【コラム】インドネシアにおいて一般的な社会経済階層の分類の仕方とは?
昨今のインドネシアの経済発展を語る上で、「中間層」というワードは切っても切り離せません。
この中間層の拡大により、インドネシア人の購買力が上がり、消費市場は拡大していると言われています。
では、一体インドネシアの中間層とはどのようなステータスの人々を指すのでしょうか?
また、中間層以外に、富裕層と貧困層という言葉もニュースなどによく出てきますが、それぞれ一体どのように分類されているのでしょうか?
実際のところ、それぞれの層の定義はあまり明確ではなく、所得水準によって定義することもあれば、車の所有の有無などで判断することもあります。
様々な分類の仕方がありますが、今回の記事では、インドネシアで調査やマーケティングを行うにあたり代表的な分類方法をご紹介します。
各層の定義
通常は収入、特に年収で階層を分類する方法が一般的かと思いますが、インドネシアでは副業も珍しくなく、月収を明確にしづらいという背景もあり、月の支出に応じた分類が一般的な手法となっています。
この分類方法はSES(Social Economic Status/社会経済地位)と呼ばれます。
SESの分類の仕方とインドネシアにおける各SESの人口の割合 (2014年時点)
月々の支出 | 分類1 | 分類2 | 割合 |
Rp 4,001,000 & OVER | SES A | 富裕層 | 8% |
Rp 2,501,000 – 4,000,000 | SES B | 中間層 | 32% |
Rp 1,751,000 – 2,500,000 | SES C1 | 35% | |
Rp 1,251,000 – 1,750,000 | SES C2 | 18% | |
Rp 901,000 – 1,250,000 | SES D | 貧困層 | 5% |
Rp 900,000 & BELOW | SES E | 2% |
出典:CONSUMER MEDIA VIEW 2014 MONTH 11 [Q4]
これは調査会社であるニールセンが定めている定義ですが、支出額などの定義は一定期間において見直され、定期的に更新されています。
また、この割合は地域によっても異なってきます。
以下は、インドネシア全体とジャカルタで見た場合の2010年時点のSES各層の割合です。
SESの分類基準については、現在設定されている数値に改定される前の数値ですが、ジャカルタだけで見た場合、富裕層が多く、また中間層の割合も多いことが分かります。
富裕層に分類されるSES Aと、中間層に分類されるSES B, SES C1, SES C2を合計すると、91%となります。
首都ジャカルタはインドネシアの中で最も富裕層が多く集まる地域であり、一般的に富裕層とされるSES Aの人々が、現在ではジャカルタの人口の30%を占めると言われています。
マーケティング戦略としては、ジャカルタから裾野を広げるのが定石となっています。
また、ジャカルタ以外でSES Aの割合が高い地域は、バンドゥンで約25%、メダンで約20%、バリ島で約26%程度となっています。
出典:Bank Indonesia, Consumer Survey
http://www.oecd.org/sdd/leading-indicators/43813366.pdf
地域によって、富裕層・中間層・貧困層の割合は異なりますので、ターゲットとなるSESを絞り込むことはもちろん、どの地域で展開していくか、も非常に重要なポイントになります。
現在、インドネシアの人口の50%以上、約1億3,000万人以上が中間層であると言われていますが、これだけで日本の人口よりも多い数値となっています。
中間層は拡大傾向にあり、消費拡大のための強固な基盤が存在していると言えます。
また、中間層にミレニアル世代が多く含まれていることも特筆すべき点の一つでしょう。
インドネシアの市場としての可能性は未知数であり、今後もさらなる経済発展、市場規模の拡大が見込まれています。
弊社では、インドネシアの様々な層への定量調査やインタビュー、家庭訪問の実施経験があり、更に日本でのインドネシアの市場セミナーの実施経験などもございます。
ご興味がある方は是非お気軽にお問合せください。
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