【コラム】インドネシアにおける観光開発とミレニアル世代向けのデジタル観光

インドネシアの観光地といえば、どこを思い浮かべますか?

バリ島は観光地域として世界的にも有名な場所ですが、それ以外のインドネシアの観光地域についてはあまり知られていないのではないでしょうか?

実は、インドネシアにはまだまだ人に知られていない隠れた観光スポットが数多く存在しているのです。

今回のコラムでは、そんな知られざる観光地や観光地開発状況、ミレニアル世代の「デジタル観光」について取り上げます。

バリに続く10か所の観光開発

インドネシア政府は2016年より、“10か所の新しいバリ島を創造 (Menciptakan 10 Bali
Baru)”すること、つまり、バリに続き10か所の観光地の開発を目標に掲げ観光開発に取り組んでいます。

インドネシア全国に位置している魅力的な観光地域10か所を、バリ島に負けないような美しい観光地域として宣伝させるために世界に広く紹介して、多くの観光者を呼びかけています。

“新しいバリ島”の開発ターゲットとなった10か所の地域

出典:インドネシア観光省の報告書2016年(Paparan Kementerian Pariwisata Republik Indonesia, 2016)弊社より作成

対象となっているのは、以下の10か所です。

・ Danau Toba(トバ湖) – 北スマトラ
・ Tanjung Kelayang (タンジュン・クラヤン・ビーチ)- バンカ・ブリトゥン
・ Kepulauan Seribu(スリブ諸島) - ジャカルタ
・ Tanjung Lesung (タンジュン・レスン・ビーチ)- バンテン
・ Borobudur (ボロブドゥール) – 中部ジャワ
・ Bromo Tengger Semeru(ブロモ・テンゲル・セメル国立公園) – 東ジャワ
・ Mandalika(マンダリカビーチ) – 西ヌサ・トゥンガラ
・ Labuan Bajo(ラブアン・バジョ) – 東ヌサ・トゥンガラ
・ Pulau Morotai (モロタイ島) – 北マルク
・ Wakatobi (ワカトビ) – 南東スラウェシ

観光事業はどこの国でも非常に重要な役割を果たしておりますが、インドネシア観光省の報告によると、2018年の国内総生産(GDP)の5.25%が観光セクターに由来しているとのことです。

また、毎年、外国人観光客またはインドネシア人の国内観光客も増加傾向にあるようです。

全世界でみると、観光客の数はミレニアル世代が最も多いと見られていますが、インドネシア国内においても、インドネシア人観光客は15歳~34歳の割合が最も多い、とインドネシア観光省より報告されました。

出典:インドネシア観光省レポート 2018年(Laporan Akuntabilitas Kementerian Pariwisata 2018)より弊社作成
(閲覧日:2019年11月20日)  
http://www.kemenpar.go.id/post/laporan-akuntabilitas-kementerian-pariwisata-lakip-tahun-2018

出典:インドネシア中央統計庁、国内観光統計 (Statistik Wisatawan Nusantara 2018)より弊社作成(閲覧日:2019年11月20日)
https://www.bps.go.id/publication/2019/07/02/5249c2b645e21291b51dfc1a/statistik-wisatawan-nusantara-2018.html

インドネシア中央統計庁(BPS)の調査によると、ミレニアル世代はお金を使う際に物を買うよりも、色々な地域又は珍しい場所を発見することや、楽しい旅への関心の方が高まっているそうです。

旅先での写真を撮って、SNS(InstagramやFacebookなど)に載せて、友達又は多くの人に紹介することが大きな目的の一つにもなっているのです。

参照:https://beritagar.id/artikel/gaya-hidup/milenial-adalah-raja-piknik-di-indonesia

ミレニアル世代の観光客を増加させるために、インドネシア観光省はミレニアル世代を対象にしてインドネシア全国の魅力的な観光スポットの開発・発展に取り組んでいます。

ミレニアル世代向けの観光地は“Destinasi Digital”=デジタル・デスティネーションと呼ばれています。

デジタル・デスティネーションというこの名前の由来は、観光客がInstagram、Facebook、Youtube,Line, WhatsappなどのSNSプラットフォームに旅行先の写真や動画をアップすることで、SNS上での観光情報の拡散が期待されるからです。

参照:https://beritagar.id/artikel/piknik/pasar-cikundul-dan-wisata-sukabumi

2017年、インドネシア観光省は観光客に各地域の魅力をアピールするための団体Generasi Pesona Indonesia (Genpi/ゲンピ)を設立しました。

ゲンピはインドネシア観光省のプラグラムとして様々なプロモーションを企画しており、各地域でのデジタル・デスティネーションの発展のための観光スポットの開発など創造的なアイデアを生み出します。

インドネシア観光者は持続可能な観光をサポートするために、インドネシア34州に少なくとも100か所のデジタル・デスティネーションを開発する予定です。

2019年3月時点でインドネシア全国に26所のデジタル・デスティネーションが展開されています。

また、デジタル・デスティネーションは、「Pasar=市場」ということばで表現されています。

デジタル・デスティネーションはそれぞれのコンセプトを有しており、具体的なコンセプ
トには以下の3つのカテゴリがあります。

1)自然に基づいた市場

この市場では、自然の美しい景色の中でセルフィー(自撮り)などの写真が撮影できます。

その自然には、山、森、田んぼ、畑、川、ビーチ、海岸などが含まれます。

2) 文化に基づいた市場

この市場は文化的な要素に基づき、歴史、芸術、伝統などの文化を楽しむ事が出来ます。

3)人造に基づいた市場

この市場は基本的に都市部で展開され、広い駐車場エリアなどで壁面や絵画を飾ったり、フードトラックなどの人工的な景色などを楽しんだりすることが出来ます。

その市場はすごくカラフルで、観光客の多くはセルフィ―スポットとして利用しています。

Kampung Pelangi, マラン

Pasar Pancingan, ブリトゥン

Photo by GenPI LS
https://www.genpi.co/berita/1277/wow-menpar-akan-mampir-di-pasar-pancingan

各地域にあるデジタル・デスティネーションは、ユニークな写真スポットに加えて、地域の独自性や地元の料理やお土産などにもフィーチャーしたり、伝統的なダンスやライブミュージック、アクティビティなども楽しむことができます。

ミレニアル世代はインドネシアの観光産業の鍵を握っており、平均年齢29歳と年齢が若インドネシアにおいてミレニアル世代の行動は大きな影響をもたらします。

市場調査などご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

株式会社インドネシア総合研究所
お問い合わせフォーム
Tel: 03-5302-1260

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