【コラム】インドネシアにおけるサプリメントのオンライン販売の規則について

日本でもインドネシアでも、コロナ禍からの出口が見えない状況が続いておりますが、こうした状況下でも、インドネシアのEコマース業界は大幅に業績を伸ばしていると考えられています。

参考コラム:

 

また、インドネシアでもあらゆる階層の人々がサプリメントを利用する時代が到来しつつあります。

今回の記事では、インドネシアでも幅広く利用されている「健康食品サプリメント/伝統薬品」をオンラインで販売することに関連した法規制などについて解説させていただきます。

 

薬品のオンライン販売に関する規制

皆さんも良くご存知の通り、日本の医薬品には、病院での医師による処方に基づく「医療用医薬品(処方薬)」と、街中の薬局で購入できる「市販薬」があります。さらに、「市販薬」にはオンラインで購入できる「一般用医薬品」と、薬剤師による説明を受けないと購入できない「要指導医薬品」という分類があります。

この「一般用医薬品」は、さらに細かく分類されており、比較的リスクの低い第3類からややリスクの高い第1類の区分があります。

インドネシアにも、薬品のオンライン販売に関する規制は存在します。

オンラインでの医薬品販売についての、インドネシアにおける規制は、2016年11月5日付の「Eコマースのプラットフォーム・プロバイダ及び商業従事者の責任と制限に関する通信大臣通達」が該当します。

この通達は、Eコマースの商業活動を営むに当たり、ユーザー顧客が電子的システムを通して入力する情報の取扱いに関する責任と、制約に関する規制として位置づけることができますが、後述のように、オンラインでは販売できない物品に関する規定も含んでいます。

また、プラットフォームに参加する商業従事者が作成、または、アップロードしたコンテンツで、プラットフォーム・プロバイダの所有に帰さないコンテンツの取扱いに関する規制も含まれます。

参考:インドネシア情報通信省公式WEBサイト

 

同通達の中には、プラットフォームを通した形では販売できないアイテムに関する規定が「Point B」というセクションにあり、販売が禁止されている薬品が以下のような形式で列挙されています。

1) 関連法規で禁止された違法薬物(麻薬など)

2) 麻酔薬など、医師の処方を必要とする医薬品

3) 禁止された物質を含有する薬品、又は物質

4) 市場での販売を許可されていない、または、その広告用資料が管轄官庁によって許可されていない薬品(伝統薬品を含む)

5) アルコールを含む飲料

以上より、「サプリメント(健康食品を含む)」は、医師の処方を必要とする医薬品ではないので、流通許可(食品医薬品監督庁が発行する)があれば、インターネット上のプラットフォームでの販売は可能である、ということになります。

また、オンライン販売に限定した話ではありませんが、特に医薬品とは異なるサプリメント等に関して、その効能に関してどのような広告表示が可能なのか否か、という点は、実際の販売戦略上は極めて重要なポイントになります。

ご存知の通り、日本ではこの問題は「薬事法NG表現」または、それに類する問題として業界関係者には理解されているものです。

(平成26年11月25日に薬事法が大幅に改正され、名称も「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律;略称 医薬品医療機器等法」に変更されましたことは、皆様ご存知の通りです)

インドネシアでも、この問題に類似した問題は存在していますが、日本とは少々事情が異なるようです。

「健康食品サプリメントのモニタリングに関する食品医薬品監督庁長官規則2019年第16号」の第8条第1項は、表示方法に関連して、当該商品の流通業者は、健康サプリメントの表示に関連して、完全で客観的な情報を表記しなければならず、誤解を導くような歪曲があってはならないと規定しています。

しかしながら、「誤解」に関する詳細な説明は与えられておらず、この点に関連した施行規則もありません。

参考:インドネシア食品医薬品監督庁公式WEBサイトより

同規則の第8条第2項では、同条第1項で言及されている表示は食品医薬品監督庁への登録時に合意され承認された情報に基づくものであることが記されています。

したがって、これらの諸規定から最低限言えることは、食品医薬品監督庁への登録プロセスの中で、表示
内容に関する「許容範囲」も明らかになる、ということです。

同規則第9条には、健康食品サプリメントに関する広告に関する規定があります。

それによりますと、健康食品サプリメントは既に流通許可及び広告許可を、食品医薬品監督庁長官から受けている場合に限り、宣伝広告活動をすることが可能です。

健康食品サプリメントの広告に関して、流通業者は、「商品の使用目的」、及び「過剰でなく、誤解を導く恐れのない、完全な情報」を広告媒体に提供しなければなりません。

広告の中で表示される情報は、商品登録時に許可された、商品に関連する主張と合致していなければなりません。

したがって、商品登録時に「どのような情報を提供する必要があるのか」というのが問題になります。

 

食品医薬品監督庁長官規則2020年第11号が、健康食品サプリメントの登録手続きを規定しています。

同規則第16条は、流通業者は、栄養上の表示、機能上の表示、及びリスクを低減するための警告等の表示を、登録時に申請しなければならない、と定めています。

同条項は、健康食品サプリメントは、「病気の治療又は予防」に関する表示をしてはならない点も付記しています。

参考:インドネシア食品医薬品監督庁公式WEBサイトより

また現在、食品医薬品監督庁は、まさに伝統薬品及び健康食品サプリメントに関する、特にそのラベル表示の詳細を定めた規則を準備中であることが公表されています。

 

準備中のラベル規則のドラフト表紙

この規制では、伝統薬品及び健康食品のラベルには以下のような項目が含まれてはならない点が規定される予定です。

a. 当該商品が、病気の治療あるいは予防を目的としている、という表現

b. 実際には(意図せずに、残留物としてでも)含まれている物質を、含まれていないとする表現

c. 化学的に合成した伝統薬品及び健康食品サプリメントの原料に関して、自然由来のものであるとする表現(言語表現以外の絵画などによる表現も含む)

d. 伝統薬品及び健康食品サプリメントに関して、指導、推薦及び/又は分析を実施した機関の名前、ロゴ等を表示すること

e. 医療従事者、宗教指導者、あるいは政治家、あるいは医療従事者、宗教指導者、あるいは政治家を演じている者と関係しているかのような情報又はイメージの表示

f. 本人から許可を取っている場合を除き、公的に有名な人物の氏名及び写真を表示すること

g. 特定の民族、宗教、人種、または、階級との関連性を示唆する情報又はイメージを表示すること

h. 宝くじ、商品付き競争、賞品に関連した情報を表示すること

i. 国家の法律により禁じられている、あるいはそれらと矛盾する情報あるいはイメージを表示すること

j. 公的規範、倫理、甲的秩序から逸脱したイメージを喚起するような情報を表示すること

k. 当該商品(伝統薬品又は健康食品サプリメント)とは直接関係しない情報、またはロゴを表示すること

l. 「最新/近代的/最新技術」等、時間の経過によって影響を受ける表現を表示すること

m. 商品の名称に含まれる用語についての付加情報が、当該商品の有効性、効能、品質に関する誤解、または歪曲された認識を引き起こす場合に、そうした付加情報を表示すること

参考:インドネシア食品医薬品監督庁公式WEBサイトより

インドネシアでの健康食品サプリメントの販売は、今後大きく伸びていくことが期待されています。

関連事業にご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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