの税金にも、日本と同様に中央政府が課税する国税と、地方自治体が課税する地方税とがあります。

 

それぞれの主なものには、以下の図にあるような税があげられます。

インドネシア財務省国税総局「高等教育における税金への意識づけのための公開教材」を参考に弊社作成
https://edukasi.pajak.go.id/perbukuan-smp/item/33-materi-terbuka.html(2021年10月19日閲覧)

 

なお、インドネシアには、住民税や、相続税、贈与税にあたるものはありません。

続いて、日々の生活や経済活動に大きく関わる、付加価値税と所得税、法人税について、詳しく見ていきましょう。

 

付加価値税|PPN (Pajak Pertambahan Nilai)

付加価値税(インドネシア語:PPN、英語:VAT)とは、日本の消費税のようなもので、消費者が商品を購入したり、サービスに対して支払いを行う際に課されます。

 

現在の税率は10%ですが、段階的な増税が予定されています。具体的には、2022年4月1日に11%、2025年には12%まで引き上げられる計画です。ただし、輸出品に関しては基本的に0%となっているほか、一部対象外となっている物品もあります。

下記資料を参考に弊社作成:https://www.cnbcindonesia.com/news/20210930115843-4-280359/disetujui-dpr-tarif-ppn-naik-jadi-11-di-2022-12-di-2025
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C020_toushisonotazeisei.pdf (2021年10月19日閲覧)

 

なお、車やブランド品等の高級嗜好品については、付加価値税のほかに奢侈品販売税(PPnBP)が課されます。

税率は対象品によって定められており、その範囲は10〜200%となっています。

参考:JETRO「インドネシア 税制「所得税」 詳細」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C010_toushishotokuzei.pdf(2021年10月19日閲覧)

所得税・法人税|PPh (Pajak Penghasilan)

個人所得税

 

個人所得税は、基本的にインドネシアを含む全世界における所得が対象となります。

外国人については、インドネシアに居住・滞在している、またはその意思があり、183日以上有効な滞在資格を有し、183日以上のインドネシア滞在が認められる人は、所得税の納税義務が発生します。

個人所得税率は、以下に示す通り年間所得によって累進的に課税されます。

年間所得 税率
〜 Rp.50,000,000 5%
Rp.50,000,000.01 〜 Rp.250,000,000 15%
Rp.250,000,000.01 〜 Rp.500,000,000 25%
Rp.500,000,000,01 〜 30%

 

例えば、課税対象となる所得が3億ルピア(扶養控除等を除いた額)だった場合、所得税は次のように計算されます。

参考:https://www.pajak.go.id/id/mekanisme-penghitungan-pajak-penghasilan-orang-pribadi JETRO「インドネシア 税制「所得税」 詳細」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/idn/invest_04/pdfs/idn9C010_toushishotokuzei.pdf(2021年10月19日閲覧)

 

法人税

インドネシアにおける法人税は、2020年3月に発出された代替政令(2020年第1号)により、それまでの25%から22%に引き下げられました。

これは、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済に深刻な影響が出るおそれがあるため、緊急決定されたものです。

当初は、2022年には税率を20%に引き下げる計画でしたが、2021年10月に成立した「国税規則調和法」により、22年以降も22%のまま据え置かれることとなりました。

一方で、株式の40%以上を公開している上場企業の場合、法人税率は3ポイント引き下げられた19%となります。

また、中小企業に対しても、売上高に応じた軽減措置がとられます。

参考:https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/invest_04.html
https://insight.kontan.co.id/news/diskon-pajak-bagi-semua-golongan-usaha
https://news.yahoo.co.jp/articles/7f152dc59cf250b00a1d6749d668c0fc6ea821e1
https://nasional.kontan.co.id/news/ini-sederet-reformasi-pajak-umkm-yang-diterapkan-mulai-awal-tahun-2022

 

その他

2021年10月に成立した「国税規制調和法」では、新たに炭素税(Pajak Karbon)が導入されることとなりました。

CNBCによると、炭素排出量1キログラムあたりRp.30の税が課せられることになるようです。

政府は、この税収入を気候変動抑制のための活動にあてる計画で、脱炭素への取り組みを行う団体に対しては負担減も検討しています。

参考:https://www.cnbcindonesia.com/news/20211001092158-4-280598/dpr-sri-mulyani-sepakati-pajak-karbon-tarif-rp-30-kg-co2e

 

以上、2021年10月現在のインドネシアの税制についてご紹介しましたが、インドネシアでのビジネスを考える際、最新の税制に関する情報を入手することが重要です。とはいっても、外国の税制事情は言語も異なり、掴みにくいもの。

弊社では、税金関連のご相談にも対応しております。ご興味をお持ちの方はお気軽にご連絡ください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
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Tel: 03-5302-1260

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